今日の市況(2010年04月23日)
オバマ米大統領は22日、ニューヨーク市内のクーパーユニオン大学で演説し、金融業界はあまりにも、業界の行き過ぎた無責任の悪影響を受けてきた一般の米国民を顧みてこなかったと批判したそうです。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば『オバマ大統領は「自由市場はできることを何でも手に入れる自由な権利を意味するものではない」と指摘。その上で、「今回の金融危機につながった数年間には、こうしたことがあまりにも頻繁に発生した。すべてではないと強調しておくが、米金融機関の一部は取引されたりレバレッジを効かせたりするすべての金銭の背後には、住宅購入や教育費の支払い、起業や老後の貯えを期待する家庭があることを忘れてきた。金融市場で起こることは全米に、そして米経済全体に実質的な影響を与える」と主張した。』と報道されています。
当初、「サブプライムローン」自体の残高は大きなものではないから、危機を乗り越えられると考えていました。しかし…無知とは恐いものです。その影にはCDSという商品が存在しCDOなる組成商品が発達していることを知りませんでした。ベアー・スターンズの破綻だけかと思っていましたが…。その後、CDSに絡みリーマンが破綻し、AIGと広がる動きを見て…ゾッとしましたね。この影にはデリバティブ取引が横行し、オバマ大統領が指摘をするように実体経済の部分を考えない面が金融界にはあったのでしょう。
しかしその面ばかり見ていると、金融機能を見誤ります。この金融拡大機能が存在したから、中国などの新興国にも資金が回り、本来、決してお金を手に出来ない新興国が躍進できたといういい面もあります。だから歴史的には必要だった過程かもしれません。残念ながら僕には、現在の金融機能を分かりやすく解説する知識がありません。CDSぐらいは分かりますが、クォンツと呼ばれる高等数学で計算された世界になると、サッパリ理解できません。しかし市場にはこの手の資金が多く入り、株式と天候や農産物などを組み合わせたファンドが凌ぎを削っています。先物で乱高下する日経平均株価を見ると理解に苦しむ場面もよくあります。日本の市場は本来あるべき機関投資家のプロを自称する投資家が少なくなりました。昔は日本生命や東京海上などの大手機関投資家が、市場のミスリードを押さえる機能を持っていましたが、逆張りをするプロを自称する人達が少なくなりましたね。相場を理解しないわけです。
まぁ、金融関係者もオバマ大統領の主張を理解していますね。
だからレバレッジ部分の規制は当然だと考えていることでしょう。どの程度の改革になるのは景気の問題もあり、難しい処理が要求されます。日本のように規制で雁字搦めに縛ると完全に活力が失われます。今の日本の閉塞感は20年以上前のバブルの反省が、未だに続いているのです。ダヴィンチが管理ポストに移るそうですが、やはり今の会計基準は少しおかしいと感じています。この発想である仮説を立てた銘柄が人気になり、株価が2倍、3倍になってきました。行き過ぎた清貧思想は日銀の緩和政策により修正されるという仮説が見事に的中しているわけです。
しかし…残念ながら、多くの人は理解していませんね。結果論だけを重視してようするに株価の値動きだけで行動をしています。悲しい市場の展開がここに存在します。同様の仮説の延長線上の銘柄も、何れ時間差を持って上がることでしょう。
あまりに強烈だった金融危機の後遺症か?
あるいは日本のバブル崩壊後の失政が染み付いているためか?
人間はやはり過去のイメージに引きずられて行動するようです。この分野を「行動ファイナンス」と言うそうですが、IRNETの読者には儲けて欲しいと願っています。何度言いますが、大きな下げはないと思っています。何故なら世界中の中央銀行が景気動向に的確に対応しています。日経新聞だけを読んで、記者が採用する意見を鵜呑みにすると間違えますね。自分で検証する努力が必要です。
中国の不動産は確かに大きく値上がりしています。しかしバブル当時の日本とぜんぜん違いますね。皇居の地価でカルフォニア州がまるごと買えるとか…。銀行だけでなく、生命保険までもが素人相手に変額保険なる節税商品を売り歩いていた現実と比較すべきでしょう。東京の西葛西の地価の値上がりは、兎に角、すごかったのです。庶民が住むマンション価格が1億、2億でした。それに比較すれば上海の不動産上昇は確かに加速していますがバブルと呼べるかどうか…。
IRNETでは以前、昭和の高度成長期の日本の自動車販売件数の推移を調べたことがあります。一度、伸びた数字はなかなか落ちなかったですね。人間の欲望とはそんなものでしょう。隣のご近所さんが車を買えば、いつか僕だって…。この動きはしばらく広がることはあっても減ることはないはずです。皆さんのおじいちゃん、お婆ちゃんに聞いてみるといいですね。中国の昨年の車は1360万台が売れました。日経新聞は今年は1500万台説を採用し、年初に2000万台は過剰生産との論調を掲げました。しかし現実に3月は174万台の販売です。こういう現実認識とのギャップが株価には存在します。何処かの証券会社がレーティングを上げたとか下げたとか…。所詮、彼らは素人の分野ですね。
信じられるのは自分の経験だけ。実際の統計数字にはたくさんのヒントが隠されていますね。もっと具体的な銘柄を掲げて解説すれば分かりやすいのですが…ベンチャリで懲りていますからね。でも勘の良い人なら、あるいは勉強している人なら…かたる君の狙いを理解してもらえると思います。連休明けはあるグループが動き出すと期待しています。頑張って下さい。どんな表面上の悪材料でも、基本的には株が下げれば最大の好材料なのです。
投稿者 kataru : 2010年04月23日 19:09