今日の市況(2010年10月07日)
米国の雇用状態は悪いらしい。ADPリポートによると9月の非農業部門の雇用者数が前月比で3万9000人減少した。2万人程度増えるとの見方が一般的だっただけに驚きを誘い、市場では金融緩和を通じた流動性相場への期待と実体経済の厳しさが交錯していると言います。この金融緩和期待は大きく本当かどうか分かりませんが、FRBは先には1兆ドルを2兆ドルに増やしたのですが、更に資産を1兆ドル増加させると言う話があるようです。本当かな? でもアメリカはすごいですね。金融機関を虐めている政策を実行しているのでお金が回りません。デフレで恐いのは心理が変換することですね。まだ日本に比べれば株価を見る限り、ずっとポジティブな心理状態です。
長いデフレ政策で、いくら笛を吹いても効果がなくなったのが日本経済ですね。上場企業の半数は無借金企業で企業の蓄えはGDPの7%にも達していると言います。要するにお金を使わないのが正しい選択なのです。投資をすれば叩かれる清貧思想の国ですから、誰も日本で投資をしません。海外ではしているのですよ。そりゃ、不動産神話が崩壊し、昔は不動産を持っていればいくらでもお金を借りられたので、投資意欲が起きていましたが、今は、不動産はタダでも良いから引き取って欲しい人がウジャウジャいます。固定資産税を払うだけでも大変ですからね。この原因を作ったのが日銀総裁の澄田さんが引き金を引き、過剰引締めの流れを作ったのが三重野総裁でした。1989年12月から1994年の12月まで、三重野さんは総裁を務め、過剰なデフレ政策を堅持します。彼の名言は「土地や株が下がっても経済活動に影響はない」と言うものでした。
この清貧思想を永遠と日銀は引き継いだのです。21年間ですね。
大銀行が続々と倒産する金融不安を演出したバブルを憎んだのは、日銀マンとしては当然です。彼の就任している期間はずっと円高でした。150円台だったドル・円レートは80円台半ばまで進みます。この三重野さんの金融姿勢を永遠と日銀は引き継いだから、日本はデフレが加速し東証一部単純平均株価は1579円から228円になり、土地も下がり続けます。しかし…今回、かたる君が東京に来てから初めて、日銀はデフレ対策を転換します。その姿勢転換の規模は僅かなので、市場は迷っていますね。
普通、21年間続いたデフレ対策が転換するのだから、株価は急騰するのでしょうが…この2日間の上げ幅は僅か300円。理由はGDPの経済規模535兆円に対し、僅かに5千億円の政策転換の規模で…日銀の姿勢が本物なのかどうか?意見が分かれるところです。
市場関係者と日銀総裁とのマインドの開きは大きいですね。かたる君は、先日10兆円規模のメザニン・ローンを訴えました。2割の直接投資で総投資額が50兆円です。つまりGDPの1割を刺激しないと景気は立ち上がらないと考えているわけです。この想定額の1/20ですからね。この程度の規模では市場の反応が薄いのも頷けます。
しかし21年続いたデフレ政策が、初めて転換する意味は非常に大きいですね。
「信用乗数」と言う言葉があります。先程のメザニン・ローンの意味は20兆円がエクイティーで投資家から集めるリスク・マネーですね。残り20兆円が銀行融資でリスクがないので低利の資金です。今の金利情勢なら1%程度でしょう。都心の不動産の利回りが5%なら2兆5千億円が収益になり、銀行貸出金利は2千億円で残りが2兆3千億円、日銀はメザニンだから7%を取るとして7千億だから、残り1兆6000億円ですから、8%のファンドが組めます。この金利下で8%のファンドなら20兆円は簡単に集まります。しかも日銀がメザニンで応援するのです。いくら慎重な民間銀行でも4割の20兆円は融資するでしょう。つまり10兆円の出資で5倍の信用乗数効果で50兆円の新規需要が生まれますね。
今回の5千億円は少なくとも5倍の信用乗数効果はあるでしょう。
時価総額が280兆円ほどなので僅かに1%ですね。だからインパクトが足りません。勿論、リートはそんなに受け皿として、市場規模は大きくありませんが、上場ETFはいくらでも増やせます。少ない資金で効果をあげるにはTOPIXや日経平均のETFではなく金融株の銀行や証券のETFを買うことです。しかし…時間軸目標を入れたので、FRBが1兆ドルの資産拡大に走り、ドル安政策を採用し円高になると物価は下がり、再び目標達成のために日銀は、さらなる資産買い入れをしなくてはなりません。日銀は目標達成のために、エンドレスで、いくらでも資産を買い入れることが出来ます。この効果は相当大きなインパクトを生みますね。馬鹿にしてはいけません。日銀が株と土地を買うのですから…最後の砦の出動ですね。先程、企業はGDP比7%規模の現金を持っていると言いました。お金が動き出す材料はいくらでもあります。あとは切っ掛けなのですね。
当然、金融相場の始まり、はじまり。
投稿者 kataru : 2010年10月07日 17:49