未来かたるが語る

今日の市況

今日の市況(2010年10月12日)

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米国市場は政策への信頼感が回復してきているようです。市場と政策は一体感がないと実際の景気は好転しません。9月の雇用統計指数はどんな観点から見ても褒められるものではなく95千人が職を失いました。内訳をみると民間の雇用は64千人の改善ですが、政府系は159千人が雇用を失っています。当初は臨時雇いの揺り戻しと言われていましたがここに来て6月から既に728千人が雇用を失っており臨時雇用分を大幅に上回っています。一方、民間需要は年初から実体景気が悪いと言われていますが、一貫してプラスです。過去の改善度合いは1ヶ月辺り10万人以上ですから、現在は非常に弱い回復と言わざる得ないでしょう。

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ところが…株価は高値圏でも堅調な動きを続けています。理由はFRBによる金融政策期待ですね。所謂、不景気の株高現象を裏付ける回復です。通常は金融株から立ち上がりますが、米国金融株は日本のように下がりはしませんが、上がっているわけじゃありません。金融政策期待が存在して株は上げていますが、別の視点で動いているのでしょう。最近はドル安傾向で一つは輸出の回復があるのでしょうが、一番大きなのはキャタピラーのような存在ですね。BRICsの恩恵を受けている企業の活躍です。

同様なことがドイツでも起こっています。国内の自動車販売は減速していますが、中国を中心に高級車が伸びているようです。9月のベンツの中国の販売台数は1万3940台と倍増ペースで伸びており既に9月で通年目標を達成したと言います。トヨタの9月の伸び率は9%増で7万8200台です。1-9月期は20%増の58万2千台です。しかし落ちたとは言えGMは15%増の20万8353台と売っており1-9月期は37%増の178万台だそうです。

海外の株式はドイツから米国へ更には中国も回復してきていますが…日本だけは回復の度合いが悪いですね。本日の200円安でした。市場と政策担当者の間にはかなり深い溝が存在するのですね。例えば先頃、日銀は財務省から委託されん売り介入を2兆円規模で実施したと言います。しかし現実は一時的な効果で再び更なる円高に向っており本日は81円台に入っています。円売り介入での遅れていた下期の企業の為替予約は進んだと思われますが、それでも年末まで程度でしょう。国内景気はエコカー減税が切れ大幅な落ち込みだそうです。10-12月期はマイナスを予想するアナリストが居るほどです。

しかし5日に日銀は歴史的な政策転換を行いました。この効果も週末までのようで果たして本当に危険資産のリートや上場ETFを買い入れているのかどうか…市場は口先介入程度の見方なのかもしれません。長いデフレ政策の転換なので象徴的な報道を取らないとなかなか市場の雰囲気は変わりません。米国は1兆ドル規模の緩和策が予想されているようですが、日本は5兆円なので当然、ドル安は進みます。ただ1回きりの為替介入では効果はありませんね。先の安値(円高だから高値かな?)下回らずにもう一度、海外からの批判を恐れずに円売り介入を何度かやるべきなのですね。これじゃ、市場から格好の餌として日銀は馬鹿にされていますね。市場からの信認を得られるかどうかの瀬戸際なのに…これじゃ、市場はポーズと判断しますね。かくして失われた時代は続くわけです。

しかし…馬鹿にしては駄目だと思います。日銀は無尽蔵の紙幣がありますが、株式発行枠は有限です。東京電力が新安値を更新している現実は公募の処理に四苦八苦している裏返しです。持っていれば損になる増資株をそんなに新規の資金で賄えませんから、現物株を持っている人にセールスしている実体が、今日の1900円割れの現象でしょう。増資決定で株価は500円下がり、既に調達予定金額を上回る時価総額の減少です。主幹事、野村證券と東京電力は責任を果たしていませんね。

時代遅れの株屋は日本を信じ、政策を信じて株を売り買いするだけです。日銀さん、馬鹿にされては存在感が薄れるばかりです。追い込まれる前に先手を打ち続ければ、やがて政策の乗数効果は上がって行きます。これまでのように市場から追い込まれ、小出しの後追い政策では、どんどん政策への信認が失われていきます。市場主義の米国と計画経済である社会資本主義の日本とは株式の考え方が違うのでしょうが…市場の警鐘には耳を貸さねばなりません。

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投稿者 kataru : 2010年10月12日 17:38