今日の市況(2010年11月15日)
GDP統計値が年率3.9%増と発表され予想の2.5%増より良く、米国株安にも拘らず日経平均株価は高くなりました。でも不思議ですね。何故、何年もGDPデフレーターが問題にされないのでしょう。社会的な閉塞感は、名目GDPと実質GDPの差がマイナスになっているために起こります。
僕らは毎日、名目の世界に生きているのです。
パンを買う時に100円、給料をもらう時は20万円と数字で判断しますね。物価が下がりパンが90円になったらといって、給料が増えたような豊かな気持ちになりますか? 毎月もらう給料の20万円が22万円に増えたほうが物価高で使う価値が減っても頑張ろうという意欲が湧きます。この辺りの問題点である内外価格差の是正が、かなり進んだと思っていましたが、まだこのギャップが開いているということは、この社会的閉塞感は消えないわけです。下のグラフは(名目GDP-実質GDP)/名目GDPの比率推移です。この四半期はー13.3%でした。つまり13%もデフレギャップがあるのです。総額64兆円ですから大きな数字ですね。この解消にQE2が寄与するのではないか?と僕は密かに期待しているわけです。
日本は長年ガラパゴス政策を実行します。ガラパゴス
社会的なハードルを高くして産業障壁を高めてきました。一例を掲げると米などの関税もそうですね。このGDPデフレーターを解消すれば閉塞感が減り、人間のやる気が出てくる社会になりますが、まだ時間が掛かりそうに見えます。ただ日本は社会保障費の増大で財政赤字が膨らみ、もうすぐ内部資金で手当てが出来なくなれば、日本は食糧や資源などを輸入に頼っていますから、急速な円安と物価高で調整されます。一番、恐いシナリオはこれですね。
その前に緩和処置を講じなくてはなりませんが、菅内閣や日銀総裁にその意欲があるのかどうか…。緩和処置が遅れ、ギャップが増大すれば劇的な変化を迫られる事になります。財政赤字の削減や円安が対策の一つになります。勿論、今話題のTPPもそうですね。必要な処置ですが…掛け声だけでなかなか進みません。何故、QE2が寄与するかといえば、QE2でワールドマネーが増えて新興国の物価が上がり日本との差が縮まります。だからこのQE2政策は日本の株式市場にとって神風かもしれません。
21年ぶりの日銀の資産デフレ対策、そうしてワールドマネーを増やすQE2は日本の株式市場にとって良薬です。この効き方が問題です。それは日銀のリートやETFの買い入れ姿勢や新興国のインフレの進行度によります。でもこの考え方は的を得ていると思っています。もう直ぐ夜明けに違いありませんが…どの程度のスピードか…ですね。その時に活躍するのは21年苦しんできた業種です。証券株などは値上がり上位筆頭銘柄なのです。
中国が米国債から実物資産にお金を流し始め…世界中の株式も同時に買っています。世界で期待インフレ率が高まっています。もう直ぐ米国のキャッシュは動きます。アップルやマイクロソフトなどの現金保有企業はM&Aに力を入れるでしょう。WSJにはウォルマートが日本や中国で規模拡大を考えていると報道されていますね。これはヒントになります。
今日のみずほは131円を付けましたが引けは127円でした。量的緩和政策の効果が出るなら総資産経営をする日本の銀行株にスポットがあたります。考えてみれば分かります。世界のだぶつく資金を吸収できるのはGDPの大きな国だけです。新興国では経済規模が小さく資金を吸収できません。しかもどちらかと言えば新興国の通貨も高く株価位置も高いですね。だから日本は最適ですが…問題は為替ですね。まだその兆候と…いえる段階ではありませんが、このような考え方を抑えておくと良いと思います。さてどうなるか…。
今日はソニーが決算を発表している筈ですが…
最近の市況は業績の変化率が乏しく、サプライズも少ないです。仮にサプライズが出ても先行きの読みが難しく…相場が反応するかどうか…。少し難しい時期ですね。ただ若干の時間のズレだけでしょうが…。
投稿者 kataru : 2010年11月15日 19:12