今日の市況(2012年01月13日)
かたる:裏付けのない悪材料で市場が崩れるのは何故でしょう?
昨日、欧州での国債入札は順調でしたね。イタリアの1か月前に発行された12か月もの5.952%に対し今回は2.735%になっており、スペインは3年債で平均利回りが3.384%で99億8600億ユーロが落札されたそうで、応札は187億ユーロもあったと言う話です。この結果を受けイタリアの10年債は42bp下がり6.56%になりスペインの10年物も11bp低下し5.18%になったそうです。要するにECBの大量資金投入により国債入札不安は消え、ソブリン・リスクは低下しています。イタリアがデフォルトになるなんて…あの償還スケジュールを見ればあまり考えられないのですね。しかし金融市場が過度に叩くと…不安(幻想)が現実になります。希望という言葉は大切ですね。
インターネットの普及はアラブの春を呼び起こし、過度の情報伝達スピードの上昇で、政策当局はスピーディーな対応が求められます。小さな意見対立が情報伝達により予期せぬ事態に発展する可能性があり、情報の見方を自分なりに精査しないと大きな過ちを犯しますね。情報の価値観がドンドン高くなるのでしょう。テレビは一般的な考え方の通説を伝える傾向にあります。故に可能性はあっても、小さな可能性の意見を無視して、番組の流れを作り出しますが、僕ら国民は、そろそろメディアの報道のあり方の質を問う場面に来ましたね。だんだん情報の価値に疎い日本人も「情報の解釈」を求めるようになります。表面的な事象ではなく、問題を掘り下げた対応です。池上彰さんの番組が人気になったり、政治討論の番組が人気になる背景には、その様な流れがあるのでしょう。
私は流動性において、世界の中央銀行が協調姿勢をとったことや、ECBが期間の長いオペ資金を大量に供給したので、欧州危機は峠を越えたと述べています。しかし市場は疑心暗鬼です。最悪の期限は2月末に予定されるECBの対応でしょう。その時には確実に、この問題に終止符が打たれるのでしょう。世界景気は中国の政策転換で動きは変わりますね。温首相は週末の声明で、厳しい世界情勢を受け中国金融システムの問題への対処がより緊急の課題になっていると述べた。また株式市場で投資家の権利を一段と保護すべきだとの考えを示唆しました。
トロ:確かに欧州の1月は応札も多く順調だったね。でもこれからが本番だからね。2月から始まり4月頃を通過しないと分からないよ。不安は消えないよ。
かたる:だから、お前のような奴がいるから、2月の末になればわかるのさ。もともと年末の50兆円の供給で、今年の予定資金の半分を調達したと言われているんだよ。呆れる警戒感だね。でも日本株の動きを見れば、トロの言葉が代表されているような展開だね。本来なら欧州の売り上げウェートが大きく、売られたダイキンなどは、買い場になる筈だが…最近はこのタイミングで上がるような動きをする市場参加者が減っているからね。どうかな? ダイキンは売り上げの20%をヨーロッパに頼っているが、この数字はそれほど高くもないからね。でも日本のエコポイントも終わり、やはり業績は悪いのだろうね。
最近の市場は買いに関しては、非常にネガティブに考えた方が良いね。それほど株を買う投資家の参加が減っているのだろう。みんな目先の投資家ばかりで…。ITバブルの背景が理解できるね。あの時、僕もソフトバンクなどを買っていたが、年末には、あまりの株価に呆れて利食いしたからね。でも売った後の方が動きは早かったね。実は売り場じゃなくて買い乗せ場面だったんだね。でも2月には急落するのだが…株が上がり続けるうちは買うし、下がり続けるうちは、理論価格なんか関係なしに値動きで売り続けている。だから通常の値動きが大きくなり、市場環境は変わってしまったんだね。
それにも拘わらず、僕は自説を曲げずに旧来型の投資を繰り返した。だから失敗したのだろう。今度は会社を辞めて空売りをしようとしたが、なかなか出来なかったな。売ったものは失敗した例がない。しかし買ったのはほぼ全滅だね。最近の成功例は、鬼ゴムなんだけれど…上がるのは、あのタイミングだからね。機関投資家も素人化したと言うか…。株価が面白いのは、結果が見えない段階で上昇する金融相場のような場面なんだが…。最近は結果が分かっても、動かないケースがあるからね。いくら僕がDENAは、これから世界に向かうから業績が大きく伸びる可能性があると言っても、今の相場環境は下がり続けている。結局、実際の業績推移が明らかになってから、動けばいいのかもしれないね。まぁ素人化していると言うか…参加者が少ないと言うか…。
トロ:でもお前は最近、かなり市場に対し失望しているようだね。
かたる:うん。折角、いい銘柄を見つけて取り組んでも大きく株価が伸びないんだよ。本来は成長力がありPERが30倍程度まで見込まれていても、実際は15倍程度とか…。下手をすると10倍までも買わないケースがあるからね。最近では買いの参加者が少ないのは、日本の財政問題に原因があると考え始めているよ。この三菱UFJの株価をどうやって説明するのだろう?この株価が正しいと言うことは、確実に日本国債は大きくカットされることが前提になっているようだね。
昨年の東電の処理を見れば、民主党政権も互助会方式で共産化しているよ。こんな環境下で株を買うことが出来るのだろうか? あの原子力賠償法の解釈はショックだったね。免責条項があるのに…使用しなかった。あの処理の仕方が一般化するなら、おそらく東電の株主責任も明確にされるし、銀行貸し出しの貸し手責任をも、問う可能性が浮上するね。一体、どんな選択をするのか…。まぁ、政権が代わり、野田内閣は経団連との関係も修復されているから、大丈夫だとは思うが…結果を見るまで大きく動けないね。
国民が幸せになるのかどうかは、政権の選択にあるね。簡単なんだが利害関係が背景にあり、実行するのは非常にハードルは高いからね。だから大阪市長の発言は注目されるし、この展開が日本を変えるかもしれない。きっとみんな同じことを思っているんだろう。
投稿者 kataru : 2012年01月13日 15:21