今日の市況(2014年03月10日)
かたる:ローソンが12年ぶりにベースアップをすると言います。サービス業で、しかも先進的な考え方をする新浪さんの事だから、世の中を見る目は確かなのでしょう。彼は三菱商事のエリートですね。一般的にはこのパターンが日本の人材育成の形です。大手商社など、銀行でもそうですが…入社後、暫くすると見込みのある人間は、海外で勉強をさせてもらえます。楽天の三木谷さんもそうでした。彼は慶応からなので、余程見込まれたのかどうか…ハーバードに行き、会社の金で勉強をしてのエリートコースですね。でも少し異質なのは、直ぐにローソンに派遣され、そのまま社長を続けている所です。ローソンは早くから中国進出にも積極的でした。日本でも時代を感じる一流分野のトップ経営者は責任感も強いのでしょう。3000円のベースアップは、満額回答だそうです。デファクトスタンダードと言う世界の標準基準を創る経営者は、時代感覚が優れ、他人の批判を恐れずに、自分の勘で物事を決断します。
カタルの評価も二分されているようです。カタルは自己主張をなかなか曲げませんね。自分の仮説を信じて実践投資し検証しているのです。所詮、007が良いとか…ケネディクスが良いとは…と言う銘柄選別は、一つの仮説の下で成り立った発想です。株式投資はイメージなのですね。発想力が非常に大切です。未来の事は現在の選択により変化して行きます。だから、こうして原稿を書いている瞬間から、ズレが生じていますね。カタルが考える相場の仮説が正しいかどうか…。常に相場動向をみながら、自分の考えを修正しなくてはなりません。
例えば…本当は、今日のケネディクスは高寄りしないかな?…と強い展開を、希望的に、今朝の段階では考えていました。しかし現実は、寄り段階で50万株程度の成り行き売りがありましたね。つまり信用期日など、様々な要因があるのでしょう。この段階で、既に本日の爆発的な人気株としての動きの可能性は少なく、6日には369円にかなり強烈な買いが見られていたので、横ばいだろうと…相場の一日を判断するわけですね。本当は金曜日の390円を、後場から抜けば人気株としてスターの条件を満たすことになりますが、流石に418円の関門は重く、直ぐに抜くような動きは難しそうで、しばらくは玉拾いかもしれない…と、相場のイメージを変化させますが、株価により、どんどん短期の株価見通しも変化して行きますね。
板状況も人間心理に微妙な影響を与えます。何故、369円と言うかと言えば、3月6日の日に「付けろ買い」と思われる注文があったからです。値動きからみて、売り物が出ると買いが入る筋の買いの存在を感じていたからです。「付けろ買い」とは、売り物を全部買うと言う玉が欲しい注文の仕方。通常、証券マンは委託者に電話注文を取ります。あるいは注文が電話では間に合わないので、取りあえず株式部に370円以下の玉なら1000万株欲しいと伝え、株式部に買って貰ったりします。そうして玉が揃った段階でクロスを入れます。大口注文の場合は、VWAP(加重平均株価)で1000万株…と言う注文もありますね。一日を通じた平均株価で玉を揃えろと言う機関投資家からの要望です。
まぁ、色んな形がありますが…当面は370円を挟む展開になる可能性は強く、この価格帯での売り買いの綱引きになります。この水準で新規の参加者が増えるかどうか…。これは様々な条件が揃わないとなりません。日銀の追加緩和なども、その有力な支援材料になります。今の所、安倍政権の成長戦略にも、東京の容積率の緩和などが盛り込まれる予定であり、政策支援も期待できます。更にリートの拡大解釈が実行されます。介護施設の増設には莫大な資金が必要ですが、その為にリートを使って資金を集めようとしています。安定利回りが期待される介護の世界なので、リートは有効な活用方法で、ケネディクスはこの分野でもリートの発行を計画していますね。なにも政府の金で、世の中が全て動いている訳でなく、PFIにより民間資本が有効に活用される仕組みを作ることが、知恵で出来ますね。東京駅の空中権と同じ発想です。
その様な時代的な要請が背景にあるから、ケネディクスは4000円の器だと述べているのです。多くの人は三菱地所や三井不動などの方が。ケネディクスより格は上で、一流と思っているでしょうが、経済的環境の変化で、その評価は変わります。確かに米国債は世界からの信望は厚くAAA格です。しかし儲けと言う変化率と言う観点で、尺度をはかると条件が整うなら、イタリア国債が米国債を遙かに上回る、期間保有利回りをあげる事が出来ます。それが一昨年、起ったわけです。ギリシャ発の欧州危機に揺れたイタリアやスペインの国債は、ジャンク債だったわけですね。カタルは今の日本の不動産が、その時期に相当しているとの仮説を立てて、相場に臨んでいる訳です。
なにより全体の経済活動が、地に足を付け動く為には、固定資本の劣化は防がねばなりません。そうしないと企業が保有している現金資産は、投資になかなか向きませんね。今は「流動性の罠」から抜け出し、新しい投資、スマートコミュニティーの創設に、邁進しなくてはならない時期なのですね。その為に地価が右肩上がりで、上がることは必要条件なのです。失敗しても投資した土地が直ぐに売却できなくては意味がありません。地価を上げ続けるのが、市場経済の基本です。賃金もそうですね。
宮澤元首相が年収の5倍で家が買えるように…と、土地税制を雁字搦めに課税強化し、銀行融資を引き締めたから、地価が下がりバブルが崩壊したのです。ソフトランディングさせることが必要だったのです。今の中国は、確かに固定資本投資の水準が高く異常ですが…地価を下げようとする発想はなく、賃金を上げようとしています。あとは時間が解決します。シャドーバンキング問題から、市場金利の導入と…市場経済化が透明化している最中の話ですね。日経新聞は、あまり中国のバブルを煽らない方が良いのです。メディアは極端な事例ばかり報道します。中国人の多くは、家を買う場合、頭金を多く積み融資を受けますが、多くは融資ではなく現金取引の比重が、日本よりずっと高いですね。日本のように頭金がゼロなどと言う事例は、ない筈です。地方政府の焦げ付きは多いと思われますが、今、中央政府は必死になって改善している最中です。バブル当時、バブルを煽る報道を繰り返した日経新聞に、どれだけの正義の自覚があるのでしょう。日本より、ずっと優秀な政治家が多い中国です。大丈夫でしょう。
あらら…のんきに解説していたら、ケネディクスは368円が入りましたね。果たして下に行くかどうか…。カタルは下がないとイメージしていますが…実際はどうでしょう。ジョージ・ソロスも述べていますが、所詮、市場は仮説を検証する場なのです。歪んだ未来予測と現実との間の相互関係を「再帰性」と、彼は表現していましたね。昔、彼の著書を読んだ時は、チンプンカンプンで何を言いたいのか、サッパリ分かりませんでしたが、今なら、ある程度は理解できるかもしれないから、久しぶりに勉強をしてみようかな?
まぁ、馬鹿は、馬鹿なりに…どうやったら、一流の世界に近づけるか…努力を続けるわけです。所詮、誰も未来図は見えないのです。あるのは、現実の手がかりだけで、それをどう解釈するかの問題です。ローソンのような賃上げの現実が、横に広がれば、日本株への外人評価も戻り、アベマゲドンからアベノミクスに、また変化するのでしょう。要するに政策の選択次第で、株価予想もコロコロと変化するわけです。頑張れよ!
投稿者 kataru : 2014年03月10日 10:35