今日の市況(2007年)(2007年08月20日)
かたる:ようやく日本市場は反発しましたね。しかしアメリカ株と比較すると戻りも鈍いし、何か日本市場に問題があるような相場の中身だね。ところで、みんなは何処か行ったのかな?
トロ:休みだからね。家族サービスだよ。でも先週はすごい相場だったようだね。僕は、実体経済は強いという見方だけれど、ビスタニュースのかたるの原稿を読んだ印象では、強気のお前にしては相場観が弱いんだね。
かたる:弱いというわけじゃなくて、「大きく上がることはないな」と言う印象だよ。可能性があるとすれば、アジアの覇権を握りリーダーシップを発揮するべきなんだろうが、日本の外務省も政治家もみんな戦略がないし…どう考えても中国の上海協力機構の方が有効に機能しているような…何でもインドも参加の意向らしいからね。中国、ロシア、インドはBRICsの主要メンバーだからね。
神主さん:珍しく、強気のかたるにしては、最近はずっと弱気だものね。昨年の新日鐵-5401が上がってくる辺りから、嫌いだとか言って…
時代や:本当だよ。おかげで良い相場に乗れずに…丸紅-8002なんか良い相場だったよ。別子-5713もそうだし…ぜんぜん否定的だったからね。
かたる:悪かったね。僕には理解できないんだよ。そりゃ、需要があり背景があり業績は好かったけれど、あまりに上がって行くからね。どうも誰かが逃げるために株価を上げているような…世界の標準の市況関連はPER10倍だと思っていたんだね。ところが、IRNETのコラムで「鉄の出来るまで…」と言う6月10日の原稿を書いた時に驚いたんだね。いつの間にか、世界の鉱山会社のPERが12倍~15倍まで上がっていた。ビックリしたね。
その後アルキャン(al)のリオ・ティントのよる買収の株価のPERはなんと驚く事に19倍前後だったと思うよ。馬鹿高値だね。僕はレポートで採算に合わない買収だと述べたけれど…おそらく数年後に危うくなっているんじゃないのかな? 同業のアルコア(aa)は48ドルまで行き、週末の株価は33ドルだね。PER12.8倍だね。まだ高いような気もするが…アルキャンは依然、高いけれどね。
時代や:そんな事より、この下げの後の話だけれど…どうなのかな? サブプライムを切っ掛けとした信用収縮の動きはアメリカの利下げで一巡したのかね?
かたる:どうかね? CDSの意味も分からなかったけれど、今では一般的になりつつあるからね。
時代や:何?それCDSって…
かたる:なんでも債務保証をデリバティブに置き換えたものらしいよ。クレジット・デフォルト・スワップと言うんだって…この証券をドイツやフランスの銀行が買っており損失を出したので、中央銀行があわてて資金供給したから大変だという事になったらしいね。
神主さん:わしは詳しく知らないが、ビスタニュースのかたるの原稿を読むと、金額はそう大きくないという話だったよね。全部の住宅ローンの14%ぐらいがサブプライムローンで、その内、10~20%が焦げ付くといっても全体から見れば1%とか2%とか言うレベルの低い話だと…
かたる:うん。詳しくはビスタニュースの原稿を読んで欲しいが、問題はレバレッジなんだね。なんでも良い気になりすぎて、破綻したファンドはレバレッジを20倍程度まで膨らましていたらしいよ。しかし大げさに報道されているような気がするね。何しろ一部企業だからね。多くは適正な水準だから…。この影響の見極めのために、アメリカはFFレートではなく公定歩合を引き下げたというね。今回の処置は実態把握の意味もあるらしいよ。
時代や:それで相場観はどうなの?
かたる:落ち着きを取り戻すよ。それにしても日本市場はビクビクしているが、この環境下で上海総合は新高値? すごいね。本家を差し置いて、日本が一番、共産国家のような戦略だね。アメリカは、すかさず金利を下げるし…。日本は23日、まさかとは思うが…利上げ懸念がくすぶっているのだから…。明確に日銀総裁が談話を発表し、急激な円高にも介入を侍さない構えで臨むべきだよね。残念だね。市場経済が確立できなくて…
神主さん:それでBRICs関連はどう思うの? 相変わらず弱気なの?
かたる:目先は強気だよ。しかしあまり強くないよ。
トロ:今回の問題は一時的だろう。なにしろ実体経済は好調だよ。海運市況も最高値を示し資源高を背景にする相場を、市況産業だから…どうのこうのって、言いすぎだね。僕はしばらく休めばまた上がると思うね。故にここでの下げは、乗り遅れた奴が参加する絶好の機会だよ。中国の成長はまだまだ続くよ。ほんの1割程度の人達の繁栄だけで、これだけの需要が膨らむんだよ。新しい時代に入り、まだまだインフラ需要は続くよ。
神主さん:かたるは違うんだよね。
かたる:うん、基本的に過剰流動性が資源高を押し上げたと思うんだね。投機資金がコモディティー(商品)を押し上げたと…確かに背景にはBRICsの繁栄があったけれど、それとて流動性が背景にあったので、背中を押すことが出来たんだよ。ところが既に、充分、BRICsは成長したよ。この20年の間に…ベルリンの壁崩壊から考えてね。
最近ではロシアの傲慢さや中東の力のつき方など含め、富の偏りが目立ち始めたよ。故に本来の金融を支配する市場主義者たちはそろそろ方向転換を始めている。その動きが2月から出始めているんだね。考えて御覧よ。REF(プライベート・エクイティー・ファンド)のブラックストーンが上場するなんて…
時代や:どうも少し難しい話になってきたなぁ~。要するに、かたるは弱気だし、トロは強気と言うことなの?
トロ:好業績の銘柄は限られるよ。確かに投機資金は引き上げられるだろうが、現実の経済はまだまだ元気だね。かたるは昨年から既にBRICs関連に対し弱気だったんだよ。鉄鋼など市況関連でどうのこうの…と文句を言って…しかし現実はどの銘柄も上がって来たよ。市場経済のパイが大きくなって資源需要はまだまだ衰えないよ。故に好業績は続くから、このようなショック安のときは買い場だよ。
かたる:僕も目先は買い場だと思うが、新高値を更新できるとは思えないよ。所詮、戻り売りの相場さ。そんなのは相場じゃないよ。
時代や:そう言われて買った新興株は上がる時は上がらずに、下がるときばかり付き合って…。一体、何時になったら上がるのかね? 全然、そぶりも見えないよ。
かたる:8月は絶対期日だからね。1月2月と少し強気になった期日が重なっているよ。この壁を乗り越えれば、新しい世界が見えるよ。投げちゃ駄目だよ。買い場だよ。今日だって買っているが…誰が投げるのか?トホホ…
トロ:呆れるね。まだ新興株を買っているの?
神主さん:よく買える力があるね。
かたる:みんな信じてくれないよ。残念ながら…。当たり前だと思うが、相場観は買えと言っているね。だから買っているんだが…僕の基本方針は買わない。新しい時代は若者が創るのだよ。そういえば、今週号の東洋経済に田中直毅さんの「保守、リベラルともに衆参分裂は僥倖である。」と言う記事は面白かったね。ガバナンスの話が載っているが、僕も同調できるものだね。安倍さんは国民に説明すべきだね。ちゃんと…どうも説明不足のような気がするよ。
僕はくどいほど同じことを何度もIRNETを通じて言っているね。何故、新日鐵を支持できないか?持ち合い株制度を復活させる体質だからね。三村さんが変れば、また違ったことを言うかもしれないが、資金を効率的に使うべきだよ。株を持ち合わねばならない提携なんてしなくても良いよ。明らかに甘えだよ。折角、企業統治の意識が芽生えてきたのに…残念だよね。少し長くなったね。是非、今週号の東洋経済を買って読んで欲しい。
投稿者 kataru : 2007年08月20日 17:16