今日の市況(2008年)(2008年11月18日)
リセッションとは2四半期連続のマイナスを言うのですが…日本の場合は僅かですがマイナスになっています。昨日発表されたGDP統計で4-6月期に続き、7-9月期もマイナスになりました。深刻なのはGDPデフレーターです。日銀は2006年に量的緩和を解除し金利の引き上げを目論んでいましたが、実質と名目の差がついに逆転しませんでした。これほど世界経済が物価高に苦しんだのに…ガソリン価格があれほど上がったのに…一部の食料品は値上げされたままですが、この時期も結果的にみるとGDPの名目は実質を上回ることがありません。雇用者報酬は余り上がっていません。
この意味を考えるとバブル崩壊以降、日本は積極的に行動した人がみんな負け組みで…何もしないでじっとしていた人が勝ち組なのです。だから単純平均株価は下げ続け、投資銀行業務で金融経済が極端に拡大したおかげでどうにか景気はプラス成長に移行しましたが、投資銀行の衰退により金融がしぼむと途端に外需に頼った経済のエンジンが壊れ失速したのが日本の状態ですね。この原因は官僚が強くなり規制色が強くなった政策運営にあります。例えば「振り込み詐欺」あれほど新聞やテレビで注意を呼びかけているにも拘らず被害がなくなりません。政府は銀行の送金規制を実施しました。ATMの引き出しや振込みがすべて規制されています。銀行により額は僅かに違いますが…政策の基準が弱者救済に傾いている為に無駄が増えます。一度に送金できる筈が二度、三度の手間が掛かります。
弱者救済はある意味で正しいのですが経済全体で見るとこのために無駄な費用と時間が浪費されます。消費者庁の創設。確かに悪い奴はいます。しかし全て取り締まることは無理でしょう。人間社会では色んな人がいます。そうして色んな考え方があります。基準を何処に据えるのか? 一所懸命に頑張る人がアホらしい。もうやめよう。頑張って働いても意味がないや…と考えたら社会の進歩はどうなるでしょう。今日の日経新聞にはソフトバンクのGDOの話しが載っていました。まるでソフトバンク批判にみえます。CDSの話しを悪戯に拡大解釈させ不安を煽る。
経済が後退すると喰えなくなるので、些細なことでもトラブルになります。思うように事が運ばないから自分の失敗を他人の責任にします。まぁ、僕も似たようなものです。こうやって政策批判をするのですからね。株価は正直です。理論どおり株価は動いています。仮に今の株価が本当に正常な価格なら…来年は更にひどくなりますね。三菱商事は赤字ですね。トヨタも、ソニーも、パナソニックも…ブルドックの事件に今井と言う最高裁の判事は、株主としての権利をスティールに認めませんでした。つまり株券は買う人によって権利が変わると言うことです。サラ金規制で金融庁は過去に契約した分までさかのぼって利息を返還しなさいと法律を定めました。これまでの法律が間違っていたと認めたわけです。僕が昔悪いことをして、お前は法律が変わったから刑務所に行けと言われているような法律です。
全てがおかしな仕組みになっています。今ついている株価は明らかにおかしな価格だと思うのですが…これが現実です。仕方がない日本に住んでいるのだから…世界経済をリードした金融デリバティブが見直され、遅れていた日本にチャンスがやってきました。三菱レーヨンはルーサイトを買収します。4位が1位を買収する? なんとも奇妙な現象です。キリンはオーストラリアのコカ・コーラ アマティルを買収する方向だそうです。バブルの清算がまだ完全に終っていませんが元気な日本企業。自社株買いが盛んに行われています。スズキがGMから株式を買い戻す。マツダがフォードから株を買う。ドルが米国に回帰していますが、円だけが独歩高です。理に適っている海外買収。
あれれ…、米国金融はゆとりがあるのかな?
バンク・オブ・アメリカが中国の建設銀行の株式を買い増すそうです。10.75%から19.1%ですよ。公的資金投入されている筈のバンク・オブ・アメリカが…まるで三菱UFJのようです。モルガンスタンレーに投資し増資をするなんて…この動きは大きな意味があります。一般にピンチはチャンスと言う言葉があります。リセッションの半ばに金融相場ははじまると言います。世の中の動きは面白いですね。さぁ、ここからが勝負の時期になりますね。来年に向って勝敗の分かれ目がやってきます。
投稿者 kataru : 2008年11月18日 19:16