今日の市況(2008年)(2008年12月04日)
NY市場の679ドル安をみて疑念が生じましたが、この2日間の上げは金融相場特有の「懐疑の中で相場が育つ」現象に思えてきました。NY市場は乱高下しADP(オートマチック・データ・プロセッシング)の内容は25万人減と予想より厳しいもので、これを受け明日の雇用統計をGSでは35万から40万人減へ修正し、BNPパリバは35万から45万減と大幅に下方修正をしていましたが株価は上がりました。GSとMSの赤字予想にも拘らず株価が上昇した「材料出つくし」という同じ現象です。明日の雇用統計は注目されます。
見方が大きく割れています。深刻な景気後退の入り口だと言う説と政策期待が株価を押し上げると言う楽観論です。中には来年後半には景気は回復し始めると言う意見も一部ですがあります。来年後半なら、そろそろ金融相場が始まる頃です。NYダウ平均株価の終値の安値は20日の7552ドルです。その翌日7392ドルを付けて5連騰と反発しました。その後、利食いとISMの予想外の低下で警戒感が増して679ドルも下げて2日間上げています。今回は金融株も回復しています。今晩のNY市場で8840ドルをクリアできればかなり市場心理は変わるのでしょうが…
今日の東京市場は夜間取引のGLOBEXが安いためか、一部で流されたGM倒産説のためか? 日本を代表する会社の株価は何れも下げていました。トヨタ、パナソニック、ホンダ、ソニー、三菱銀行と何れも新安値を更新していました。明らかに最近の株価は異常です。原油価格の200ドル説を信じる市場もおかしいと思っていましたが、今は35ドル説だそうです。サウジアラビアの採算ラインか国家の収支ポイントが50ドルとか…多くの産油国は既にコストが割高になっているのでしょう。株価の動きも異常です。多くの企業が黒字を予想していますが、現状の株価は大幅赤字を前提にしないと成り立たない株価ですね。
市場には極端に買い手が不在状態なのでしょう。年金基金が大量に買っても良いと思いますが、先日の日経ヴェリタスの年金批判が気になるのでしょう。サラリーマン役員は自分で責任を取る人種が居ませんからね。一番、株を買えるセクターが他人の顔色をうかがっているのですから仕方がありません。100年に一度の歴史的な現象が続いているのでしょう。原油価格が140ドル台に駆け上がる時に新しい動きが起こっていたのです。同じことが、今、起きていますね。はたして私の意見が正しいかどうか分かりませんが明らかに金融相場の前兆を示している事象はたくさん存在します。
金融・財政政策を一所懸命にやっているのが中国です。上海総合の動きを見ると確実に底入れの形を示しているように見えます。例えば関連するBRICs銘柄の商船三井の株価は若干安いですが株価は確りしていますね。強弱観が対立し始めています。明らかに買う筋も居るような動きです。一方、バラ積み市況は低迷し、このまま推移すれば赤字が確定する展開にみえます。どうなるのでしょう。中国の政策を信じるかどうかの選択ですね。私は当初7―9月期に1-3月に対する二番底を形成し株価は上がると考えていましたがリーマンの破綻がダメ押しを入れている様子がうかがえます。僅か、この2ヶ月で状況は激変しました。今晩の雇用統計にどう市場が反応するのか? 非常に楽しみです。
今こそ「強き相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」…と言う諺を噛み締める時はないかもしれません。
投稿者 kataru : 2008年12月04日 18:37