今日の市況(2008年)(2008年12月18日)
政策を馬鹿にしてはいけない。
私は日本の政策批判をしながら株を買い続け大きくやられていました。矛盾している行為ですね。日本の政策が悪いなら、株が下がるのは、ある意味で当然なのです。最近、米国株に注目するようになって気付いたことがあります。まだ米国株の動向を見始めたばかりなので、よく分かりませんが相関性はかなり高いですね。情報が一元化され世界同時に物事が動くようになっています。このような現象を、これまでは属国のようで、悲しいことのように感じていましたが、経済はグローバル化しており、当たり前の現象なのかもしれません。ネット時代の台頭で情報やお金は瞬時に動くので、値動きも激しくなっています。ネット証券では米国株式も簡単に買える事ところがありますからね。
一昨日、ゴールドマン・サックス(GS)の決算発表がありました。1999年の上場来初めて、21億2000万ドルの赤字決算でした。米国ではベア・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、モルガンスタンレー(MS)の5社の投資銀行のうち、なんと3社が独立できなく救済されました。残ったGSもMSも商業銀行化の道を歩んでいます。つまりFRBの管轄下に入り自己資本比率規制の対象になります。だから世界の資産が大きく売られる訳ですね。銀行が自己資本比率規制の為に、総資産を急激に圧縮したので混乱が起こったわけです。これが金融不況の一因です。
しかしGSは赤字決算にも拘らず、株価は材料出尽くしで上がりました。66.46ドルから76.00ドルへ14%も上がったのです。そうして更にFRBの政策の影響もあるのでしょう。昨日のNY市場は安かったのですが、GSは逆に78.78ドルと、更に続騰しました。実はリーマン破綻以来、下げ続けていた株価は23日のシティーへの2度目の公的資金注入と、資産への政府保証により株価は反転期に入りました。その一発目の高値が28日の81.19ドルですが、昨日、ついにその高値を僅かですが81.29ドルと更新しました。更に生き残ったMSは、昨日22億9500万ドルの赤字を計上しましたが、GSと同じように2%ほど高くなり、16.50ドルとなっています。
FRBは「利用できる全ての手段を使う」と明言しています。
世界中の中央銀行が大幅に協調利下げを実施して、世界中で財政出動をしているのです。株が上がらない訳がありません。ようやく2006年から始まった悪夢が幕を閉じます。長かったですね。売りを出来ない私は反省をしています。2007年の夏のBRICs相場は基本的に反対派でした。異常な商品市況は先進国の3万ドル水準でも堪えるのですから…1万ドル以下の国が耐えられるわけありません。当時、混乱の最中は、なかなか現実が見えないものです。同じように…今は逆の混乱が起きています。こんな異常な価格形態が長く維持できるわけありません。現金保有額より時価総額が安い? きっとこれから長い歴史の中でも、今度のような騒動は歴史的な記録で、滅多に起こらないでしょう。
少しは金融相場のイメージが実感できて来ましたでしょうか?
もともと、この度の不況の原因は金融不況なのです。米国の車販売の例を取り上げて、ローンの許可が下りないから車が売れない話しをしました。10月からは劇的に悪化している経済指標ですが、私にはやはり歴史的なチャンスに見えるのです。まだこれから滑走路に向う段階でしょう。長いフライトになるはずです。
「人間の覚悟」の一節に…『12世紀後半、平安末期から鎌倉時代の初めと言うのは、今と同じように価値観が大きく変動した時期でした。それまでの価値基準が何もかも崩壊して右往左往する人々に向って法然は「念仏で人は救われる。阿弥陀如来がすべての人を救ってくださる」と言って大きな支持を得ました。そうして弟子の親鸞は、何故、念仏を信じれば救われるのか、その秘密を説明して欲しいと乞うた人々に「それはわからない。私は法然を信じて、その教えのままに生きます。それで、もし地獄に落ちても後悔はしません。」と答えるわけです。突き放したような言い方ですが、信じるとは、裏切られても後悔しないと言うことです。何かを信じたなら、裏切られることがあっても絶対に後悔もせず、責めもしない、それも覚悟なのです。ですから今のような時代には、信じることほど大事なことはないかもしれません。』
投稿者 kataru : 2008年12月18日 17:10