今日の市況(2008年)(2008年12月22日)
NY市場ではGMの繋ぎ救済が決まり、NYダウは一時上げたけれど、引けには下げてしまい3連続安を演じました。かたるは11月23日の米国政府によるシティーバンクへの二度目の公的資金注入と資産への政府保証により、株価の底入れ宣言をして行動しています。その後、初めての3連続安です。GMへの資本注入は非常に筋が悪い政策です。市場原理国家らしく倒産させるべきだと思っていましたが、次期政権の意向が強く働いたのでしょう。しかしUAW(全米自動車労働組合)は強硬で、現実を見せつけるべきだと考えています。しかしどちらが正しいのでしょうか?
積極的な対応を見せているFRBですが、米国銀行株のその後の動きは上値が重い展開です。市場はやはり不良資産の買い取りを求めているように感じますが、新政権はどう行動するでしょうか? ただ同時にFRB効果により、ここに来て長期金利が急低下しており1%の金利低下は債券価格を8円ほど上げるのでしょう。4%程度から2.5%程度まで下げていますから12円ほどの値上がり効果があるのでしょうか?(この数字はいい加減です。およその目処として…)つまり1兆円の国債を持っていれば1200億円の含み利益が生まれたと言うことです。この影響は大きくゴールドマンサックスが、中国のファンドと組んでAIGの買収に乗り出すと報じられています。要するに投資縮小の歯止めが掛かり、場合によると増える可能性が出てきているということです。だから株価は強いのでしょう。
ここに来て日銀の政策が注目されています。白川さんは盛んに異常な行動をとる事になると、CPの買い切りをアナウンスメントしています。事実、その通りですね。中央銀行が民間企業に与信をするのですから異常です。米国以上の量的緩和なのです。だから日本株は確りしているのでしょう。しかし本来、好影響を受けるグループの銘柄が急騰してもいい筈なのに…まだ大きく動きません。理由は日銀の実効性を疑問視しているのかもしれませんね。日本政策銀行への融資の形になるのかどうか? 買い入れ額はどのくらいの規模か? 買い入れの対象は? この辺りにこれからの日銀の行動の注目が集まっています。さんざん騙されているから、市場関係者は慎重なのでしょうね。日銀のペテン懸念を考えているのかもしれません。市場なんて、こんなものかも知れませんね。
原油価格がOPECの減産にも拘らず、大幅に下げています。WTI原油先物など、もともと流動性に疑念があったのです。しかし皆が信じていれば現実に変わりますからね。一方、ドバイ原油の価格はWTIほど下がらずに、一時、安値35ドルほどがありましたが、現在は41ドル前後なのでしょう。つまり実需は強いのです。金融不安が解消に向かい、過剰資産の資産圧縮の動きは、徐々に鈍くなるのでしょう。そもそも原油価格が短期間に上がるのも、異常な下げ方をするのも、常識を逸脱している現象です。市場経済は魔物なのです。だから不安が和らげば乖離率の戻りを演じるのが普通です。この意味は重要なのですよ。銘柄選別に影響を与えます。ビスタに書いた銘柄選択も、このような背景があるのです。
さて財務省から11月の貿易統計速報が発表され、なんと2234億円の赤字でした。
既に経済の世界では国境と言う壁は意味があるのかどうか…疑わしいですね。日本の法人税は高く、雇用機会が奪われるのは当たり前。だから終身雇用、年功序列のよき時代を壊して、雇用形態を契約社員型に変化させたのは致し方がない現象なのです。それにも拘らず厚生労働省は、どんな経緯か分かりませんがグッドウィルを処分し、キヤノンに契約社員を正社員化させることを求めたのですね。ここに日本の限界点が見えるわけです。だからこそ前川レポートの重要性が浮き上がるのですが…。文句を言っても仕方がありません。このような積み重ねが東証一部単純平均の下降波動の現実なのです。
まぁ、現実の分析より目先の話。
11月の輸出額でみるとアメリカは33.8%の減少、EUは30.8%の減少、中国は24.5%の減少です。これから中国では財政出動が効いてきますが、中国のGDPの構成で輸出も重要な要素の一つです。果たして総需要が維持できるかどうか…。上海万博はこれからなので、私は春節以降、大きな伸びを見せるかもしれないと思っております。
故に、今、押し目を入れている銘柄の動向に関心を持っているわけです。ビスタニュースの読者の人は、言っている意味が分かりますね。まぁ、個別銘柄の動向より全体像を掴んでもらえば良いわけです。二回目のチャレンジです。シナリオ1から3までのシーソーゲームと、お客様には解説しています。次の焦点は米国金融株の動きがターゲットになります。オバマ政権の政策次第で株価の位置は大きく変化します。期待感が強ければ、更に上げ続けるし…果たしてオバマは救世主になりえるか? 更に白川さんの度量は、どの程度か? 株は色んな見所があり、だんだん面白くなってきました。
投稿者 kataru : 2008年12月22日 17:59