今日の市況(2009年)(2009年10月21日)
米国の新規住宅着工件数が予想の61万戸に届かずに59万戸になり、NY市場は朝方は安くなったけれどエネルギー関連を中心に戻し、下げ幅を縮小させて終りました。明日は中国のGDP統計が発表されると言います。此方の株式は戻り歩調です。世界経済はすこぶる好調で資源関連株が上がっています。
実は海運指標も戻り歩調になっています。BDI(バルティック海運指数)の推移を見ると昨年の第一四半期は9717でしたが、第二四半期は7173でしたが、金融危機が発生し第三四半期は1176、第四半期は1536となっていました。その後、徐々に回復し今年の第一四半期は2631になり、第二四半期は2811で推移しています。過剰船舶問題が背景にあり、5月以降下げ歩調だったのですが、昨日は第二四半期の平均ラインを越えて2832まで、再び回復歩調に転じました。赤字部門のコンテナ船もアジア発が日本発より先に回復し、運賃は値上げ歩調になっています。新興国の経済成長は加速され開発ラッシュが進んでいます。このような背景があり中国関連株は確りしているわけです。昨日紹介した三菱商事などは代表的な例ですね。
先進国より、需要の旺盛な新興国に支えられBBレシオも大幅な改善を示しています。まぁ、クリスマス商戦ですから当たり前ですが…。通常はここからしばらく上がり12月初旬になれば半導体価格も下がるのですが、今年は注目されるのが中国経済の影響力です。中国の需要のピークは2月です。最近は自動車もそうですが、中国が米国を抜いているのですね。東芝が上がっているのは頷ける現象なのです。しかし東芝は別の面もあります。年金債務問題は歴史があり従業員の多い企業が大変です。国債会計基準では2012年までに一括処理を謳っているからです。
JALの再建が話題になっている背景には、年金債務の話しがあります。同業の全日空は年金の抜本改正に取り組み、2003年に年間100億円の人件費削減と1500億円規模の退職給付債務削減を実施しているのです。努力している企業がいるのに、のほほんとしていて最後に公的資金では国民は納得しないでしょう。その為に、現在、話し合いが行われています。実は証券界も企業年金制度がありましたが、とっくの昔に整理して代行返上しましたね。普通の企業は時代の変遷でみんな泣いているのです。JALだけが例外はないでしょう。デフレ政策を採用するから、このような問題が出てくるのですね。早く問題の本質に気付き手を打つべきです。ユニクロ現象が広がる日本は異常な光景です。ルイヴィトン現象が懐かしい。
さて郵便局を民間企業として黒字転換させた功労者の西川さんは退任する事になりました。成功者が追いやられ、後任に元大蔵事務次官の斉藤さんが起用されるそうです。日銀総裁に大蔵事務次官の武藤さんを起用しようと自民党は試みましたが、民主党は「官僚の天下りは絶対にいかん」と言い、猛烈に反対し頓挫したのは記憶に新しい所です。斉藤さんはかなり優秀な方だそうですが…73歳で民間企業の経営経験はありませんね。どうもこの人事は筋が通らないと思うのは私だけでしょうか?
予算編成も税収不足とはいえ、収入の2倍以上に膨らむ92兆円もの暫定値を弾いています。なんだか…北海道の横路知事、東京都の美濃部知事の赤字だけを残した政治を連想するのは私だけでしょうか? このような漠然とした不安があるから、なかなか株価は伸びないのでしょう。自民党時代の官僚政権は利害関係の落し所を捉えていましたが…民主党はこんな事で大丈夫かな? しかし民主党政治は正しい選択で、乗り越えなくてはならない壁ではありますが、ちぐはぐな、かけ違いがチラチラ見えるのが気になります。市場は正直ですからね。
投稿者 kataru : 2009年10月21日 18:53