今日の市況(2009年)(2009年10月26日)
今日から国会が開かれ、鳩山首相が所信表明演説をされました。
要約などは日経新聞にも載りますが全文にざっと目を通すと…
『青森県に遊説に参った際、大勢の方々と握手させていただいた中で、私の手を離そうとしない、一人のおばあさんがいらっしゃいました。息子さんが職に就けず、自らのいのちを断つしか途がなかった、その哀しみを、そのおばあさんは私に対して切々と訴えられたのです。毎年三万人以上の方々のいのちが、絶望の中で断たれているのに、私も含め、政治にはその実感が乏しかったのではないか。おばあさんのその手の感触。その眼の中の悲しみ。私には忘れることができませんし、断じて忘れてはならない。社会の中に自らのささやかな「居場所」すら見つけることができず、いのちを断つ人が後を絶たない、しかも政治も行政もそのことに全く鈍感になっている、そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務です。』と選挙戦前日に流れたNHK放送の遊説シーンが所信演説に載っており、『人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです。』と言う障害者が働く現場の話しを紹介していました。日経夕刊の要約版では伝わらない政策姿勢が感じられました。
「戦後行政の大掃除」と言う言葉を用い改革姿勢をアピールしています。株式市場はこの演説を好感しているわけではないでしょうが79円高になっていましたね。雑誌には様々な観測記事が載っています。斉藤次郎さんの採用は小沢幹事長の顔を立て亀山氏が恩を売ったとか…。ただ東アジア構想を掲げる新政権ですが、具体的な提案に乏しいアドバルーン政治の印象が強いようです。どうやって構想を実現させるか。北方領土問題も触れていましたがどうやって実現させるのか? 兎に角、具体論に欠けるイメージが強いですね。その点、前原氏は着実に業務をこなしている様に感じます。地検から、きな臭い揺さぶりがありますが、神奈川県と静岡県で行われた参議院の補欠選挙でも民主党は2勝し、国民の支持が厚いことを考えれば既得権力者も安易に動けないでしょう。
株式市場をテクニカル面で考えれば、市場は年末年始高に向け動いているように感じます。今日の立役者は材料株のGSユアサです。私はNHKの放送を見ていないのですが、お客様に話しによれば電気自動車が中国で売られている話が話題になっていたそうです。韓国の7-9月期のGDPが発表されており2.9%増だそうです。3四半期連続で前期比プラスに改善するのは2002年1-3月以来、7年半ぶりだそうです。中国経済が伸びておりサムソン電子や現代自動車などが好業績なのですね。今日の二番人気はソニーで、薄型テレビなどが好調なのでしょう。トヨタ、ホンダなどの自動車関連も上昇していました。特に明日、決算発表が予想されるホンダは2900円と確りした動きでしたね。
今週から決算発表ラッシュが始まります。これから2-3週間は決算動向に左右される展開になるでしょう。例えば本日、決算が注目されていた信越化学は、売上が4172億円で純利益は355億円ですが通期予想を未定とするなどの姿勢が、市場関係者の不透明感を誘い株価は安かったようです。この現象を見ると、多くの企業のサプラライズ決算は期待できないのでしょう。第一四半期は世界経済の回復とのテーマがありましたが、回復を前提して動いている市場に、新たな驚きを与えるのは難しいのでしょう。むしろ材料出尽くしで売りが先行する展開になるかもしれません。今決算で注目されるのは、全体の業績数字ではなく地域別のセグメントでしょう。中国経済は内需刺激を実施しており、今日も川重などの話題が報じられていました。
少し難しいかな?
中国が韓国型になるのか…日本型を堅持するのか? 興味があるのです。
輸出入の推移が問題になりますが東アジア構想に絡み、このセグメントの推移は今後の相場観に影響を与えるものです。特に業種では自動車のセグメントに注意を払ってみたいと考えています。明日はホンダ、11月4日は日産自動車、そうして5日がトヨタですね。何故、自動車に注目するのか?
基本的に経済活動は住宅や自動車に、GDPの比重が掛かります。この2大消費財が健全なら多くの産業は好調なのです。薄型テレビではないですよ。テレビは10万円ですが車は100万円ですね。家は1000万円、2000万円です。だからこそ住宅価格などの推移は重要です。
米国では中古住宅販売の数字が発表されており、急激に販売数が伸びてきましたが単価は下がっています。本来なら販売件数も単価も伸びるのが正常な状態でしょう。この数字は強い動向ですが弱点も同時に見える数字のようです。 私が自動車のセグメントに注意を払うことは、意味があるのです。中国の自動車販売の成長力は驚異的な数字なのです。この傾向が続けば、間違いなく世界景気は二番底ではなく、新しいステージに入っているかもしれないのですね。2大消費地の経済動向に揺れる日本は、アジアを取り込むことが出来るかどうか…。鳩山首相は大政奉還発言をしています。新しい息吹を感じる市場になるかもしれませんね。
投稿者 kataru : 2009年10月26日 17:55