今日の市況(2009年)(2009年10月27日)
米国は原油安や増資観測で金融株などが下げ、株価が安かったと言います。かなり上がっているので1万円前後の値固めの動きになっているのでしょう。日本は鳩山首相の所信表明演説に具体論が乏しく、草食系発言の指導者では、日本の未来はなかなか見えないと市場は冷淡な反応です。小泉政権の時も最初は下げました。その後、構造改革姿勢が見え始めると株価は上がってきましたね。確かに成長論が欠ける癒し系の発言では、日本株が急騰するわけありません。しかし「コンクリートから人」へのコンセプトは頷けます。
一番、市場関係者が気掛かりなのは、米国との関係でしょう。
ワシントンポストで評価されたような『オバマ政権のアジア政策にて「現時点で(米国にとって)最も困難なのは中国ではなくて日本だ」との米国国務省高官の発言』とのコメントが、市場に陰を落としているのでしょう。世界の金融組織は米国が握っています。東アジア構想も頷ける戦略ですが、どうやって米国のご機嫌を窺いながら新しい成長の糧を見出すか? ここに焦点が集まります。
菅直人の国家戦略室は依然、深海の中ですが、国土交通省は有識者と検討していく「成長戦略会議」の初会合を開き、来年六月ごろに最終報告をまとめ2011年度予算に反映させるそうです。メール騒ぎで失敗した前原さんは一回り成長したかな?
この会議の検討課題は、▽拠点港湾づくりなど海洋国家日本の復権▽海外からの誘客増大による観光立国の推進▽オープンスカイ(航空自由化)の推進▽建設・運輸産業の海外進出による国際化-の四点とか…。拠点港湾づくりと海洋国家の発言は、いいコンセプトですね。東アジア構想とマッチします。
その本命である注目株の商船三井は大幅な減額修正の決算発表をしていました。
これまで2010年3月の最終利益を300億円としていましたが、僅か20億円の黒字と大幅な減額修正の発表になりました。この決算を受け後場から売り気配スタートで、株価は531円まで売られましたが、ほぼ織り込み済みで、その後は反発していました。この予想は為替を90円に、燃料を450ドルを前提に見込んでいました。問題は赤字のコンテナ船です。此方の赤字幅が今後、どの程度、抑えられるかにより業績数字は、大きく変わります。ただ2010年問題から、ここに来て中国やインドと盛んに長期契約を結んでいますね。今日の新聞では日本郵船がインドのタタ製鉄と石炭需要に対応して1.5倍の長期契約を結んでいますね。1.5倍です。先日に報道ではケープ型は28%増の船舶の増加でした。この辺りの動きをどう評価するか? これからの株価を考えるヒントでしょう。
自動車運搬船も回復しているのですが、その主役のホンダも決算を発表しています。期待している中国は、自動車販売台数の割りに数字は渋いものです。ホンダは中国を含めたアジア部門の発表ですが、45億→203億→275億円です。まぁ、35%以上も伸びているから文句は言えません。セグメントを見ると、やはり北米は儲かるのですね。1074億の赤字から71億の黒字が476億円の黒字ですから実に6.7倍です。ビッグサプライズではありませんが、アナリスト予想が通期1300億円でしたから(四季報数字は1000億円予想)この数字を1550億円に増額しておりマズマズの内容でしょう。
今日のように株価が下がると、投資家は弱い印象を持つでしょうが、世界経済は堅調な回復でしょうね。日本郵船が長期契約を結んでいるように、インドの成長は何れ中国のような経過を辿るのです。GDPの推移からみると2年後ぐらいから本格的な立ち上がりと思いますが海上輸送は活発化しますね。リカードの比較優位論を思い出してください。自由貿易の拡大は円滑な海上輸送がなくては成り立ちません。
「ハッ場ダム」を中止して、拠点港湾に投資するのはいい選択です。定期的な海上輸送が整備されFTAやEPAが確立されれば、国境はなくなり少子化問題も消えます。開かれた日本経済が誕生し薔薇色路線に発展しますね。このような動きを、政策が後押して具体的な行動計画に結び付けば、徐々に市場も現政権の信認に結び付いていくのでしょう。
はやく、早く…。スピードをアップして下さい。
投稿者 kataru : 2009年10月27日 17:04