今日の市況(2009年)(2009年10月29日)
この所、米国の指標は予想値に対し、実体は悪い数字が出ているケースが多いですね。
市場経済は常に修正されています。予想より実態が悪い場合は、当然、株価は下がりますし、予期せぬ結果は株価を動かします。そうして実体と株価は鞘寄せをします。過剰な期待が修正されるパターンが今の米国市場なのでしょう。
SOX指数が下がっていると言っては、東芝が売られたり…。日和見主義の日本らしい動きです。この時期はクリスマス商戦後を考えるので、季節的に弱くなりやすいのでしょう。しかし足元の半導体市況は依然、強いですね。本家本元はDRAMのスポット価格でしょう。最近は中国経済が世界経済の需要を左右し始めています。米国のGDPは1300兆円、中国は550兆円なので半分以下の水準ですが成長力が違います。自動車販売によく現れていますね。台数の比較では中国が世界ナンバー1ですね。日産自動車では1-9月期の販売は前年度比35.2%増の54万1428台ですが、7月以降は60%を越える売上の伸びを示しています。2交代制から3交代制と増産シフトしていますが、在庫はほとんどない状態だと言います。この話しは後日、詳しく書きます。
今日の本題は銀行株ですね。全般の相場が下がっているのに、何故、銀行株が高いのか?と質問されました。多くの証券マンは空売りの買戻しだと話していました。テレビで日経平均株価の寄与率が高いファーストリテイリングを買い、銀行を売るロング・アンド・ショート戦略をヘッジ・ファンドがしていると解説していたからでしょう。しかし実体は違うと思います。ビスタニュースでは18日号で触れていますが、長期金利の上昇が銀行株の動きを左右しているのでしょう。ここに来て1.24%だった長期金利は1.42%まで急騰しています。理由は財政支出の増大なのでしょうが…。(悪いインフレ説ですね。)株価はスタグフレーション懸念をしているのかもしれませんが、なんどか解説しているホンダの海外移転などが、日本経済の構造転換を即している影響かもしれません。解説は長くなるので、またの機会にして…。兎も角、金利の上昇は利鞘の広がりを示し、銀行の業績にプラス効果を与えます。
わが国の銀行貸し出しは465兆円で、その内、都市銀行の貸し出しは208兆円あります。仮に単純に0.18%の金利上昇は3744億円に匹敵します。おそらく70%程度が大手3行の貸し出しでしょうから…2620億で、1行辺り873億円の利益が膨らむ計算になりますね。調べてみると過去のデータでは金利が上がると、銀行株はあがる傾向があります。2003年5月に0.53%だった新発債は8月には1.47%まで急騰しています。この時の銀行株の値上がりは、昔、僕らに利益を与えてくれました。
日本人は保守的で国債投資はしますが、株式は大きく保有を減らしています。その為に機関投資家のポートフォリオは、日本国債だらけです。ここに金利高の恐怖が働きます。仮に1%も、金利が上昇したら大変な事態になりますね。運用者はヘッジの為に債券先物でヘッジ売りを出すでしょうね。それが更なる金利高を生みます。貸出金利は自動的に引き上がりますから、業績はプラス効果になります。反面、大手銀行は大量の日本国債を保有しているので含み損が生まれます。しかし適度の金利上昇は銀行にとってプラス効果の方が大きいでしょう。
鉱工業生産指数は上昇を続け85.1となっています。足元、多少緩んでも二番底にはならないでしょう。理由は中国経済の自律的な成長が続くと考えているからです。財政出動が民需を押し上げているから年率30%以上も自動車が売れているのです。日産の中国工場は3交代ですよ。この事実を良く吟味しないとなりませんね。米国株に揺れる日本株は世界で一番優位な地理的位置にあるのです。
投稿者 kataru : 2009年10月29日 19:54