今日の市況(2009年)(2009年10月30日)
米国のGDP統計が発表されました。
前日にGSが3%予想から2.7%予想に下方修正したので、市場では意外感があり株式は大きく上昇しました。バークレイズの森田氏など「最後の花火」と表現しピークアウトを打ち出していますが…果たしてそうでしょうか?住宅投資を見るとマイナス23%からプラスの23%と大きく増えており、サブプライムローンの修復が進み始めたことが窺えます。さらに心配していた消費も3.4%と減税効果があるのでしょうが伸びています。そもそも今回の不況は、金融デリバティブの発展により金融のリスク資産が拡大した影響ですから、既に自己資本比率が問われ正常化作業が終わり、住宅投資を見ればわかるように新規の投資が始まったことから、回復傾向は明らかでしょう。悪戯に弱気論を振り回すべきではないでしょう。
日本は少し異質です。
本日の日経産業新聞に東芝の佐々木社長のインタビューが載っていますが、政府への要望で「世界で事業展開している企業が、日本に本社を置いていたいと思える環境を整えることこそ一番大切なことではないだろうか」と述べていました。民主党政権が次々に打ち出す改革はある意味で正しいのでしょう。問題は経営者の事業意欲を削ぐような改革では成長率が上がるのかどうか…。ホンダは早くも国内30%カットを打ち出しました。大企業から税金を…と述べているような考え方では、企業は育ちませんからね。GDPをプラスに維持しないと社会保障費も出ませんから行く末は大変な事態になります。ここが今の株式市場の焦点でしょう。
世界はオーストラリアに続きインドも引き締め体制です。中国も新規の新興市場の値付きを見ればわかるように28銘柄でサーキットブレーカーがかかるほど熱狂的な投資ブームになっています。故に引き締め体制なのでしょう。財政支出が増えるために赤字国債の増発からの金利高は望ましい姿ではありません。ブラジルとは言いませんが、せめて先進諸国と同じような成長力を維持して欲しいものです。本来なら成長力の高い市場を抱える地理的に近い日本は断然有利な条件下にあります。今日は山九が中国の物流を強化する話が新聞で報道されていました。ユニチャーム・ピジョン・コマツなどの中国進出企業の業績は堅調です。ホンダの動きがグローバル企業の展開につながり、日本もアジアも国境と言う壁が低くなれば日本は限りない成長路線に突入できますね。
目先は負の遺産整理を余儀なくされている民主党ですが、成長戦略もチラチラ見えるようになっています。今は僅かに観られる成長路線シーンですが、このシナリオのイメージが投資家に長く植えつけられるようになれば、信頼感が失われた市場にも徐々に資金が戻り始めるでしょう。市場は心配する場面ではありません。何しろPBR1倍以下が67%もあり、黒字で配当しているのに32%もPBRが1倍以下なのです。この水準から更に下を考えることは、かなり無理なシナリオですからね。強気に年末年初の相場に取り組むことが好結果をもたらすのでしょう。
投稿者 kataru : 2009年10月30日 16:49