今日の市況(2009年)(2009年11月10日)
NY市場は新高値を更新しました。
米国は景気の状態が怪しくなると追加の景気刺激策を打ちます。所謂、市場主義ですね。市場の動向により政策を変化させるのです。ところが日本は何時まで経っても、計画経済の予算配分を続けています。今度の民主党の仕分け制度で、市場原理に変化するのでしょうか? まぁ兎も角、米国は市場原理により政策が実行されているから、株価は順調に右肩上がりで、多くの金融機関が倒産したり併合されたりしましたが、景気は回復傾向を続けています。
ところが日本では政策担当者である日銀の白川さんにしてもデフレ経済を認める発言をしているのに何も行動を起こしません。本当に…呆れるばかりです。昨日はベルリンの壁崩壊20年の記念日でしたが、日本は「平和の恩恵」を味わうどころか、東ベルリンより悲哀を味わっているのが国民でしょう。世界は市場経済に向かっているのに、それを否定し続けるから失われた時代が過ぎるのですね。しかし自前の資金で借金を賄っているから円高になっています。海外に借り入れが在る国とは違い債権大国なのです。しかし日本企業は鳩山さんのCO2削減宣言などから目覚め生産拠点をどんどん移行しています。スズキはタイで遅れていた新工場を稼動させるそうですね。マツダもタイで生産を拡大してオーストラリア向けに輸出を増やします。来年から日産の戦略カーが、来年、タイで生産され世界に向けて売られます。勿論、日本へも…。
そうですユニクロ化現象。SPA業態「Speciality store retailer of Private label Apparel」の波及です。目覚めること20年、ようやく日本の黒字を稼ぐ大黒柱である車の生産が、どんどん移管されています。トヨタも何れ追い込まれます。ここがキーポイントでしょう。経団連会長のキャノンの御手洗さんは、以前、民主党から派遣社員問題で国会で責められました。一時、厚生労働省も請負や派遣制度を認め空洞化を阻止しようとしましたが、2006年から方針を変更しましたね。グッドウィルの免許取り消しなどの処分はその流れです。構造改革の揺り戻しが始まったのが2006年です。しかし時代の流れには逆らえないのです。IBM化現象(11月8日のコラム参照)が日本企業の生延びる道でしょう。
11月5日金曜日の「今日の市況」で「流動性の罠」の解消と言う仮説を掲げました。
今日の新発国債金利は遂に1.485%まできました。国内の機関投資家は大量の国債を抱えどうするのでしょうか? 日経新聞は盛んに二番底を連日煽り関連報道をしていますが本当でしょうか? この報道にも拘らずNY市場は新高値を更新しました。資源価格は高止まりしています。バルティック海運指数も3480と再び上がり始めクリスマス商戦が終るこの時期としては珍しくDRAM価格も上昇し続けています。日経新聞の報道は正しいのでしょうか?それとも各経済指標が正しいのでしょうか?
確かに目先の株式相場は何を買っても儲かりません。連日、1000を越える値下がり銘柄があり新安値を更新している銘柄もありますが…。同時に地方銀行株は悪い筈なのに底堅い展開を続けています。ビスタニュースの今週の原稿を掲げたリスト銘柄14銘柄中、なんと9銘柄が地方銀行株でした。そうして不良債権処理が減っているという今日の日経新聞の報道です。今日のハイライトはなんと言っても三菱UFJ銀行でしょう。一気に500円大台に復帰しました。この背景は債券金利ですね。藤井大蔵大臣は懸念表明をしていましたが…銀行にとっては金利が上がると利鞘が増えるのです。銀行が儲かれば景気は回復するのが道理です。
金利上昇の背景は色々考えられます。一番大きいのは世界経済が回復傾向にあり世界の中央銀行が軒並みに金融緩和を実施しているからでしょう。再びチャンスが巡ってきましたね。2003年から小泉の構造改革で既得権力者を排除できませんでしたが今度は政権を変えて再挑戦ですね。あれから6年です。2003年当時ほど不良債権は多くはなく、JAL問題にしても貸し出しは少なく、みずほに至っては、おそらく会社更生法の申請した方が、損失が少なくなるのでしょう。何故なら今春、あれほどのCDSの損失を計上していたので、おそらくヘッジしていると思われるからです。まぁ要するに、2003年当時より財政状態はずっと良いのです。今度こそ2%の壁を打ち破ることが出来るかどうか…。
ただ私も不思議に思うことがあります。
10月25日号のビスタの原稿で掲げたように、いくら指数のテクニカル相場とは言え、デフレ銘柄と一緒に銀行株が上がる事があるのかどうか…。このような矛盾した動きを、株式市場は認めるのでしょうか? それとも一時的な現象で、指数によるテクニカル現象だから容認されるのでしょうかね?I RNETだけしか見てない読者には分かりにくいかな? 今日は新高値でしたからね。どう解釈すべきかな? 久しぶりに面白い段階になってきましたね。
投稿者 kataru : 2009年11月10日 19:54