今日の市況(2009年)(2009年12月17日)
ホーカン・ヘッデストレム氏(チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー)のレポートを読んでいて気に入った言葉がありました。
『金融市場では、希望こそが価格を押し上げる原動力なのだ。』と言う表現ですね。
その通りだと思います。この外人投資家は日本株が上がると言っています。理由として、『民主党政権から圧力があったのかもしれないし、単なる信念からかもしれないが、日銀は臨時会合を開いて追加の金融緩和策を発表した。』と述べています。市場とはこんなものなのでしょう。事実、この週に株価波動は変わっています。
もともと日本株は異常に安い水準です。理屈を探すのに苦労するほどの安いのです。
輪をかけて日本の経営者は、自分達の価値を下げて増資合戦をしています。能力がないから保身の為に安全弁を欲しがっているのでしょう。通常、信用力のある大手企業なら金利が安いので借り入れを増やしますね。ところが増資を選択しています。本当に市場を見ているのかな? 私が経営者で資金が欲しいなら希薄化懸念のない社債を発行するでしょう。日本郵船のような選択はしないで、商船三井の芦田さんの選択をします。でも仮に景況感が更にどんどん悪化するなら郵船の選択肢が正しく、早く資金手当てをしたほうが得になります。要するに景況感をどう判断するかの選択です。
日経新聞の「銀行増資、10年間先送り」の記事はどうも観測記事のようですね。
しかし亀井大臣は「欧州などが同調して日本の主張が通ったみたいな感じだ」と述べたとか…。正式には週内にもバーゼル委員会から基本的な骨格が発表されると報道されています。やはりあの記事は観測記事なのでしょう。日経新聞はいい加減な新聞社です。…と言うより、メディアとはそう言うものなのでしょう。確かに背景はあるのでしょうが決定事項だけを伝えているわけではありません。市場経済とはこんなものなのでしょうね。新聞を使ってアドバルーンを掲げて市場の反応を見たりもします。
なんだかビスタの参考銘柄を見ていると、自分は天才じゃないか? …なんて錯覚を覚えるわけです。今日も数号前の掲げた銘柄が一時ストップ高です。別に…上手いわけではなく、単に相場が良くなってきたのでしょう。色んな選択肢はありますが、どれを自分が選択するのか? そんな問題なのです。世界経済は、力強い回復になっています。金融力が米国でも弱体化しているのでなかなか需要が生まれません。例えば米国の新規住宅着工件数が発表されました。米国では中古住宅販売が主流です。左軸が中古販売で右軸が新築販売、10月は中古販売の年間換算で610万件ですが新築は52万7千件ですね。でも好景気の時は700万に対し200万件くらいなのです。11月の新規住宅着工件数は57万4千件なのですが…
実は先日、新聞を読んでいたらアジアで作った家具の米国の販売が伸びてないのでコンテナ船の空きがあるという記事を読みました。本当かどうか分かりませんがコンテナ船の15%程度はこの家具がスペースを埋めていると書かれていましたね。…と言うことは、海運市況も米国の新規住宅着工件数に影響を受けます。面白いでしょう。私は商船三井をこの暴落から手掛けていまして海運市況を研究しています。バルチック海運株指数やワールドスケール、コンテナ船など…今は欧州の荷動きが回復して市況が持ち直していますし、油送船は船を備蓄に使って市況を維持しています。株が上がらないのは何故か…不思議なので色んなデータを見ているわけです。株というのはこのような数字が色んな所に波及するのです。家具付きの中古住宅販売が伸びても…コンテナ船は埋まらない。もし新築に回復の兆しがあればコンテナ船の空室は埋まり市況が改善するという連想ですね。
このように株屋と言うのはあらゆるデータから業績予想を弾き出します。今、一番良いのは車ですね。車の話しは何れしますが兎に角、中国がモーター・ゼネレーションに突入したことを忘れないで下さい。上海証券取引所上場の自動車部品メーカー、寧波韻昇がいすゞ系の日興電機工業を11億7000万円で買収すると発表しました。こんな記事は非常に大きな意味を持つのです。何故、中国企業が日本の自動車部品会社を買うのでしょう。二番底など世界経済にはありません。しかし日本の現状は今が二番底のイメージなのでしょう。特に建設業界ですね。しかし銀行の新BIS規制に直しなら…ある会社の株が上がるでしょうね。株は常に連想ゲームなのでしょうね。
『金融市場では、希望こそが価格を押し上げる原動力なのだ。』
投稿者 kataru : 2009年12月17日 19:15