今日の市況(2010年)(2010年10月29日)
NY市場をはじめ各国の株式市場は確りしているが、日本株だけが軟調で新安値が続出しています。考えてみれば6ヶ月前に押し目と思って買った株式は、本格的な下げへの入り口でした。たった6ヶ月でずいぶん景色は変わるものです。あの時は日銀の政策変更を切っ掛けに外人投資家の買いから株式は上げてきました。しかし補助金政策などの政府支援がなくなるので二番底に陥るとの見方から株式市場は軟調な展開になり現在状態に陥っています。しかし現在は世界的には景気の二番底はないとの認識に変化しデカップリング論(新興国の需要が先進国の景気後退を埋めること)が認められています。
ところが信用取引で買ったお客さまの多くは、株の売り切りが多く現引きもクロスもしません。株が嫌になったのかな? 多くのお客さまの心情は精神的な嫌気です。景気の見通しではなく世情の暗さに嫌気がさしているのでしょう。それにしても、どうして今日はこんなに下がったのでしょう。株屋は下がった理由を聞かれますが…円高の影響?とか色んな解説が出ていましたが、どうも日銀レポートの認識と多くの民間アナリストの認識の違いのズレが嫌気を生み先物から売られたという解説が適切でしょうか?勿論、需給面で信用の期日なども影響しているのでしょう。
つまり12年度に、日銀は28日発表した半年次の「展望リポート」で、生鮮食品を除くコアの消費者物価指数上昇率見通しを引き上げ、日銀は2012年4月から始まる12年度の同指数上昇率を0.6%と予想しましたが、これはエコノミストらの予想0.1%と言う上昇を大幅に上回っているのです。更に日銀の強気の見方は同年度の経済成長率を強めの2.1%とした予測に基づいていることで明らかです。日銀はどうやら2.1%成長の結果、需給ギャップが縮小する、つまり日本の工場やサービス部門の生産能力の稼働率が上昇すると考えているようなのですね。
政策当局の認識が、市場の危機感と違えば、政策は緩慢になり景気は更に悪化します。市場はそれを警告しているという認識が、我々市場経済派の心配ですね。何度も言いますが、市場との会話がない計画経済の日本は、いつまでも「流動性の罠」に嵌まり込み、グルグルと同じ所を回っているだけと言う見方ですね。元日銀総裁の澄田、三重野の認識は長い日本の失われた時代を作り上げ、「白川…お前もか?」とシェイクスピアの世界に引きずり込まれた印象ですね。
まぁ、結局は失政の時間が短い米国は、期待インフレ率を高める為に、1兆ドルの資産を倍増させ、更に積みましてドルの価値を、危うい状態まで追い込む冒険をしてまで、期待インフレ率を高めようとしているのに、日本の政策との温度差が、両国の株価評価の違いなのでしょう。
デモね。外人投資家は、それなりに5日の日銀の包括的な金融緩和政策を評価して買っているのですが、個人投資家は目先の株価に惑わされて、売っているわけです。潮目は変化したようにも感じますが、展望レポートのような認識を見せ付けられるとなんだか…株高を叫ぶトーンも鈍りがちです。
さて現在の市場の状態を表しているのがガイシの動向でしょうか?
たしかに市場予測より弱めの発表のようですが…ここまで市場は反応し懐が浅いとは…。やれやれ…やはり参加者は少ないようです。
投稿者 kataru : 2010年10月29日 18:56