今日の市況(2010年)(2010年11月05日)
色んな観測がありますが、昨日のNY市場の上昇は、FRBが実施するQE2を市場が評価しているのでしょう。通常の反応を市場は示し、「流動性の罠」に陥った日本とは違うと、市場はFRBの政策に応えたわけです。下院で共和党が主導権を握った効果は大きく、早くもWSJは「次期米下院銀行委員長の有力候補であるバッカス下院議員(共和、アラバマ州)は4日までに、各金融規制機関に書簡を送り、銀行の自己勘定取引規制などをうたったボルカー・ルールを柱にした金融規制改革法を「厳格」適用した場合、米経済に「大きなコスト」になると懸念を表明、同法の運用規則を緩和するよう要求した」と報道しています。
このような環境を受け、昨日は横這いだった米国金融株に動意が見られています。
上のチャートはこの5日間のバンカメの動きです。どちらかと言えば、バンカメは問題行の一つで、シティーバンクと並び健全度が低いほうだと言われていましたから、出遅れていたバンカメやシティーが上がっている効果は大きいと言えるでしょう。しかしシティーなどは、まだ「りそな」と同じようなものです。その「りそな」は21年前のバブルの清算を早める為に、増資を行うと報道されていました。その影響を受け、この相場の中でもストップ安の売り気配でした。
お客さまの話では…「妥当価格は20円とか…?」テレビで暴論を述べていたそうです。でも本当かな? たしかに純資産は低く、四季報の数字では1株純資産価格は80円となっています。他の大手銀行に比べると高すぎるともいえますが…。最終利益は1500億円前後ですからPER10倍で1兆5000億円だから、現在の発行済み株式総数は12億1495万株なので、株価は1234円が妥当価格で、仮に、新規発行を二倍にすると半分の613円になります。いくら現在の純資産が低いと言っても、20円なんて評価がおかしいな…きっと、お客さまの聞き違いでしょう。
実はこのようなデマのような話は、市場で横行しています。
今日は日銀の政策会議が開かれていましたが、既に日銀がリートやETFを買い始めていると話しを聞きました。しかし来週から、まずは国債から…随時買い入れを始めるとの話しで、今回の金融政策会議は10月5日に発表されたものの追認ですから、市場に大きなインパクトを与えるものではないでしょう。確か記憶によれば、1年かけて効果を見極めると、いつか発言している筈で…日銀は非常に鈍い対応なのでしょう。
ところが、FRBは来年の6月までに6000億ドルの国債の購入を決め、更に償還になるMBSなどの資金も再投資を決めており、両方合わせると8500億ドルから9000億ドルになると言いますね。1ドル80円として72兆円です。それも6月までに実施するのです。驚く事に、足りなければ更に増額すると述べています。日銀と対応が違いますね。日銀の30兆円は既存分で、今回は5兆円の追加です。それを来年中と言う話しだと記憶しています。
果たして、米国の期待インフレ率は高まり、企業の現金が投資に振り向けられるか?
更にバーナンキ議長は「株式が上昇する事による資産効果を…」発言したと伝わっており、市場関係者はFRBが、株高にお墨付きを与えたと解釈したのでしょう。だから高値圏でも大幅高したのでしょうね。株高は投資家の可処分所得を増やしますから、当然、消費を刺激します。企業は期待インフレ率が高まり、現金を保有していても目減りするばかり、故に投資活動に移ります。消費が刺激されますから、企業経営者なら機会損失を避けるために、在庫を積み増し生産活動を活発にします。ここに共和党の金融規制緩和策が銀行の融資活動に火をつけますから、空前の過剰流動性相場がスタートするとの読みも、当然、成り立ちます。
日本のマスコミは雇用統計を気にしますが、こんな統計は遅行指数ですね。住宅価格もそうです。いよいよQE2が過剰流動性相場に火をつけるかどうかは…やはり米国金融株でしょう。それも二番手の出遅れているバンカメが有望かな? GSやJPMなどより変化率が高い筈ですね。そんな想像が働きます。
それでは…日本はどうなるの?
やはり日銀さんの対応次第でしょう。
しかし日経新聞にあるように、ドル評価なら出遅れ感は緩和されますね。一応、並べて円評価とドル評価を掲示します。でもね。昨日、今日の株高は、残念ながら…先物の主導による見せかけの上昇かな? このような相場の時は主役の動きが大切です。今日はファナックにコマツか…共通項は新興国の設備投資に絡む動きですね。まぁ、今日は時間がなく、ざっと、今の感想を述べました。明日にでも、もう少し考えてみよう。
投稿者 kataru : 2010年11月05日 20:29