今日の市況(2011年)(2011年08月25日)
かたる:市場経済の本家、NY市場は弱気市場に移る20%の下げを免れるかどうか…強気に見れば二番底を形成しているようにも見えるが…果たしてどうだろうか?

トロ:今日は上げているが、26日のFRB議長への講演期待が主因だよ。でも政策手段は乏しく期待される内容とは違うから、まだ分からないよ。やはりドルと言う基軸通貨の信認問題がかかっており、非常に大きな問題だから、かたるが7月に述べた1万ドル割れが実現する確率が高いんじゃないの? 昨年の講演ではQE2を示唆したので、今回も市場関係者の期待を一身に背負っているが、かたるが6月に紹介した米国のゾンビ消費者の実態は健全な状態に戻るまで時間がかかる内容だよね。
時代や:そのゾンビ消費者って、何の話だっけ。
かたる:あれは6月16日のFTの記事を紹介したんだよね。問題にした記事は「米国の家計部門の債務は2011年初頭に可処分所得の115%まで減少した。この数字は2007年に記録したピークの130%より15ポイント低いものの、1970年から2000年までの平均値である75%をまだ大きく上回っている。」と言う米国のゾンビ消費者の実態だよ。住宅ローンの返済分が余るから、この余った融資枠を、また消費に回す過剰消費の実態だね。つまり実質的な債務は減らない構図の解消の話。
ここからはビスタの原稿…「基本的にリーマンの金融危機は日本のバブル処理と同じですが、違うのは米国の対応が早かったのですね。日本を反面教師にして対策をしてきました。私はQE2が効果を生むと考えていましたが、その後の金融規制の方向性は変わりませんね。手打ちの様相が依然見えません。米国金融機関は一次的な不良債権処理は終了しましたが、二次的な訴訟処理などに明け暮れています。
日本の円高対策で打ち出された1000億ドル構想の「緊急ファシリティ」の評判は悪いですが、私は良い構想だと思いますね。何故なら為替介入した1000億ドルで米国債を買わずに日本企業に融資するわけです。日本企業にその分の資金が国内還流しますね。何れは出るのですが、一時的に日本国内に資金が滞留します。何より企業に力を与え、一番、大きなことは低利で資金が借り入れられM&Aが促進されれば、過度のドル安は資産価値を安値で投げることになり、ドル安の恐怖を米国は味わいます。この心理効果はあるでしょう。経済は直接的な行動よりこのような心理面の効果が威力を発揮するのです。良い政策です。
米国も同じですが…、日本はやはりスマートシティー構想を推進するかどうかです。今日の日経新聞を読むとPFIの活用が載っており良いことですね。この際、地方自治体は小さな政府と同じく小さな役所を目指し、図書館運営など民間に委ねるべきですね。多くの役所仕事は民間が出来ますから、仕事を民間に移管させれば効率化が進みます。問題は総合コーディネーターと言うか、総監督がいない点です。個別対応になると効果が大きく下がりますね。だから大手デベロッパーの三井不動などの力を借りればいいのですが…そこまで進むかどうか…。
この発想が進むと、昨日買われた大手ゼネコン、大成建設とかも有望株になりますね。しかし基本は銀行ですね。開発にお金はかかりますから…銀行の株価は大きく上がります。内需振興、新技術革新、効率化で産業革命と同じ効果があります。このキーワードはインターネット言うか、情報化ですね。今まで関心がなかった、電力、ガス、水道の「見える化」から、交通量の状態情報の「見える化」、物流は既に自分の荷物が何処にあるか「見える化」されていますね。きっと、この「見える化」はキーワードになりますね。人間心理は先が見えれば、ゆとりを感じます。最近の信号機にも、あとどれくらいで信号が変わるかと言う表示がされていますね。
株もこれと同じなのですね。情報をオープンにして、投資家を信じさせれば勝ちですね。現在は投資家が未来に対し、自信を失っているだけなのですね。最近の指標の悪化度合いを見ていると、悪いのは実際の受注などの数字ではなく、心理的な指標が悪化しています。先日のフィラデルフィア連銀製造業景況指数なんかは、その一例です。だから期待されるFRBは人間心理を変えることが出来るかどうか…です。
昨日発表された米国の7月の耐久財新規受注は「輸送機器の受注増を追い風に季節調整済みの前月比で4.0%増となり、エコノミスト予想の2.0%増を上回った。」と報道されていますね。この内訳の大きなものは「輸送機器に分類される非国防航空機・部品は43.4%増加。米航空機大手ボーイングによると、同社の7月の航空機受注数は115機と、6月の48機から大幅に増加した。」となっています。つまり私が大阪チタンに、依然、注目している理由が分かると思います。ただ大阪チタンはシリコンも始めたからね。この点の影響は分かりません。
まぁ、このように指標にも二通りあり、心理面が先行指標なので早く改善させないと、本当に実体景気はどんどん悪化していきます。米国の場合は株価ですね。だから株価を上げなくてはならない。そうすると流動性不安を変えるためには量的緩和は必要で、資源が上がるから原油価格は実体景気の状態で高止まりしていますね。ドバイは100ドルを割っていませんね。だからAOCが注目されるのです。カタル注目の3銘柄はその様な背景があり注目しています。」…と今日も午前中に書いたビスタの原稿を掲げました。
トロ:最近は手抜きが、多いんじゃないの?
かたる:午前中に書いた原稿は他にもあるが…そうだな。やはり注目されるのは中国の鉄鉱石の手当てにより、ばら積み船の運賃が上がっていると言う話だけれど、海運は駄目だよ。過剰船舶問題があり、どうもバランスが取れないんだね。商船三井はあれほどの環境にも不発だったからね。基本的に世界景気が活発なら、海運株も上昇するが、グリーンスパンが指摘しているように欧州の停滞が米国の足を引っ張っていると言う指摘もあるよ。
ただ、住宅を含めた耐久消費財の回復は鈍く整理が進んでおり、仮にリセッションに入ったとしても浅いのだろうね。現在の心理パターンが実体経済を押し下げ、年末ごろの実体経済の指標を悪化させるが、その頃には、金融ショックの後遺症は、かなり軽くなっている可能性もあるね。
何度も指摘しているが、中国人民銀行が短期金融に資金注入したのが6月だよ。そうして本日のばら積み船市況の話は一連の流れを示しているね。ファナックの稲葉発言が正解かも知れないし…。過剰な心理的な警戒感は行き過ぎた反応とも言えるかもしれない。つまりカタルの銘柄選択は仮説に基づく裏付けがある。AOCだってたしかにWTIは下がっているが日本はドバイ原油が主体で価格は100ドルを超えている。仮にFRBが量的緩和をさらに拡大させるなら…資源価格は上がるね。勿論、商社なども当て嵌まるんだね。多くの人は値動きに一喜一憂され株価しか関心がないが…背景をしっかりとらえていれば株価の将来は分かるよ。下げているDENAもしかり…買い場に近づいていると思うよ。
最後にアップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が退任したけれど、その手紙の冒頭に「私は、アップルCEOとして職務と期待が果たせなくなる日が来た場合、まず最初にあなたたちに伝えるとかねてから言ってきた。」と述べており、日本の経営者と違うね。アップルの株主への責任が果たせなくなったから、辞めると言っている。多くの日本の経営者は恥ずかしくないのだろう? 株価の下落は市場の責任だけじゃないんだね。

投稿者 kataru : 2011年08月25日 15:24