今日の市況(2011年)(2011年11月25日)
かたる:今日は効率的市場仮説について考えてみます。
市況を解説してもあまり意味がないので…。でも様々なテクニカルデータに底入れシグナルが発生し始めているのは事実です。昨日はオリンパスについて書きました。下落を続けていたソニーやエルピーダなどは反発の解説が付きませんね。業績は良い訳じゃないのですが株価が反発しています。材料で動く株より自然発生的に相場が強いのは、もっとも確かな動きですね。売り物がかすれているのでしょう。確かに最近、定説になっている欧州危機から資産圧縮は続いているようですが、彼らはプロで闇雲に売り続けるほど、追い込まれている訳じゃありません。要するに方向性は今の所、資産圧縮に向いていますが、政治主導で金融機関の自己資本比率問題など、いくらでも先延ばしできる話ですからね。イタリアの国債利回りだとか…ドイツだとか騒いでいますが、今日はその周辺を市況解説から離れ考えてみます。
冒頭の「効率的市場仮説」は、市場は全ての材料を織り込んで動いていると言う仮説ですね。つまり市場の付けた価格は正しいと言う仮説ですが、嘗ての資産バブル時にはQレシオが生まれ、何とかその現象を合理的に解説しようとしました。このように市場の異常価格は時々起ります。ITバブルの光通信やソフトバンクなど…。ただその異常な価格水準が長引くことはありません。一時的にその株価を支える勢力が支持されることはありますが、一般化しないうちに異常な価格は修正されるのが常です。
でも市場経済は、常に現実と市場の間で情報が交錯し合い、一つの合理的な手段を求めているのが効率的市場仮説の別の見方です。此方は一般化してないので少し解説します。市場原理主義は、常に富の配分を変えています。その配分の変化により成長力の高い企業への資金調達を応援し、成長力が続く限り、その業界は世界から支持され伸び続けます。こうして資本主義経済は発展してきました。富の配分を公平化するために社会主義や共産主義が生まれますが、人間の欲が絡みうまく機能しなくて、先ごろまで市場原理主義が覇権を握ったかに見えました。オプションの原理の発見から金融デリバティブが盛んになり、金融が現実経済を大きく超えたのが金融危機です。サブプライム・ローンの崩壊から、CDSの混乱はベア・スターンズの破たんから、リーマン・ブラザーズの破たんになって動きました。
この処理の善後策として金融機関の自己資本比率規制強化です。BIS規制で中核自己資本9%と言う基準を求められています。銀行は余剰資金を国債に投資しており、その国債がデフォルト・リスクから価格が下落し損失を埋める為に、更に資本の増強を求められているので、欧州は連鎖崩壊を繰り返しています。切っ掛けはギリシャのソブリン・リスクの処理が間違っているためです。銀行にギリシャ国債の損失を求めたので、銀行は自己資本を補わねばなりません。それならばイタリア国債の損失も、同じように評価損を迫られるから、その恐れの為にイタリア国債を売っています。この連鎖がドイツ国債まで現れています。この現象は現実世界が正しい枠組みを作り続けるまで市場の要求は続きます。つまり現実世界が、市場経済の求める効率化を達成するまで要求されるのです。日本の長期株価下落も同じことですね。政策が市場の要求に応えてないから、市場が要求を続けるのです。これが市場原理主義の考え方です。市場の痛みは必ず現実の現象になってあらわれ、改善されるまで市場の要求は続き、市場に促され現実世界は新しい試みを繰り返しながら、人類は成長してきました。市場原理の考え方ですね。
さて今日の日経新聞1面です。
「ユーロ安定へ条約改正」独・仏・伊首脳一致EUに予算介入権との見出しが躍っています。はやくから通貨だけを統合する形は不自然で、財政に介入する予算権の問題は存在していました。更にEU共同債の発行もその一環の動きですね。欧州危機はグローバルな地球連邦構想の実験ですね。いずれそうなります。為替の問題など…何れなくなります。世界通貨は統一されますし、貿易の関税を含めた税金問題も統一されるでしょう。世界統一の消費税とか…そういう風に変化しますね。それが「アラブの春」であり、ウィキリークスの誕生なのでしょう。間もなく言葉の壁もなくなります。スーパーコンピュータが発展し翻訳機能もより優れたものになるのでしょう。
ドイツ国債が札割れしたのは、新しい枠組みを求めた動きですね。政治主導で変わらねば変わるまで要求されますし、最後は追い込まれますね。ちょうど損切りをしないで信用期日を迎えるようなものでしょうね。トカゲのしっぽ切りで市場は納得しないでしょうね。同時に自己資本比率規制などの清貧思想はやめるべきでしょう。やるなら好調な時に求めるべきで、悪い時に無理してやる必要はありません。欧州危機の報道に予算権の話が躍ると言うことは、そろそろ一巡する可能性が高いと考えています。その時に意外に強い景気需要を確認するかもしれませんね。日本はこれから復興予算が執行されます。
そろそろクリスマスだから、意外に転換相場は既に始まっているようにも感じています。1億2千万人向けのスマートフォン関連のゲーム市場は、米国の3億人や中国の13億人市場への広がりに向けてスタートを切りました。このプレスリリースがホームページに発表されたのは7月27日です。何故、私が第3成長期のDENAに注目するのかと言えば、第2成長期に、私はこの会社の成長を見逃し、折角、持っていた株を売ったからですね。2009年末の話です。あの急成長が理解できなかった失敗が、今回は生きるかどうか? サービスの提供は8月からなのです。
最後に中国人民銀行は、浙江省の5地方銀行に対する預金準備率を50ベーシスポイント引き下げ16%とした。…とロイターは報じています。この動きは予兆でしょうか?
投稿者 kataru : 2011年11月25日 15:21