今日の市況(2011年)(2011年12月16日)
かたる:ようやく逆業績相場の終演に近づいている様子ですね。グローバル化と言うのは何処に照準を合わせるか非常に難しいですね。日本株だから日本の景気状態に照準を合わせるのかと言えば既に世界経済により利益が左右され、日本企業の半分程度はアジアからの利益で動いているようですね。だから欧州景気の停滞は確かにデメリットですが、日本経済にとっては大きなセクターを占めているわけではありません。米国の方がずっと大きなウェートを占めていましたが、近年はアジアの方が多くなってきていますね。何故、私が何度もコマツの受注動向の数字を取り上げているかと言えば…そういう事なのです。
第二四半期累計(半年間)のコマツの売上高は9858億円ですね。うち建設機械と車両が8536億円で産業機械他は1321億円です。主要品は建機で油圧ショベルやブルドーザー、ホイールローダーなどです。通期のセグメントを見れば連結売上1兆8431億円の内、日本は3491億円、米国は3974億円、欧州・CISは1654億円、中国は4282億円、アジア・オセアニア地域は3983億円、中東・アフリカが1045億円です。比率に直すと日本は18.9%で米国は21.5%、欧州・CISは8.9%で中国は23.2%、アジア・オセアニア地域は21.6%で中東・アフリカ地域は5.6%なのです。
トロ:しかしコマツは鉱山などの資源国が大半で、その動向が世界経済の実態を表しているとは言えないよ。
かたる:大きな景気循環を考えてほしい。確かに消費だけを捉えれば、そういう解釈でコマツは相応しくないが、今の世界経済は日本化現象でデフレ社会に陥る瀬戸際の所だよね。経済成長率とは社会基盤を積極的に作る途上国が最も高く、経済成長のエネルギーに満ち溢れ、所得は増えて購買力が高いんだね。だから世界経済の成長力と言う観点で見れば建設機械は景気の初期に活躍する産業だよ。コマツがここ数年主役になっているのはその様な訳がある。やがて所得があがると耐久諸費税の頂点である車、家が売れるようになるよ。今の中国は中だるみ現象だが一昨年から昨年の動きを見れば分かるね。
故に僕は盛んに車関連に注目し推奨してきたよ。でも日本は残念ながら劣勢で、既に産業の競争力観点からグローバル的にみると斜陽に足を踏み入れているかもしれない。トヨタは大切な時期に米国で大型車の投資を先行させ失敗した。結果論だがレクサスなどで力を入れる時期に中国へ軸足を移すべきだったね。地理的に優位なのにドイツのVWにしてやられているよ。流石、GMだね。米国より中国に経営資源を投じ経営を立て直してきたからね。日本は日産だけが頑張っている。でも韓国に勢いで負けているかもしれないね。
話はそれたが、僕が何度も日本経済の業績はそんなに落ち込まないだろうと…考えているのはアジアの積極的な展開にあるよ。タイの洪水で嫌と言うほどその事を考えさせられたね。既に日本企業はアジアにスタンスを移しているよ。どの企業も収益はアジアを中心にして伸びているからね。欧米は横這いで良いのだよ。
時代や:じゃ、何故、日本株は売られ弱いの?
かたる:うん。負け組根性が影響しているのだろう。日経新聞は連日、欧州危機を煽り少し異常だよ。何故、今頃、煽るのかな?もともとユーロの矛盾点は指摘されていたよ。通貨だけを統合している点に市場経済は大きなギャップを感じていたね。でも今回の危機で財政規律が重んじられこの基準が確立されれば、やがて財政も統合されるだろう。その過程に過ぎないよ。むしろ前より問題点が明らかに認知されシステム的な問題点は峠を越えていると思うのは僕だけかな?
時代や:しかし1月には再び大量の国債償還があり資金手当てが不安定じゃないの?
かたる:だから僕らが認知すると言うことは既に峠は越えているの。市場関係者は既に次の準備に入っていると思うのが普通だよ。だから日経新聞は踊らされている事例だと思うよ。金融危機の時はサブプライムの後にCDSが隠れていたので、僕はその存在も知らなかった。でも現場にいれば分かる話だね。
話しを戻すが、ここに来て株が安いのは残った僅かな外人売りとむしろ国内の決算期末を控えたリスク回避の動きじゃないのかな?でも考えてみれば分かるよ。ROEが10%以上もあり配当利回りが2%を超えている企業が100以上も存在するんだよ。サスティナブル成長率(内部保留による潜在成長率)は高く非常に魅力のある会社だよ。
例えば今日、野村証券はSNSのスマートフォン関連の見直しを行ったようだけれど、この産業は日本が世界トップ企業だよ。必ず外人の再評価が入る業種だと思うよ。
時代や:おいおい、失敗したモバゲーの話しか?
かたる:失敗した? 確かに最近僕は2700円台から買いに入り継続的に買い下がり、買っては投げを繰り返しているが、失敗したなんて言う認識はないよ。もともとこの会社は早くから注目し、株式分割する前から買っている。みんなは忘れたかな?僕は携帯コンテンツに早くから注目し、その関連ばかり買っていた時期があるよ。サイバードはMBOでなくなり、その代りにインデックスを取り上げたが失敗だったね。落合さんにはがっかりしたが、南場さんのモバゲーだけが残ってきた。グリーの時価総額は5788億円ぐらいで…DENAは3438億円と過小評価されているが、海外展開などのこれからはDENAの方が早くから取り組んでおり先行していると思うけれど…違うのかな? 何故、こういう評価になっているのかな?
まぁ、いいや。兎も角、ソフト技術は利益率が高いんだよ。僕が無線LANソリューションのユビキタスに注目するのはこれからの未来技術の一端を担っているからだね。まぁ、007にそれだけの技術があるかどうか僕には判断がつかないが、任天堂に採用された技術力は本物だろう。同じことだからね。スマートフォンを取り込んだ未来型社会の要は情報の活用だよ。だから本日の野村が掲げた銘柄、サイバーエージェントもそうだけれど…これから日本を代表する大会社になる素質があるんだよ。トヨタではないよ。
トロ:まぁ、夢を語らせたら…なかなかだね。夢は朝になれば覚めるもの。実現するかどうかは玉手箱さ。でも今日は日立もコマツも終日、安いね。かたるは上海総合株価指数に注目しているようだが…連日、安値を更新しているんじゃないの?
かたる:そうだね。株式相場でもっとも面白い場面だよ。僕は詳しく見ているわけではないので分からないが、一般的には逆業績相場から金融相場への移行期だね。このような時は不動産株なども注目されるはずだよ。北京で開かれたフォーラムで中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、2012年は実体経済の支援と内需の拡大に焦点を当てた政策運営を行うとの方針を示した。…そうだよ。非常に重要だね。でもタイの洪水でも受注が好調なツガミの株価もここ数日は冴えないね。
基本的に理論通りに動かないことはよくあることだね。でも狙いをハッキリさせて相場に臨むことは大切だと思うよ。読者の人は目先の値動きに一喜一憂しやすいね。それでは大勢は捉えられないよ。折角、いい銘柄を買って大きく育ってもいくらも儲からずに売ってしまうことはよくあるね。時代やに昨日、オリンパスをもっと推奨しろとしかられたが、あんな株は800円程度のものだろう。上場廃止になっても買えるような気持ちで臨まないとならないよ。あれほど上がるとは、僕も意外だったが…。さぁ、二番底が確定して、1万円相場へのスタートを切ったかな?
トロ:モバゲーの話しかい?…いい加減に現実をみつめないと…もういい年だよ。夢なんかで生活はできないよ。
かたる:人生の選択は、人それぞれ。まぁ、この年になっても色んなことで迷うものだよね。結局、20歳でも50歳でも、きっと70歳でも一緒なんだろうね。先が見えないから人生は面白いのかもしれないよ。
投稿者 kataru : 2011年12月16日 15:09