今日の市況(2011年)(2011年12月19日)
かたる:2011年はひどい年でしたね。
世の中の仕組みを疑うような、震災から原発事故。そうして世界の枠組みを問う欧州危機…。更にタイの洪水と…立て続けに悪材料が起こりました。年末間際のここに来て不透明要因が新たに生まれましたね。世界最後のテロ国家、北朝鮮の金正日総書記が死亡したと言います。
年初は悪くなかったのです。昨年10月のFRBのQE2の発表を受け、世界景気の復活が言われていました。しかしQE2効果にタイムラグ生まれ、効果を疑問視する考えが春に生まれました。QE2にたいする政策不信を市場は問い始めました。多くの人は勘違いしています。金融政策の効き目は時間差が大きく存在すると思われます。通常、半年から1年と言われています。つまりFRBがQE2を始めたのは昨年の10月ですから、半年と言えば4月頃から、1年と言えば10月頃からその効果が効いてくると言う説があります。
このタイムラグを我慢できない連中が、時間差の間隙をぬって、ギリシャなどの財政問題を問い始めました。経済成長が止まれば財政問題に焦点が当たるのは当然です。しかしこの根拠は最近の米国経済の回復で薄れる筈なのですが…。何故なら、世界景気の回復が確認されれば、財政問題のウェートが下がるからですね。経済成長が鈍れば財政問題の比重は大きくなりますが、経済成長率が高まるなら比重は下がります。この考え方は、まだ僕だけの認識で一般化していません。要するに中国や米国の景気動向次第なのです。
しかし現実は弱い通貨を叩き始めました。好材料が無視され、悪材料が際立つ動きですね。例えば中国の事例では…大規模な財政出動で世界経済を抱え始めたのですね。4兆元と言いますから、当時の為替で日本円に換算するとおよそ56兆円です。GDP規模の10%を超える財政出動は社会基盤整備が未熟な市場ですから、乗数効果が高いのですね。基本的に道路や鉄道、電力などの基礎社会基盤整備に投資が充てられますから、経済乗数効果が高く経済成長に寄与します。
ところが先進国の財政出動は乗数効果が低いのですね。社会基盤はすでに出来上がっておりあまり効果がないです。自民党政権の90年代の失敗はこの無駄使いにあります。(まぁ、多少あるのですね。光通信網の整備などの新社会資本整備が新しい産業を生んでいます。)構造改革が問われているのに…旧来型の経済対策で構造改革を実施してないから、今も農業問題で揺れるのですね。何処の業界で就業平均年齢が66歳など…と言う業界がありますか?この構造問題は制度疲労を表していますが、今のTPP問題が、この根底を変えるかどうか注目されます。日本は基本的に制度疲労を起こしていますね。GDPを上げようと明治維新の精神で、欧米に追い越せ追いつけと必死になって、真似をしてきました。ところがGDPでトップ水準になっても、その仕組みを守ろうとしました。
プラザ合意が分岐点ですが、その変化を拒みバブルの発生と崩壊を招きました。未だに体制転換が出来てないから、既存政党が選挙で負け、橋下市長が誕生するのです。株は低迷、右往左往している様子ですね。野村証券に再び金融危機説があるそうです。劣後債を募集しており早めの手当てをしているようですね。無担保ですからね。危うい債券です。金融は一発で数千億円が飛ぶ世界ですからね。米国の不動産市場は依然低迷が続いており、おそらく野村は大量に債権を抱えているでしょう。世界経済の回復が遅れているから危うい状況は続きます。
難しい話ですね。確かな回復なら儲けの妙味は大きいのですが…中途半端な回復ですから一番手しか成果がないのです。一番手のバフェットだけはゴールドマンサックに投資し、僅かですが成果を得ましたが、二番手、三番手の三菱UFJや野村は貧乏くじを引かされました。故に欧州危機が必然的に発生したのでしょう。つまり流動性の供給が疑われ足りないのでしょう。だから欧州危機が起こっている当事者は市場原理からすれば、ECBか共同債を発行して流動性を供給しないとなりませんね。既にCPIは落ち着いているのです。経済成長率の高い中国で4.2%でしたね。米国は3.4%でした。FRBは前年同月比で2%を目標としていましたね。
基本的に物価上昇率が経済成長率を上回る逆ザヤ状態が続くと、可処分所得は減り経済は悪化します。中国の統計数字が正しいかどうかは別にして基本的に経済成長率は9%近くあり、物価は4%ですから大きいですね。5%近く可処分所得が増える計算です。このような状態ですから政策転換は確実に効果を上げますね。でも上海総合株価指数は下げを加速しています。おそらく上げる前の下げに入ったのでしょう。
時代や:今日は長い解説だね。ラッチもいかない…意味のない話をしてもしょうがないよ。それよりホットな北朝鮮はどうなの?
かたる:基本的なネガティブ要因だからリスクオフの動きが出るよね。しかし既にリスクを取っているのは僕ぐらいのもので…ほとんどの投資家は諦めの境地でしょう。市場は枯れているからね。それに体制の転換は新しい躍動を感じさせ、チャンスになるかも知れないよ。北朝鮮と言う未開発の小さな市場だけれど、アジア地域に生まれれば安い労働力を利用して製品競争が出来るチャンスでもあるよ。基本的な社会基盤は未整備で…中国のミニバンが誕生するからね。景気にはプラスだろうと思うよ。要するに動くかどうかわからんのに…予想するのは難しいよ。僕は無視するね。
でも残念ながら、発表直後、多くの銘柄がチャート上の重要な拠点を破られ需給バランスは微妙な状態になっているようだね。このポイントを維持できないと更に下の拠点を維持することになるよ。日経平均株価の先ごろの安値が目安になりそうだね。
トロ:少しは上がっても良かったけれど…残念だったね。売る方だって下げ続ける市場じゃ売りにくいよ。今年はほとんど買い戻しは済んでおり、空売りでずいぶん儲かったからね。基本的に売れば儲かる繰り返し…なんで空売りを否定するのか?カタルの心情が分からないね。ハハハ…いい年だったよね。
かたる:ふん。非国民め!デフレ男が幅を利かせる時代が何処まで続くのかな?貧乏はしたくないや…。
投稿者 kataru : 2011年12月19日 15:41