今日の市況(2011年)(2011年12月29日)
かたる:奇妙な動きで…理解できないことが多くありますね。
例えば順調に消化されているイタリア国債、昨日はブールームバーグだったか?の情報を元に29日に85億ユーロと書きましたが、28日にも90億ユーロ入札されたのですね。
28日は6か月物で前回は6.504%だったのが、今回は3.251%になったと言います。この応札倍率は1.7倍とか…。ただ同時に行われたゼロクーポン際は応募が予定額に達しなかったと言います。ゼロクーポンだからね。でも前回の7.814%から4.853%の利回りだったようです。
つまり先日のスペインと同じでECBの大量の資金供給が生きていることが証明されたのです。それなのにNY市場は安いし、ユーロも安かったですね。本来はこれで欧州危機が回避される方向性が確認されたわけですから、NY市場が高くても良いし、為替もユーロ高になってよかった筈です。それなのに…何故なのでしょう? 誰か教えてくださいね。理屈と矛盾する背景には、何かあるのかもしれません。
同時にECBのバランスシートが明らかになっているようです。
先日の3年物オペの動向を受けECBによるユーロ圏の銀行向け融資は2140億ユーロ増加し8790億ユーロになっており、ECBのバランスシートは2390億ユーロ拡大し2兆7300億ユーロになったそうです。この水準は3か月前より5530億ユーロ増えていると言います。
ここがポイントの一つですね。どういう形であれ、ECB(EUの中央銀行)は50兆円規模でベースマネーを拡大させているわけです。資金の乗数効果が低いとはいえFRBと同じで、世界の中央銀行は資金を大量に供給し量的緩和を実施しています。問題はFRBが先日示したように、まだ世界の銀行は、新BIS規制に対応してないことです。だからリスクオフの方向性にあると言うことです。CDSの規模から考え世界景気は金融面で、まだ整理が完了してないのでしょう。これだけ中央銀行が資金供給していますが、銀行は自己資本比率の基準を達成しておらず、総資産の圧縮に迫られているようです。
昨日のS&Pのケースシラー住宅価格指数のグラフを載せましたが…完全に底を打ったとは言えませんね。だから銀行は不良債権処理とか…は、まだあるだろうし、資産デフレはまだ継続的な現象ですね。GDPデフレターが発生するデフレ懸念があるから、マイナス金利になるのですね。規制の強化は、人々の心が委縮し、活動が鈍りますね。日本のコンプライアンス規制のようなものが、欧米のBIS規制ですね。日本は過去、戦後は追いつけ追い越せで資産を拡大させるインフレ経済でした。急成長だから自己資本が希薄なのですね。総資産経営を実施したのです。
日銀がいつまでも1億の資本金なのは、その一例ですね。日銀が自ら過小資本の状態なのですね。だからものすごい価値があるんですよ。歴史の時間的な価値があるのですね。本来なら数千倍になっても不思議ではないですね。これはヒントです。いつか修正される可能性があります。実はこのことに気付き買っているお金持ちが居ましたが、日銀の態度は変化しませんね。僕のお客様が、大昔、買っていました。あれから25年ほど経つますから…世代を超えるかもしれませんね。お金儲けは世代を超えて実施するのでしょう。
時代や:いくら市場が動かないから…と言っても、くだらない話ばかりじゃ、読者は嫌がるよ。何かしら動きがあるんだよね。今日は賑わっているのはシンバイオ(4582)この材料は多発性骨髄腫の第2相臨床試験の開始を好感したらしいね。その前は血液がんの「トレアキシン」の適用を追加申請するとの報道が人気の理由らしいよ。更にプロパスも賑わっているね。
かたる:おいおい、ちょっと待ってよ。内容のあやふやな企業を取り上げる博打サイトとは違うよ。確かにTICK回数を見れば、かなり人気になっているんだね。東電が8290回、新日本理化が8282回で、シンバイオは7948回に、プロパスとは7433回もあるのに、グリーは7433回だからね。まぁ、時代やの意見も一理あるが…。あまりにひどい内容だね。むしろエルピーダの業績が悪化し300億円の公的資金返済ができないから、産業活力再生特別措置法の再申請報道が株価を引き下げた原因らしいね。こんな話題の方が「今日の市況」の解説ぽくないかな? 東電は昨日の話題だね。
トロ:まぁ、年末に来て東電が売り人気になる辺りが、今年の市場を象徴する動きだね。要するに、株なんか買えないと言う象徴だよ。それより冒頭のカタルの疑問の方が、なるほど…お前らしい発想だな…と考えるね。
確かにイタリア国債の利回りが上昇し欧州危機が問われた訳だから、NYが下がるのも、為替がユーロ安になるのも理解し辛い現象だね。NY市場の下落は、上昇した反動なんだろう。つまりNYは欧州から離れた動きになっているんだろうね。為替は景気の悪化を売っているのかな? あるいは…依然、欧州から資金逃避が続いているのかもしれないよ。更に、今までの資金繰りの為に、海外から無理して資金を回収したから、その反動かもね。まぁ、市場の現象は、なかなか理解しづらいものがあるからね。
かたる:だって…29日が残っているとはいえ、28日の入札は好調だったよね。これだけ利回りが下がったのだから…
時代や:それじゃ、入札は兎も角、10年物国債の利回りはどうして下げないの?
かたる:そうだね。依然、10年物は6.77%だから、高止まりしているね。ドイツ国債とのスプレッドは前日の508bpより484bpと縮小しているが、高いことに違いはないね。つまりそれは新規の入札は償還債の乗り換えなのだろう。でも新規に市場から買えるほど、ゆとりのある金融機関が少ないのだろうね。
時代や:じゃ、カタルが褒めるほど、ECBは資金を提供してないと言うことにならない?
かたる:まぁ、そうかもね。日銀程でないにしても…市場に回らないからね。既にCPIは落ち着いているのだから、もっと大量に供給すれば良いと思うけれどね。だってマイナス金利だよ。この現象は日本化現象が欧米にも広がっているとも言えるね。だからオバマの清貧思想は嫌いなんだよね。しかし共和党は候補が居ないようで…。この分じゃ、清貧思想の大統領が、まだ続くことになるね。そうなれば、また4年も辛抱を強いられるよ。日本は既に22年だが…。呆れるほど長い時間だね。
でも消費税で民主党は揺れているが、僕の仮説の一つは、消費税の引き上げ目途が立てば、頭の良い官僚はインフレ政策に舵を切ると言うものだね。頭の悪いカタルでも政策次第でどうにでもなると思っているのに…実施しない理由はそれぐらいしか思いつかないからね。この前からの仮説は当たっているかどうか…消費税の引き上げ法案が国会を通過し、時間が経過すると…本格的な上昇相場を迎えることが出来るかもしれないよ。まぁ、先の話は兎も角、明日は今晩のイタリアさんもすっきりして大納会、大発会、共に高い相場になって欲しいものだね。
投稿者 kataru : 2011年12月29日 16:54