今日の市況(2012年)(2012年09月07日)
かたる:「ドラギの空手形」などと失礼な呼び方をしたものですね。条件付きとはいえECBが再び南欧国債(スペインやイタリア)を買うと表明したのですから、市場の信認は繋がり始めてきたのでしょう。最近のニュースの流れを見ると、ギリシャの債務返済の条件緩和やブルガリアのユーロ導入見送りなど、流れは悪かったのですが、本筋の救済策を実施したイメージですね。あくまでも一時的な救済策で、決して金融機能を本格的に立て直すものではありません。基本的に金融機能の回復には時間がかかります。一時的な混乱が大きな損失を生み、一旦、資産価格が大幅に下落すると、その損失の評価損を計上し埋めねばなりません。スペインの状態は欧州にとってリゾート圏のイメージですから、米国のマイアミのような存在なのでしょう。その米国は、本日の日経新聞にも積水ハウスの事が載っており回復し始めているようですね。米国も計画を早めたとはいえ、GSE(ファニーメイやフレディマックなどの政府後援住宅金融など)は再建途上ですからね。しかし金融危機の拡大が食い止められるのは事実で、二次被害が広がるドミノ現象は改善されるので大きなことです。よって短期のショートポジションは解消され株価が高くなったのでしょう。
米国経済が堅調なのはシェールガスの影響が大きいのではないでしょうか? 最近のNY市場やSP500の値動きはすごいものです。アップルが寄与している現象とは言え、時価総額の総体指数が強いのはすごいですね。日本はバブル崩壊後、初期対策の対応を大きく誤りましたが、米国は果敢な金融緩和を行い、日本の轍を踏まない素晴らしい金融政策を実施しているイメージですね。日本の場合は2003年に1989年からの不良債権処理を14年かかり終了させましたが、米国は6年ですね。既に完了し始めているイメージですね。JPモルガンの失敗は、満更…過ちではなかったような行動だったのかもしれません。やはり欧州のクジラは、一流のファンドマネージャーだったのかもしれません。9月にQE3を予定していましたが、必要なのかどうか分からなくなっていますね。だって自動車販売は好調だし住宅指数だって悪くありません。心配されている雇用統計もそんなに悪くはありませんね。しかし金融本体にエネルギー(利益の蓄積)がないから、市場原理は動いていませんね。本来なら金利は上昇する筈です。もしQE3をこの段階で実施すると確実にインフレ方向に向かいますね。資産価格を引き上げるので、銀行は利益の蓄積からリスク先行型になり融資条件が緩和され、一気に景気が過熱する方向に向かいますね。そこまでバーナンキは考えているかどうか…、下はSP500の対数チャートと米国10年債の利回り推移です。1985年より…


正常な経済状態は期待インフレ率が生まれると金利が上昇します。米国金利が上昇しない限り正常な経済状態とは言えないのです。本来は日本が先に動くべきなのですね。先日、紹介したMBO(経営者のよる買収)のレポートは意味があります。本来の市場原理の考え方では、米国の2倍の効果があるのです。だからここに金融デリバティブを利用するチャンスがありますね。個人のレベルではどうなのでしょう。まぁ、金融論理は必ず復活します。見ていてくださいね。要するに時代を変化させるスピードが問題なのです。このスピードを決めるのは期待インフレ率であり、この効果を生む背景は金融機関の利益の蓄積なのですね。市場原理の世界では、お金がお金を生む無限の連鎖が始まるのです。日本の製造業至上主義は古い考え方ですね。一人あたりのGDPが先進国並みになったのに…諸条件はドンドン悪化し、製造業は衰退の一途です。アップルが成功しソニーなどが敗退している現象はEMSの利用ですね。設備投資などの初期投資をしても技術進歩が速い時代で初期投資を回収するのは余程の技術差がないと難しいのでしょう。シャープの失敗もここにありますね。
まぁ、理屈を述べても、いくら論理的に正しくても、市場機能が死んでいる状態では躍動感に欠けますから無駄な抵抗ですね。ラストリゾート(日銀)が膨大な含み利益を生む時代に僕らは踊る訳ですね。今年の春の相場、野村や三菱などが軽く株価が飛ぶように見える日がもうすぐ来るかもしれません。既に何度も言いますが下準備は完了しています。後はきっかけ次第なのでしょう。

投稿者 kataru : 2012年09月07日 10:32