今日の市況(2012年)(2012年10月26日)
かたる:驚いたことに日銀が2か月連続で金融緩和に踏み切るとか…。昨日の日経夕刊は金融政策決定会合が開かれる前から、断定的な表現を用いて報道しています。日経新聞の自慢である、お得意の観測記事ですが…実現の可能性は高いですね。調べてみると、この所の日本株が強く感じられたのは、政府が資産買い入れ基金の20兆円の増額要請をしており、合計で100兆円にするように圧力をかけているとか…言われています。前原さんが前回、金融政策決定会合に出席しており、この意向を受けたものなのでしょう。その結果、日本村社会なので政府の顔を立て、しかも自分達の意向も反映して、折衷案の半分である10兆円に落ち着くという事なのでしょう。先頃の日銀支店長会議では震災復興が行われている東北地域を除く全国8地域で地域経済の景気判断を引き下げました。リーマンショック以来の全国的な規模の引き下げだそうです。尖閣問題で日中経済が大きな陰りを見せ、欧州問題で世界景気も落ち込んでいますからね。だから日経新聞の観測記事とは言え可能性はあります。
しかし不思議ですね。日銀は資産の買い入れを継続的に実施し金融緩和をしており、尚且つ貿易赤字が増えているのに、何故、円が高いのでしょう。説明が付きませんね。そう考えていましたが、調べてみると理由は簡単なことなのですね。下のグラフは日本のマネタリーベースの推移と米国などを含めた世界のものですが…、トレンドが重要なのでよく見て下さいね。ほら、日銀は基本的にマネタリーベースを他国と比較すると…そんなに増やしているように見えませんね。世界的な円高になる訳ですね。
日本の低迷は失われた時代と言われるように…、この停滞の始点は1985年のプラザ合意から1989年のベルリンの壁崩壊ですね。この事は以前に何度か述べていますから省きますが、要するに金融機関が不良債権処理をしている間に、景気はドンドン悪化してきましたが、日銀は「お金の量」と言う観点では、何も対策をして来なかったのですね。この間、金利は下げていますが経済の基本はお金の量ですからね。マネタリーベースとはお金の源であり、この量がインフレやデフレを左右して資産価格に影響を及ぼします。つまり景気の浮き沈みを創ります。このベースマネーがもとになり、貨幣乗数効果が現れるわけです。土地が下がり資産デフレが深刻になっているにも拘わらず、日銀は態度を変えずに一定量の増額をするだけだったのです。ただ2001年9月に同時多発テロが起こり景気悪化に拍車がかかり金融緩和のスピードを変えました。2002年に佐藤工業、2003年にハウステンボスなど次々に倒産し、とうとう「りそな」まで来たので大きく態度を変化させたのでしょう。2002年4月は前年比で36.3%までベースマネーを増やしています。
この背景は、煩わしい存在であるマネタリズムを主張するシカゴ学派の竹中平蔵が居たことも影響を与えているのでしょう。(2001年4月から2006年9月まで担当大臣)日銀の独立性が問題化されたのもこの時期です。きっと大変な圧力だったのでしょう。ただ株が上げだし景気状態が改善されると、2006年4月には一気に引き締めに走り、資金を引き揚げ元の巡航スピードに戻しています。この頃から揺り戻し政策が始まりました。ライブドア事件は2006年1月に起こりましたね。小泉さんが退任され市場原理主義の圧力が消えました。
世界が金融危機に陥っても日銀はあまり態度を変えていませんね。ようやく日銀が態度を変えるのは2010年10月の「包括的な金融政策」の導入からです。2011年の初めに2006年のピーク時を上回りマネーを供給しましたが、その供給も景気が回復すると直ぐに止めますね。それから欧州危機が深まり、昨年末から今年初めにかけ、世界の中央銀行の協調緩和に歩調を合わせ、資金供給を再開しますが…3月にはまた伸び率が鈍っていますね。分かりますかね。デフレをなかなか脱却できない理由がこの辺りにあります。基本は資産価値の上下であり、マネタリーベースの増減推移が株価を決めると言っても過言ではないのです。今度は米国FRBの動きを見ましょう。大胆にマネーを供給し金融危機後は、一気に3倍まで増やしますね。日本と比較して如何でしょう。ハッキリ言って日本は通常の増額トレンドの範疇で一貫していますね。だから為替が円高で推移して、空洞化のデフレ社会が生まれ、失われた時代が続き自殺者を大量に生み、うつ病患者を量産しています。ハッキリ言って犯罪に近いですね。イタリアの地震学者先生に有罪判決が下っていますが…日銀の方が多くの犠牲者を生んでいます。
いくらでもFRBと日銀の違いは説明できますね。
FRBは政策の方向性を一旦決めたら、毎月、相場に拘わらず買い入れを続けます。国債でも住宅担保証券でも同じですね。ところが日銀は相場が上がると買い入れを止めるし、下げると買うような優柔不断な態度に終始します。例えば2011年から始まったETFの購入額推移をみると分かります。株価が上がってきた2011年12月から2012年3月まで日銀は組み入れを止めますね。何時でも減らしますよ…と、市場に警告を与え続け2006年の引き締め策を匂わせる態度に終始していますね。その様子がETFの購入姿勢で分かるでしょう。自分で日銀のホームページに行って、データを作成すればもっと良く分かります。このデータは日銀のホームページから抽出しました。2003年から2006年に掛け、かたるはお客様の資産を10倍以上に膨らましました。3億円から40億円に増やしたのです。その様子がマネタリーベースから分かりますね。浮かれて…銀座のクラブに入り浸った時ですね。今なら冷静ですが…基礎知識が如何に大切かご理解いただけるでしょう。間もなく…相場が始まる予感がする理由が、これらのデータからも垣間見られると思います。
カタルは昨日、サラ金株を話題に取り上げ、不動産株で一段落させると述べています。ある仮説があり、その補足資料を集めていますが、もう少しかかりそうです。でも基本的に株が上がるという背景を、今日は少し説明していますね。日銀の当座預金残高の都市銀行の推移のグラフは此方です。基本的に当座預金が増えれば、お金がジャブジャブになりますね。日銀の業態別のデータは2005年からの提供のようですね。だから残念ながら2002年頃からの変化は分かりませんが…当座預金は期間の長いものがあるので比較はしやすいですね。何故、カタルがソフトバンクのM&A資金の供給を話題にしているか? その背景がわかると思います。みずほはかなりの金額を融資すると報道されていましたね。オリコの株価が上がっている背景も見えてきますね。
データを拾いながら書いていると、グラフを作成したりしますから、あっという間に2時間や3時間はかかるのです。「お金の量」の話は非常に重要なので。もう少しデータを集め解説する必要性がありそうですね。私はマネタリーベースの話で、全てを語ろうとは思ってはいませんが、何故か、株価の連動性は高いようです。30日の金融政策決定会合がどんな結論を出すか分かりませんが、お金の量の話は世界共通の話で非常に重要だと考えています。場合によれば、「財政の崖」で一旦下がると考えているカタル君のシナリオもまた修正を迫られるかもしれません。どちらにしてもQE3の効果は、確実に来年には訪れるのでしょう。消費税の引き上げや、日本郵政の上場など…株価上昇のシナリオは着実に実行されているようです。どうも最後に掛けレポートの出来は今ひとつのようですね。途中で出かけ、書き直しているためかもしれませんが…明日もこの問題をもう少し期間を縮め考える必要がありそうですね。
投稿者 kataru : 2012年10月26日 17:15