今日の市況(2012年)(2012年11月12日)
かたる:ハリケーン「サンデー」に登場により、接近戦まで持ち込んだロムニーはフロリダでも敗れたとか…。これですべての激戦区でオバマに敗れたロムニーには選挙戦終盤に訪れた神様の采配を、恨めしく思ったに違いないでしょう。民族論を展開するのは間違いだったかな? でも人口増加は白人よりヒスパニック系などが多く、移民政策の矛盾を改善しているオバマ氏にグローバル化の追い風が味方したのでしょう。しかし多くの白人地区でもオバマが優勢だったのは意外でしたね。その米国が先日報道されたバーゼル3の実施時期を、来年の1月からの積み増し規制を、先送りましたね。この事は非常に重要ですね。かなり米国の不動産市況などは改善されており、多くの好材料が生まれていますが、未だに傷が癒えていないことを示していますね。やはり急激な景気回復は、米国といえども難しいのでしょうか?この辺りはホンダなどの株価に影響を与えるキーワードの一つになります。
一方、我が国は尖閣問題からのGDPの成長率はマイナス0.9%で、年率ではマイナス3.5%とか…。7月から9月に掛けて僕ら日本の国民は怠けており、付加価値を積み増す事が出来なかったわけです。この付加価値、所謂、企業業績の源泉ですが…この付加価値を高めることが豊かな生活を約束する生活水準の向上に繋がるというのが…僕らの基本的な概念ですね。故に勝者である1%未満の領域に入ろうと、多くの人がアメリカンドリームを求め努力するわけです。デフレ下では、この1%の領域が、名目成長率より実質成長率の方が高くなりますから…更に狭まりますね。インフレ下の名目成長率の世界ではこの幅は広がります。一般的な努力をすれば、国全体が向上するので、多くの人は生活が豊かになる実感を得られます。しかしデフレ下では、手取りの給料水準は変わりませんから、消費も伸びずに、豊かさなどの時間的な概念は広がりませんね。「長幼の序あり」との…年功序列の仕組みもインフレ下ならの発想ですね。
江戸幕府から明治維新を成し遂げた多くの立役者は、日本村社会の土台をつくりますが江戸時代の朱子学に起因するようですね。朱子は平安時代から鎌倉時代を生きた人らしく、19歳で科挙に合格したほど優秀だったらしいのですが…僅か4年で退官し学問の世界に身を投じたと言います。兎も角、日本の明治維新を活躍した多くの人は、吉田松陰に学んだ人が多いのでしょう。この流れの代表格は乃木大将で昭和天皇の教育係のようなものだったのでしょう。しかし市場原理に於いては、若くても実力者が上に扱われますから、基本的な考え方が少し違いますね。
かたるの最近のテーマは、豊かさとは何か?と言う課題です。市場原理の世界では、この付加価値が豊かさの源だと言います。付加価値とは素材を工夫して価値のあるものに作り変えて高く売るまでを言いますね。つまりパン屋さんなら、小麦粉に水を混ぜイースト菌を加え焼くのですが、ここにさらに工夫してハムを挟んだり、野菜を加えたりしてサンドイッチにして売りますね。小麦粉が10円なら100円に加工して売ると90円の差が生まれますが、この差額が付加価値です。要するに皆が創意工夫して付加価値を付け高く売る訳ですね。この総額がGDPの名目値になります。この指標だけなら実際の付加価値の変化が上手く捉えられません。この変化を見る為に小麦粉の原料価格の変動やパンを焼く為の燃料費などの変化を差し引き、純粋な付加価値を求めようと考え出されたのが実質値です。よく実質GDP成長率とか名目成長率とか言う違いは、この物価動向を反映させたもので、これをGDPデフレーターと呼びます。物価の変動幅がGDPデフレーターですね。
でも僕らは物価が上がったとか下がったとかと感じるのは名目上の価格、つまり商品についている値札で売り買いをしているわけです。その値札の影にある野菜を作る燃料費が高騰しているからトマトの価格が高止まりしている背景などを考えて生活などしませんね。ただ単純に100円のトマトが、150円になったら高くなったと感じるのです。僕らはいつも名目の世界で生活をしているのです。給料明細を見て毎月変わらない数字を眺めていれば自然と意欲が失われます。ところが物価が上がっても、給料が毎月は無理でも、毎年上がり続ければ…働く意欲がわきますね。意欲は感覚的なものなのです。景気とは人間の感情を刺激するものです。1989年時の証券界のボーナスは新入社員の人でも50万円ほど…若年社員でも100万ぐらいもらった人は大勢いましたが、今の証券界は1か月分の20万円程度でしょう。つまり働く意欲が増すとは思えないし、社会にも活気がありませんね。
バブル期の単純平均株価は1913円でしたが…今は200円前後の攻防を演じています。付加価値の源を作る筈の資産価値が毎年下落していれば、この損失を僕らは毎年稼ぐフローの付加価値で埋めねばなりません。早い話が、僕らの給料は株や土地の値下がり分に消えているのですね。白川さんは1989年から起こっている資産価格の下落に初めて対策を講じた歴代の日銀総裁の中でただ一人の総裁ですね。2010年10月に始めた「包括的な金融政策」に怯えながらではありますが、初めてETFとリートを買い始めました。この額が少なかったために、実体景気に与える影響は遅く、規模も小さいものですが昨日の日経新聞には、その政策効果がようやく表れた現象が報じられています。今年のリートが購入した不動産は7500億円に上ると報じられていますね。日銀がリートを買うと利回りが下がります。これまで6%程度だったものが、日銀の購入で5%程度まで採算ラインに下がるなら、開発不動産を更に銀行行借入れにより増やす事が出来ますね。信用乗数効果が働きますね。
連載で見てきたマネタリーベースの増大は、確実に実体景気を押し上げているのです。しかし残念ながら、日銀総裁に度量がない為に、10兆円程度の増額を積み上げているだけですね。本当は日本のGDP規模なら50兆円単位で政策を移行させないと、なかなかその政策効果は実体景気に反映されません。しかしここにきて10兆円、更に11兆円と積み増すので…効果が何れ更に出てきますね。日銀はラストリゾートなのです。買い始めてから更に株価が下がっているから、その損失はどうするんだ?…と馬鹿な論理を展開している評論家がいますが、日銀に損失などないのですね。あるのはインフレだけなのです。バブル期のような…影響が出るだけなのです。それでは付加価値を増やす事は…どうすればいいのか?
簡単なことですね。信用創造をすればいいのです。色んな方法論があります。中国の高度成長を支えたものは、安い労働賃金なのではないですね。主たる要因は共産党幹部による私欲です。だから同時に政治改革が叫ばれ、今度のチャイナ9(7)に住民との軋轢を上手く調整した限定的な政治改革の実験をしたとして知られる2人の候補の汪洋氏や李源潮氏が入るかどうか…間もなく判明しますね。この共産党幹部の私欲とは地方の書記長が農民の土地を強制収用して開発に乗り出すのですね。だから中国の地方幹部が積極的に日本企業へのアプローチを繰り返してきました。このような固定資本形成、所謂、公共事業が高度成長を押し上げたのですね。工場団地を整備すれば道路を始め電気、ガス、水道、そして通信網と社会資本整備することが、社会の効率を押し上げて、相乗効果を生み高い経済成長が実現してきたのです。
例えば日本でもそうなのですね。田舎の旧市街がどんどん廃れて行き、新市街地が栄える構図は、ショッピングセンターなどの建設ですね。私の郷里の長岡でもそうです。今では駅前の商店街は人通りもまばらですね。しかしコメリなどのホームセンターが出来ると周辺の地価は上がりますね。人通りが増えるからです。しかし都心では違いますね。今は都心回帰の現象で不動産会社の多くは、都心の再開発に力を注いでいます。丸の内が良い事例ですね。銀座や渋谷に並び、今ではショッピングでも食事でも付加価値が加えられています。最近、東京駅が改築され更に魅力が増し、もう直ぐ、郵便局もあの名称はなんだったかな?刷新されますね。
付加価値の創造は人々の心を惹きつけることですね。究極の付加価値を求め人間は欲望を掻き立てられます。食もそうですね。ミシュランなどの指標は一つの目安ですが既にブランド力は付き、誰もが認める存在になっています。少し長くなったのでそろそろ嫌になってきましたね。読む方も大変でしょう。今日のグリーは下げたまま、終わるのでしょうか?しばらく相場全体は調整局面になっています。まだ続くでしょうね。おそらくムーディーズの米国債の格下げ辺りまで…騒ぎが大きくなるのが通常のパターンですね。そうして下落の演出がなされます。しかしそこは天与の買い場になりますね。何故なら、ラストリゾートが算入額を増やしているからです。株価の基本は需給バランスですね。ソニーやパナソニックの驚きは当たり前の構造なのですね。ソニーの新安値更新は一つのシグナルでしょう。まだなっていませんが…。でも魅力的な会社ですね。素質は一流ですね。日本でアップルに対抗できるのはソニーぐらいのものでしょう。しかし残念ながら経営者に恵まれていません。だからしばらくは、まだ開花しないですが…。
グリーに何故、注目しているか? 詳しくは決算を見てから述べたいと思っています。しかし既に始まっていても不思議ではありませんね。付加価値は人々を魅了する価値ですね。道徳的な観念が問われることも念頭に置いて、相場を考えねばなりませんが、僕には携帯コンテンツは日本の誇るソフト産業であり、文化だとも考えています。昨日の市場全体のリスクと個別株のリスクとに繋がる話ですが…グリーの株価は、今後の相場に繋がるバロメーターでもあるので注目される所以なのです。今日も引けにかけ連騰して欲しいな。
投稿者 kataru : 2012年11月12日 11:38