今日の市況(2012年)(2012年11月14日)
かたる:今日は株価の観点から「今日の市況」を書こうと思っていましたが、昨日、何気なくテレビを付けたら、共産党の志位和夫委員長が衆議院の予算委員会で代表質問をされていました。その内容が余りにも、先日、読んだパイオニアの「指名解雇」(高杉良、講談社文庫)をモデルにした小説に似ていたので、こちらをテーマに選びたいと考えました。
昨日の質問の内容は、NECなどのケースが中心でしたね。NECは、僕の記憶によれば、関本さんと言う人が、長らく経営権を握り社内の派閥闘争を繰り広げ、業態が悪化して来た筈です。しかしこの会社が世界のスタンダード競争を繰り広げたことがあります。コンピュータの開発競争の最中、「98パソコン」が、一時は世界トップ水準を誇り、米国企業と覇権争いを演じたのですね。つまり現在のマイクロソフトやIBMに成り得たはずなのです。それなのに何故、転落したのでしょう。先日、子会社だったルネサスへの増資を巡り、NECだけが内部留保が希薄な為に出資に消極的でしたね。それはそうですね。既に他社となった関係の希薄な会社へ、出資する余裕なんて有りません。お金を出す本体のNECが、人員整理を実行しているのですから…
わが国の多くは総資産経営を実施して成長してきました。この総資産経営とは、基本的に規模の拡大を目指したことを示します。だから毎年の目標は売り上げを増やす事が重要だったのです。日立もそうですね。日立などはグループ企業だけで、何でも調達できますね。日立とパナソニックの戦略の違いを分析するのは面白いテーマです。しかしそれは置いておいて…長い間、日本の多くの企業はGDPの成長に合わせ、自分達の創意工夫が世界を制すると考え、追い付け、追い越せで米国の背中を追ってきました。一時はジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれ、終身雇用や年功序列の仕組みを褒め称えられた時期もありました。丁度この頃、関本さんが社長に就任され、98パソコンが誕生したのです。しかし彼は権力に固執しすぎ、延命を図る為に派閥闘争が起こり、徐々に会社は腐敗します。関本さんは、敗れはしましたが経団連の会長職をめざし、新日鉄の今井さんと争ったこともありました。
まぁ、時代背景は良いのですが、その絶頂期を目指す時に入社した世代が、今、NECで肩たたきに遭い、その様子が丁度1992年~1993年に起きたパイオニアの指名解雇を題材にした小説に余りに似ているので…思わず、テレビのチャンネルを、いつもなら直ぐに変えるのですがチャンネルを変えずに、僅かな時間ですが、つい国会質疑を聴いていた次第です。詳しくはアエラにも報道されていたとか…。
質問の内容は…「NECでは1人の労働者に11回も面談し、退職を強要したという訴えが寄せられました。会話が外に漏れないように通気口を鉄板でふさいだ面談室で、繰り返し退職を迫りました。疲れ果てた男性は病気になり、(中略)上役に『もう自殺するしかない』と叫んだ、とのことです」と、このような実体事例を示しながら、三井 辨雄厚生労働大臣にどう対応するのか?と迫る訳ですが、大臣は通り一辺倒の解答で「個別のケースには応えられないと」いう官僚答弁を繰り返しています。
また質問には、この7月~8月に起こったケースとして日本IBMのロックアウト解雇のケースも取り上げられていました。永年勤続表彰25年の社員が特別休暇後に出社したら、その日の夕方に解雇通知を受け、直ぐに米国型の解雇形式が実行され、社員のIDカードを没収され、追い出されるケースも取り上げていました。そう言えば、僕の友達が昨年だったかな…日本IBMから他社に移籍しましたね。きっと彼はこのような空気を感じていたのでしょう。
何故、僕がこの問題を取り上げているか?
一つはこの質疑を少し聴いて、呆れる国会の運営方法ですね。何故、質問を事前に提出してそれ以外は答えないのでしょう。更に、型通りの答弁を官僚の言いなりになって応えるのでしょうね。この背景は、答弁の揚げ足を取り、安易に問責に追い込む野党の姿勢も問題なのでしょう。ニュースを聴く限り、自民党や公明党は国民に対する政治を犠牲にして、野田内閣に、繰り返し年内解散だけを求めている様にしか聞こえませんね。このような姿勢を見ると、国民の為に、政治をしているような姿を全く感じません。更に民主党も年内の解散に応じるな…と決議したり、どうして真剣に国の行く末を議論しないのでしょうね。国会答弁を聴いていると、小学生の会議の内容より劣ります。問題を悪戯に回避しています。NECもシャープ、日本IBMも、みんな企業業績が悪化して苦しんでいるのです。だから能力のない貢献度の少ない社員が首になるのです。会社にとって必要な社員なら解雇などしませんね。
問題は駄目な人間を、どうやって守るのか? それとも効率化社会をつくる為に、一方的な解雇を認め、転職が一般化する米国型の社会を目指すのかどうか?と言う、日本村社会と市場原理社会の選択の筈です。どちらを国家として選択し、どのようは方法で、それを成し遂げるか?と言う原点を、議論することですね。
NECや日本IBMなどの個別の案件は小さな問題ですが、仕組みとして終身雇用を目指すのか、米国型の効率的な人材の流動化を目指すのか? その選択肢であり、その方法論を議論するのが、国会の場の筈ですね。日本共産党は労働組合のユニオンを通じて個別案件に踏み出して労働基準監督局を通じて行政指導をすべし…との考え方で、共産党的な主張です。民主党は逃げている所を見れば…効率化社会を容認しているのでしょう。
この問題は非常に重要な選択ですね。1992年にパイオニアの指名解雇以来…現状までこの実態に変化がありません。つまり20年間も結論を出さずに、進歩がないまま失われた時代が過ぎているのです。最初に発生した時に、充分に議論して社会の枠組みを変えていれば、既に20年ですから、新しい仕組みが構築されている筈です。もっと確りと未来戦略を見据えて真剣に議論を尽くした方が良いですね。
何故、ジム・ロジャーズは、シンガポールに移住したのでしょう。
シンガポールの国づくりは香港型から脱却して、今ではマズマズの成長を果たしています。知識がないので分からないのですが、たしか以前、報道されていました。世界の有名な学者を招いて国家が予算を付けて、研究開発をさせていましたね。企業への税金も少なく、アジアの市場経済の一翼を担おうとして、金融取引市場の開発にも熱心な筈ですね。トーマス・ラッフルズが既成事実を積み上げてオランダからイギリスの植民地にして、今はリー・シェンロン首相が主導権を獲得して、ユニークな様々な政策を実施しています。高い自動車税もその一環でしょう。金持ち優位に見られがちですが、それ以外にも魅せられるか部分があるから、世界中のお金持ちはシンガポールへ移住している事実もあります。日本では村上さんが行っておられるのかな?
NHKの新日本紀行は、いい番組ですね。日本には古き良き文化が、たくさん眠っています。先日、「ソロモン流」というテレビ東京の番組で、米国人のアレックス・カー氏が紹介されていました。彼は日本を愛し、日本の文化に魅せられ、日本に移住したようです。僕らは、何を目標に目指し行動すべきなのでしょう。
今日は共産党の志位さんの質疑から、NECの姿を見て、政治家の政局ばかりの利権競争採り上げ、日本の労働環境から国づくりをテーマに、シンガポールの姿を考え、最後にアレックス・カー氏を紹介して、見えない糸を追い求めてきました。日本村社会も良い面を沢山秘めていますが、市場原理の効率化を追う姿勢はグローバル化の基準です。その狭間にあり、日本らしい文化を維持させながら、どうやって成長を続ける戦略を持つべきなのでしょう。
株を売り買いすることは、効率的な資金配分を維持させる事に繋がります。そのような資金配分機能を維持させるには、人間の欲を刺激する投機が必要なのですね。投機を認めるから流動性が維持されるのです。この事は非常に大切です。投機はリスクが高いので、同時にリターンも高くなる可能性があります。高い流動性が保持されるなら、市場リスクの割合より、個別株リスクが問われるようになります。つまりそのような市場展開にしないと…効率的な資金配分を成し遂げる市場のバランスが保てないのです。投機ならグリーが選択されます。今なら投資ですが、何れ投機の世界に向かうのでしょう。
何故、カタルが2013年3月に切れる中小企業円滑資金法の期限切れを迎えるに辺り、都市銀行の株価に注目しているのか? 本来なら、マイナス要因ですが…。だからこそ、ここに大きなチャンスの芽も、同時に感じているのですね。つまり金融株が上がることが流動性の増大に繋がるのですね。
今日のレポートは余韻が多すぎるでしょうか。具体的な観点が少なく、暗示する思わせぶりの原稿のようです。僕自身が、確りとこの辺りを把握していないで、心が迷っているから…このような流れになるのでしょう。色んな問題が、垣間、見れるようになってきて、なんだか哲学者になったように気分です。
投稿者 kataru : 2012年11月14日 11:43