今日の市況(2012年)(2012年12月28日)
かたる:通常、休みに入る前に華々しい「華」を咲かせ、普通はお休みに入るもの。シャープもアイフルもオリコもみんなそうですが、中には華が咲かずに休むケースがあります。この場合は判断が難しいですね。早晩、もう一華あるのかどうか…。なんだか…急速に進む円安を見て、僕の最終シナリオが現実になっている様な気もしており、市場の評価を過信すべきではないとも思いますが、この華は偽物か本物か…難しい判断です。長くなると思われるので、この話は明日にしようと考えますが、藤井さんの需要を補えば良いという発想は、数年前に実施された中国の50兆円規模の景気対策の話ですね。中国はインフラ整備が未整備で先進国と違い、固定資本形成の乗数効果は高くこのケインズ理論はある程度は役に立ちました。
それでも…今では鉄鋼を代表されるように需要不足に悩まされ過剰供給の需給ギャップに悩まされています。一時的に需給ギャップを埋めても体制が転換してなければ、無駄な投資になり格差が拡大し歪が生じます。たぶん効率的な流れの基準があるのでしょう。産業革命は数十年かけて進みました。投資と技術革新が結び付き、我々は新しい時代に入ることが出来ました。ただ闇雲に投資を続けても意味のないものです。掘っては埋める年度末に恒例化された余った予算実行の姿は、55年体制の終焉に繋がりましたね。民主党が民意を獲得できたのも、ヤン場ダムや諫早湾のお金の使い方に疑問符があったからです。
安倍政権は、どのようにお金を使うのでしょう。そもそも政府自らがお金を使う事が正しいのでしょうか? ケイジアンとマネタリストの発想の違いは、大きな政府と小さな政府にあると思います。今の自民党は反省を踏まえた行動をとれるのでしょうか?大きな政府を模索すれば、一時的な上昇は有っても、実験を続ける財政的なユトリはありませんね。カタルが最も心配する破壊による体制転換に繋がります。一方、20年にも及ぶ体制転換を続けてきており、構造改革は内面的にかなり進んでいるとも思われ、切っ掛け次第で新しい扉を開けるのではないかとも考えています。故に今回の株価上昇と同じで、野田政権の解散宣言から安倍さんのインフレターゲット論が切っ掛けになり、市場が動いたように上手く事が運ぶかもしれません。この辺りは実験の域を出ません。
日本のGDP規模から考え、10兆円程度のお金がどの程度の乗数効果を生むのか…。もともと社会基盤整備とは、その出来上がった社会基盤を利用し、産業活動がしやすくなることを指しますね。道路や鉄道、電気に水道、みんな社会活動に必要な要素です。だから経済への乗数効果が高かったのです。ところが津波対策の為に巨大堤防を造ってもせいぜい釣りに利用する程度の価値しかありません。乗数効果は限られますね。一度、出来上がった古くなったインフラ設備を改修するにしても、例えば日本橋の上を通る首都高速道路の地中化を進めても、景観が改善し周辺の地価が上がるから乗数効果があるのかな? その程度ではないでしょうか? 耐震工事はどうでしょうかね?
むしろ未来都市建設の実験をした方が余程価値がありますね。植物工場からキャッシュレス社会のIT未来都市です。SFの世界ですね。その緑豊かな自然あふれる都市建設の方が余程、新しい技術蓄積が生まれ、日本の建設は未来都市建設技術を磨け、新しい社会基盤の輸出が出来ますね。日本の鉄道管理技術は世界一でしょう。過密なダイヤを正確に運行させています。渋滞を防ぐために信号機の長さをコントロールする技術も世界一でしょう。これらの技術を集め、防犯カメラは犯罪だけでなく、効率的な人の動きを観察し、未来の人間行動工学のデータの蓄積を生みますね。行動心理学などの新しい分野に一石を投じるかもしれません。
同じ投資でも、数十年に一度起こるかどうかの地震対策の改修工事など…の乗数効果の低い投資をしないでほしいものです。携帯端末から人の動きが分かり犯罪もなくなり、SFの未来都市をフクシマに建設できるなら、その住民権を日本が世界に売ればいいのですね。いくらでも投資額を回収できるでしょう。ケインジアンとマネタリストの違いは回収の考え方があるかどうか…投資をする以上、回収しなければなりません。どうも藤井さんの昨日のビデオには、その発想が欠けている様な気がしました。だから安倍政権は日本の寿命を短くする導火線なのかもしれません。判断は非常に難しいですね。歴史は、だから面白いのでしょうが…。
まだ大納会が終わっていないので分かりませんが、おそらく野村は12連騰かな? やり過ぎですが、初期波動が強いのは大相場に発展する兆しでもあります。僕はどちらかと言えば安倍さんに対し批判的ですね。理由は何故なのかな? 折角、小泉さんから託されたものを継げずに台無しにしたからかな? おそらく郵政民営化に反対した勢力の巻き返しにあったのでしょうね。もともとお金を使うのが権力者の発想です。しかしケイジアンと違いマネタリストは、投資と言う観点でお金の効率運用を考えます。
故に米国の共和党のように小さな政府を求め、自立と言うキーワードを大切にします。日本の村社会は他人依存型の社会形態ですね。政府に望むものは何か? 市場原理の本来の姿は自由な競争です。明日、触れるかどうか分かりませんが、規制緩和が競争を加速し、価格競争からツアーバス事故に代表される弊害を生みましたが、日本人の教育レベルが確立されていれば、安ければサービスが悪く、危険なのは当たり前の価格発想です。本来は必ず、安心・安全にはコストがかかる筈です。この意識があれば、安売りに飛びつかない筈ですね。価格の安い鶏肉は、抗生物質を毎日飲まされ、体内蓄積率は非常に高い筈です。それを毎日食べれば、人間の耐性菌機能が失われ、遺伝子も傷つけるでしょう。今、中国では問題になっていますね。フライドチキンの安全性など…。
ところがどうでしょう? 日本人は全ての責任を政府に求めています。自己管理はどうしたのでしょう。自己管理もできない人間がゴロゴロし、これで世界競争に勝てるのでしょうか? 自由競争は自己管理を求められ、非常にレベルの高い競争原理の世界ですね。安いから携帯電話の会社をコロコロと変える種族と、多少の違いなら応援する会社を支援する種族と…自分はどちらの種族を選ぶのか? 有機野菜農家を支援するために自分は敢えて農家から直接高い野菜を購入するのかどうか? 自分はどの選択をするかの自律管理が出来る人間になりたいものですね。
久しぶりに大納会は希望溢れる展開になっています。当初は金融株の値動きは鈍かったのですが、ここにきてようやく本領を発揮しつつあります。批判はあるかもしれませんが、僕は金融の力を利用すべきだと思いますね。今の世界はリーマンショックの反省から金融規制論に傾き、自己資本比率を問題にされていますが、豊かな金融社会は人間にチャンスを多く与え、希望溢れる社会を作ります。孫さんが成功できたのはマニュアル以前にある支店長の裁量決済でしたね。今の基準なら背任行為で犯罪者扱いでしょう。市場に活気が戻れば、博打は当然盛んになります。博打は人間社会において潤いを与え、ユトリを生みます。どうせあぶく銭だから…あんたに投資してみるよ。投資された人間は行動するチャンスを与えられます。このチャンスを生かすか、殺すか本人次第。しかしチャンスが生まれない社会は、人間の行動を縛り、弊害しか生まれないでしょう。来年は希望溢れる社会に育ってほしいものです。1年間の「今日の市況」のご購読ありがとうございました。
投稿者 kataru : 2012年12月28日 12:04