「歴史の現実」(いちば)(2005年09月12日)
先週末は歴史の現実に遭遇できました。
SQという特殊要因はありましたが、東京株式市場1部の売買高は30億3846万株、売買代金は31兆4068億円。どれも史上最高記録を更新しました。
金メダルです。バッケンレコードです。
時価総額は400兆円に乗せましたが、ピークからはまだまだ300兆円あまり少ない水準。
株価指数に至っては、ピークよりまだ7割下。エネルギーだけが先行したという格好です。
しかし、兜町に感動の声はあまり聞かれませんでした。
「醒めている」というイメージでしょうか。
ここが不思議です。思えば、「感動」ということを兜町が忘れてから長い時間が経ったように思えます。
兜町からは多くの人が去っていきましたから、致し方ないのかも知れません。
しかし、株式投資に求められているのは、単に「利益」ばかりではなく「感動」である筈。
司馬遼太郎氏も「日本人は泣かなくなった」と指摘してますが「泣く」どころか感動すら減ってしまったようです。
バブル時代に20億株も出来た頃は、伝票の整理だけで夜遅くまでかかっていましたが、週末の兜町はいつもと同じ静寂でした。
世が世なら野村証券のストップ高があっても不思議ではないのです。
その野村証券は「投資顧問業で富裕層へ進出」の報道。
以前は「語られたくない投資家」が大半だったのですが、極端に「語らない証券会社」が増えたことで、今は「語られたい投資家」が圧倒的に増加していることから考えると自然な流れかも知れません。
投資家も「無機質な情報の羅列」よりは、やはり「感動」を求め始めたのです。
ただ当面はラップのようでが・・・。
もうひとつ忘れられたもの。それは自信だと思います。
バブル崩壊以前の投資家には、自信にあふれていました。
海外からも「ジャパンアズナンバーワン」と賞賛されたこともあり、日本経済は客車ではなく機関車だと誰もが思っていました。
今はそれこそ貨車とでも考えられているのでしょうか。
企業業績は絶好調であるにもかかわらず・・・です。
外国人投資家は、継続した日本株買い。
売っているのは個人投資家と信託銀行という図式は、おかしいと思います。
バブル崩壊以降に失われた時価総額400兆円を取り戻すには、絶好の機会と思われるのですが・・・。
選挙というイベントも終わり、政界は「宴のあと」。
しかし、マーケットは「これから宴の準備」の段階でしょう。
歴史に遭遇していること。これは現実です。