「時よ!止まれ」 (いちば)(2005年10月03日)
阪神タイガースが優勝。
福井日銀総裁は語りました。
「タイガースの優勝は、デフレ脱却の道を少しは確かにする」。
そして「日本の景気回復は西から全国に及ぶ」と。
物価の上昇が明らかになれば、消費に加速度が付きます。
漸くの・・・です。
西といえば、大証修正株価指数が話題となり始めました。
日経平均は2000年のアングロサクソン向け変更でハイテク指数に姿を変えてしまいましたが、大証修正平均は昔のまま。
先週は26000円台。
つまり、これが古の日経平均の現在の黄泉かえりの姿なんです。
それでも天井まではあと14000円。
8月の完全失業率(季節調整値)は4.3%となり、前月に比べ0.1ポイント低下。
完全失業者数は前年同月比30万人減の284万人となり、27カ月連続で減少。
就業者数は6405万人となり、前年同月より10万人増加、4カ月連続増加。
8月の有効求人倍率(季節調整値)は0.97倍と、前月と同じ水準。
9月の東京都区部の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が97.1と、前年同月比0.4%下落し、前年同月の水準を6年連続で下回った。
そして鉱工業生産指数。8月の鉱工業生産動向(速報)によると、生産指数は前月比1.2%上昇の101.2。
上昇は2カ月ぶり。同時に発表した製造工業生産予測調査では、9月が3.0%上昇した後、10月は0.4%低下を予測。
楽しみとしていた日銀短観はプラスの19。
事前の期待感が高かっただけに売り物も出るというところ。
しかし、本当に強い市場です。
長いスパンで見ると幾度かのオイルショックがありました。
その都度、体質を改善して筋肉を鍛えてきたのが日本でした。
原油高の実質GDPへの影響は次のようなもの。
1973年の第1時オイルショック時。
翌年のGDPに対する影響はマイナス0.27%。
79年の第二次オイルショック時は同じくマイナス0.15%。
91年湾岸戦争時は同じくマイナス0.08%。
そして今回はマイナス0.05%へと減少してきています。
内閣府が使う原油原単位(一定量のサービスを生み出すために消費する原油の指数)もブル材料。
90年のアメリカを100とすると、昨年のアメリカは79。
同様に90年の日本は54。
昨年は44です。
隣の中国では昨年も184。
ここから読むとアメリカは日本の倍。
中国は日本の4倍。
つまり、原油高は米中に痛手となり、日本の優位性は際立つということになります。
だからこその「BUY JAPAN」。
IMFが日本の成長率を上方修正したのも当然です。
この論法で日本株を売りまくっている証券マンがいます。
先月の数字は予算比200%超の達成率。
まだ伸びるとのコメント。
元気な株屋さんが増え始めました。
でも長い間の「縮み感」はなかなか脱却できない様子。
いわく「時よ止まれ!市場は余りにも美しい」。
兼好法師の徒然草十一段は「神無月のころ」。
京都の栗栖野の鄙びた庵を訪れてその「あはれ」に感じ入りましたが、庭の蜜柑の木を囲ってあるのをみて興ざめしたというのがテーマ。
庵を東京市場、蜜柑の木をオイルマネーと考えてみても良いように思えます。
マネーはそれこそ囲ってこそありませんが、囲いたがるもの。
蜜柑の木は、今、まさに東京市場にあるのでしょう。
土曜は甲斐駒ケ岳と八ヶ岳の雄大な風景に感動しました。
咲き誇るコスモスを美しいと眺めました。
日曜の夕刻は、訳あってTDL裏側の舞浜の縁で東京湾のお台場の彼方の大都市東京と着陸するジェット機と夕焼けを眺めました。
どちらも日本。
そして、「美しいもの」。
市場も間違いなく「美しいもの」に映っています。