詩と真実・・・

マーケット三国志

「日はまた昇る」(いちば)(2005年10月11日)

――秋が かうして かへつて来た
さうして 秋がまた たたずむ と
ゆるしを乞ふ人のやうに……
 
やがて忘れなかつたことのかたみに
しかし かたみなく 過ぎて行くであらう
秋は……さうして……ふたたびある夕ぐれに――
(立原道造)

NYが下げています。。
良く聞く言葉は「ブラックマンデー」。
確かにNY市場は、秋には大幅下落した歴史があります
1987年10月19日。これがブラックマンデー。
ダウ平均で500ドル余りの下げでした。
1929年10月29日。歴史の教科書にも出てくる「暗黒の木曜日」。
世界大恐慌のトリガーとなりました。
なぜ10月なのでしょう。
考えてみれば、アメリカは巨大な農業国家。
秋はたわわに実った作物の収穫の時期。
作物が増えれば価格は下がります。
つまり需給の供給が増える場面。
「作物が出来る」ということを都会人は忘れてしまいました。
「実りの秋」は、モノ余る秋でもあります。
このDNAがNY市場にも流れていると考えても不自然ではありません。

要は、近代的マーケットも自然を無視しては成り立たないということです。
「風吹かぬ、二百廿日の安値段、定式として待ち受けて買え」。
二百廿日前後の台風が来なければ豊作になるので、売り物が出ると言います。
カトリーナとリサに襲われたアメリカは作物ではなくガソリンが不足して値上がり。
その意味では、この格言は現代でも通用します。

日経朝刊で英エコノミスト編集長ビル・エモット氏は、こう指摘します。
「今年夏に3週間かけて日本を取材。その結果を『日はまた昇る』という特集にまとめた。長期的に日本は再生する」。
彼が指摘する問題点は労働力不足。
「ロボットなどの新たな生産技術の革新が促されるとともに企業は一段と女性の人材活用を迫られる」と逆にポジサインという観点です。
だからドラマは月9が「気になるアネキ」で木10が「大奥」。
火10の「鬼嫁日記」のおまけつき。
世の中のテーマは「女性」となる訳です。
中期的銘柄テーマとしては、やはりはずせません。

「日はまた昇る」はヘミングウェイの初期の代表作。
「ロストジェネレーション」は有名な一文です。
07年問題を控え、かつマーケットの歴史的変化をふまえると「ロスト・ジェネレーション」は結構新鮮な言葉となります。
「誰がために鐘はなる」もヘミングウェイの作品。
市場の鐘はかつて発行企業のためにありました。
現在は投資家のためになっていると考えたいところです。

太陽は常に東から昇るもの。
易学者は、東北から西南へは攻めやすいと言います。
西方浄土とも言います
日本企業の中国、インド、タイへの進出は理に叶っていることになります。
また水辺には金が集まり、山間には人が集まるとも言われます。
とすると・・・日本はやはり金が集まる筈なんでしょう。

ところで、1915年英仏の戦争である「ワーテルローの戦い」におけるロスチャイルドの行動は有名な話です。
彼は誰よりも早く英国の勝利を知りました。
市場のコンセンサスは「仏軍勝利は売り、英軍勝利は買い」。
ところがロスチャイルドは大量に売り始めたのです。
市場はパニック。
その下げでロスチャイルドは大量の買いを入れたと伝えられています。
英軍の価値という事実が伝えられると、ドテンのブル相場。
一夜にしてトスチャイルドは財をなしました。
ここには大きな教訓が隠されています。
「事実情報だけを独占的に握ること」。
表面に現われる事は、すべて過去のこと。
活字はすべて一日あるいは半日前のことを報じていることに気が付くことは重要だと思います。

足元日本の東京市場。
「もう駄目」とすら言えなかった企業が収益企業へと変貌してきています。
「企業は気から」の教訓。
「気」は「機」と「基」。
「希」でも「喜」でも「輝」でもあるのです。