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2005年11月28日
「胡散臭さ」(いちば)
マンション等の構造手抜き問題で揺れています。
発端は姉歯建築設計。
シノケンも揺れ、中小マンション業者の社長は頭を下げるという見慣れたシーンの連続。
これは建築の構造だけではなく、日本の不動産業の構造的問題でしょう。
依然として専門家が「胡散臭い」く思われます。
「周旋屋」とか「千三つ」と長く言われてきた世界。
ようやく「証券化」の世界」までなりましたが、現場は「やらずぶったくり」の世界。
不動産投資信託は、確かに拡大。
しかし、どこかの時点でシロクロの淘汰がなされなければなりません。
REITの中に入っている物件の再吟味が必要なんです。
いわば「REITつぶし」。
本来、「混沌」ではいけないのですが、この「胡散臭さ」をこよなく愛する人たちは結構多いようです。
特に株式、不動産、そして商品・為替の先物取引。
混沌がなければ、窮屈かもしれません。
しかし、マーケットは急速に発展。
「なあなあ」から「明確簡潔」こそマーケットテーマなのに・・・。
胡散臭いのは、マーケットに絡むものだけではありません。
「健康食品」もその代表格。
多くの企業が売り上げ増加のために「健康食品」部門を新設するのもその現われでしょう。
中期経営計画などをみると多いのは不可欠。
つまり「福祉・環境・健康・通信」の事業計画です。
ただ、この健康食品分野。
本物は間違いなく伸びます。
それは国策というのが理由。
「医療費は抑制。健康は自分で守ってください」がお約束である以上、サプリメントなどは爆発的に売れる筈。
裏返してみれば、アガリクスなどの違法販売摘発は「一罰百戒」。
業界を正常化した「国」のサインと思えてきます
アメリカやロシアの影に隠れた格好の中国。
良く見るといろいろなことが起きています。
まずはモンゴル。
朝青龍は優勝しましたが、ブッシュ大統領は。「第3の隣国」としての待遇を表明し、モンゴル軍の支援を継続する方針。
中国に対する楔です。
一方、中国は南太平洋では、パプアニューギニアのニッケル鉱山の権利を取得し、関係を強化の方向。
エネルギー政策でパプアへの依存を高めており、中国の資源外交は世界中で展開するものと思わます。
一方、中国内陸部では、「外資系銀行の支店開設が相次ぐ」の見出し。
従来、沿岸部中心とされた経済発展は、そろそろ内陸部へも侵食し始めたようです。
上海では400平米のマンションに7億円の値段がついているといいます。
あれだけ広大な土地を持ちながら、坪単価500万円超。
これは凄い。
東京のマンション並あるいはそれ以上になるんではないでしょうか。
ある商社OBが中国内陸部へ出張。
それも「鄭州」へ。
ほとんど聞いたことのない地名です。
中国の黄河中南部流域に位置する河南省にあるそうです。
ここは中原地帯。
古くからの言い伝えは「中原を制するものは天下を制す」「中原に鹿を追う」など。
多くの英雄、豪傑たちがこの地で覇権を競い、栄枯盛衰を繰り返してきた場所。
司馬遼太郎氏は書きました。
「いわゆる漢民族文明が興るのは、この中原においてである」。
つまり、漢民族の発祥の地。
中国経済も本格的発展の時期になったことが窺えます。
胡散臭さと明確さの同居が今の東京市場。
まだまだ11月は終わりません。
2005年11月21日
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」(いちば)
ニューヨークが年初来高値。
ナスダックも2001年6月以来4年半ぶりの高値。
原油安、金利低下そして半導体関連やネット関連の好調が背景。
日米ともに「4年半]ぶりの賑わい。
2005年はやはりターニングポイントでした。
手前味噌ですが「2005年は大きなターニングポイント」と指摘したのは2002年の春。
OECDがマネロン・タックスヘイブン規制の達成目標を2005年とした時。
世界のお金は、表と裏に分別されます。
統計の「誤差脱漏」の世界で片付けられる金額は、余りにも大きいんです。
ところが、これが規制されました。
ケイマンや香港など比較的自由とされた場所が窮屈になってきました。
(国税庁は香港にもちゃんと担当者を駐在させていることは案外知られてません)。
タックスヘイブンは、どちらかというとリゾート地に多いもの。
なぜなら世界の富豪が、リゾッチを兼ねるためなんです。
ビーチ沿いの会計事務所に私書箱会社などを置いている風景は「ザ・ファーム」そのもの。
きっかけは911でしたが、皮肉なことにマネロン規制は米国への資金の流れを削いでしまいました。
マネーは太平洋を、そしてユーラシア大陸を跨ぎ始めたのです。
それが「外人買い」の背景。
実はサインは「愛知万博=愛・地球博」。
オリンピックと違い、常に万博はターニングポイントと指摘するヒトは結構います。
その意義はダヴォス会議どころではないといいます。
だから2012年の上海には注目ガ集まっています。
そういえば、12月人民元再切り上げの話に火が付き始めたようです。
指数は半値戻しからの逆襲。
まさに「バックトゥーザフューチャー」。
「毎日毎日のフルコースでは食傷気味。たまには麦飯のとろろご飯も食べたくなる」と99年の11月に書きました。
指数は、18,686.87円(1万ハローハロー花)。
まだまだ148。
6年前に来日したロスチャイルドの5代目は語っていました。
「ロスチャイルド家は、常にパーソナル・タッチを大切にしてきた。
今の日本の経営者たちは、日本企業が持つ優れた技術を再度世界にアピールする必要がある」。
6年の時間を経て、その通りになってきました
眩い小春日和の太陽は、まさに「逆襲と安穏」のイメージのようです。
ところで指数。
「元気になる日本に託そう」なんてキャッチコピーは、もはや昔日の面影。
盛んに語られる指数ですが、2000年4月にハイテク指数と化したことはあちこちで語られています。
2000年以前の指数とその後の指数はまったく別物。
ちなみにTOPIXと日経平均の比較をNT指数といいますが、現在は9.5倍。
往時は12倍程度でしたから、日経平均は18400円程度が妥当という説もあります。
あるいは、比較的ヒストリカルな大証修正平均250種は28000円。
本来指数はもっと上である筈なんでしょう。
そこで指数をもとに戻そうという動きが出始めました。
制度の変更ではありません。
あくまでも元に戻そうということ。
指数は確かに連続性はありますが、昔の姿ではないので、元に戻すということです。
ロンドンやシンガポールのトレーダ連中が真剣に論じ始めました。
もっとも実現の可能性は今のところ、薄いんですが・・・・。
でも、イギリスやシンガポールがもしも本気になったとすると、これは楽しくなってきそうです。
制度の変更は、過去幾度となく東京市場を苦しめてきました。
債券先物、株式先物、指数の見直し・・・。
それはコンセンサスが日本株安ウェルカムだったから。
今のコンセンサスは、日本株高ウェルカム。
だから・・・制度の変更ではなく「リバイバル」。
なかなかの妙手と思えるのですが・・・・。
SF的ですが、実現すると指数は3万円以上?
世界の目は東京に集まるに違いありません。
2005年11月14日
リバイバル(いちば)
「過熱感なき高速回転相場」とでも表現するのでしょうか。
出来高45億株は、すんなりと達成されました。
先週のみずほのレポートが印象に残りました。
題して「1984年1月、銀行株が『株』になった日」。
銀行株の対TOPIX相対指数が11月1日に1984年1月の水準に戻りました。
1984年1月は銀行株が株としてまとまな値動きをするようになった時点。
それまでは、一律500円がお約束で、売り伝票を書くときは事前に、発行銀行の了解が必要でした。
値を崩さず、値を上げず、まさに護送船団方式は株価にまで及んでいた訳です。
ところが、これが消滅したのが1984年1月。
銀行セクターの月間株価上昇率は住友銀行がプラス50%になるなど平均で20~30%の上昇。
その後1989年1月までの5年間でTOPIXは3.7倍。銀行株指数は6.6倍。
背景は、東京金融センター構想と債権大国日本の台頭という懐かしい響き。
因みに当時の都長銀23行の中で社名がそのままで、株式コードが今も同じなのは住友信託銀行だけなんですね。
これだけの構造改革があれば、当然銀行は復活するに違いありません。
フランスが少し揺れ始めました。
高貴な国と思われがちなフランスの光と影。
暴動の背景にあるのは都市郊外に住む移民の貧困とされます。
とても、極東の民族、日本人からはうかがい知れないもの。
南太平洋にバヌアツという国があります。
珍しいことに、以前は英仏共同統治。
大体は英国領かフランス領というように一国の統治が普通なんですが、ここだけは共同でした。
それだけ、勢力の最前線であったのかも知れません。
面白いことに、英国人がレストランへやって来るのは5時から9時くらいまで。
その後にフランス人がやって来て深夜までというのがお約束。
職業も、金融がらみは英国系、インフラがらみはフランス系と見事なまでの住み分けになっています。
これが、ヨーロッパの知恵なのであろうかと感心させられます。
もっと面白いのはアメリカ人。
英国人よりも、フランス人よりも弱い。
彼らがヨーロッパを脱出した民族ということが良く理解できます。
アメリカ中心主義の世界観を持つ日本人にはなかなか理解できません。
そして、中国の台頭。
地政学をナマで知ることはとても大切です。
「フランスへ行きたしと思えど、フランスは余りにも遠し」は、萩原朔太郎。
今はジャンボでパリまで13時間。
フランスの歴史も英国の歴史も、今のマーケットでは十分影を落としていることに気がつくべきでしょう。
パリバもリヨネもソジェンもフランスが本国。
マーケットにネガマインドガ潜んでいるとすると、このあたりに遠因があるのかも知れません。
台湾では液晶の売上高が過去最高。
クリスマス商戦用向けの薄型テレビが売れています。
ドイツの薬品大手バイエルはの7~9決算は、医薬品に特化したことから純利益が前年同期比9.5倍になりました。
UAEのドバイでは「溢れる資金争奪戦」の話。
背景は9.11以降のマネーロンダリング規制で、タックへイブンに潜んでいたお金の還流。
NYはOECDのタックスヘイブン規制を通じて、自縄自縛に陥ったことになります。
振り返れば、タックスヘイブン規制は2002年以降。
そしてドバイー成田の直行航空便が開設されたのは、2003年の11月。
今にしてみれば、絶妙なサインでした。
月刊文春12号には「奪われる日本」。
サブタイトルは「郵政民営化によって、簡保120兆円市場をこじあけた米国の次なる標的は、世界一を誇る日本の医療と健保制度だ。
我々の『健康と安心』が外資の手に落ちる」。
年金→介護→健保の流れは鮮明になってきました。
ただしアメリカでは、民主党の勢力が巻き返し。
素材・エネルギーと金融・ハイテク・ソフトの勢力争いが、マーケットでも展開されるに違いありません。
先週末のメール。
機関投資マーケットで有名だった美人トレーダーから。
「あまり過熱感ないよね(^-^)。
30円の幅がとれて回転売買が効いて出来高が膨らんでるのと2円位の幅でパタパタして出来高膨らんでるとは違うんじゃないかなー。
で、いつものように生保が売ってる間は、曲がり屋だから上がるでしょうね(^O^)」と。
かなり久しぶりにセイホの名を聞いた気します。
そういえば、まだ運用をしていたんですね。
まさに「リバイバル」という感じです。
2005年11月07日
「自民党からフランスまで」(いちば)
先週、自民党本部での「メルマガ・ブログ作者との懇談会」に出席しました。
仕切っていたのは、参院総務委員長になった世耕正隆氏(自民党広報本部長代理)。
NTT出身だけに自民党のメディア戦略の要。
広報本部長の根本匠氏、政調会長の中川秀直氏も出席し、自民党の政策などについて懇談。
前回は、武部幹事長だっただけに「私の政治理念」的な質問が多かったと言います。。
今回は、二輪車の駐車問題、ペット課税問題、ジェネリック薬品問題など具体的政策の質問が相次ぎました。
内容の違いは、「登場人物のキャラの違い」だったようです(主催者側の分析)。
自民党は、明らかに政治屋から政治家に変身しようとしているように見えました。
興味深かったのは、一般人の意見を聞く電話。(いわゆるクレイマーコール)。
民主党は電話音声の録音。自民党はアナログな人的対応。
ここでは人的対応に分が上がるに違いありません。
その日得たものは2つありました。
一つは、薬品業界に関する危機感が政界には間違いなくあるということ。
外資に持っていかれている薬品の売り上げを日本の製薬業界に取り戻したいと言うのが理由。
本音は「外資は税金を払ってくれない」でしょう。
もう一つは通信問題。
ITを拡大していくと、やはりNTTの帰趨が重要となります。
まさにITとBTなのです。
脳裏に浮かんだのは「国策に売りなし」の格言でした。
ところで指数は14000円台に復活。
2001年5月以来4年半ぶりの水準。
ということは・・・小泉内閣発足時に戻ったことになります。
TOPIXも1500ポイント。
まさしく「実りの秋」です。
この4年半にあったこと。
企業業績の好転。
そして、多くの金融機関の合従連衡。
M&Aのお茶の間化。
道路公団と郵政の民営化。
年金・介護保険の変更。
・・・と、小さな政府と民間委託が顕著になってきたこと。
確かに構造改革でした。
東証の売買停止で明らかになったこと。
面白かったのは先物の動き。
本来はデリバティブ(派生商品)であり、オリジナルが休めば動きは鈍い筈。
ところが逆に、大幅高。
間違って生まれた野獣が成長したかのようなイメージです。
「豚は太らせてから食べる」にならなければ良いのですが・・・。
みずほのレポートが印象的です。
題して「1984年1月、銀行株が『株』になった日」。
1984年1月は銀行株が株としてまとまな値動きをするようになった時点。
それまでは、一律500円がお約束で、売り伝票を書くときは事前に、発行銀行の了解が必要でした。
値を崩さず、値を上げず、まさに護送船団方式は株価にまで及んでいたのです。
ところが、これが消滅しました。
1984年1月の銀行セクターの月間株価上昇率は住友銀行がプラス50%になるなど平均で20~30%の上昇。
その後1989年1月までの5年間でTOPIXは3.7倍、銀行株指数は6.6倍になりました。
背景は、東京金融センター構想と債権大国日本の台頭。
因みに当時の都長銀23行の中で社名がそのままで、株式コードが今も同じなのは住友信託銀行だけ。
これだけの構造改革があれば、当然銀行は復活しうるに違いありません。
世界ではフランスが揺れ始めています。
高貴な国と思われがちなフランスの光と影。
暴動の背景にある「移民の貧困」は日本人からはうかがい知れません。
南太平洋にバヌアツという国があります。
珍しいことに、以前は英仏共同統治。
大体は英国領かフランス領というように一国の統治が普通ですが、ここは共同統治なんです。
それだけ、勢力の最前線であったのかも知れません。
第二次世界大戦の時に日本の大本営は、「ニューへブリデス(現在のバヌアツ)まで進出したら戦争をやめる」と決めていたといいます。
面白いことに、英国人がレストランへやって来るのは5時から9時くらいまで。
その後にフランス人がやって来て深夜までというのがお約束。
職業も、金融がらみは英国系、インフラがらみはフランス系と見事なまでの住み分けとなっています。
これが、ヨーロッパの知恵なのでしょうか。
もっと面白いのはアメリカ人。
英国人よりも、フランス人よりも弱いのです。
彼らがヨーロッパを脱出した民族ということが良く理解できます。
アメリカ中心主義の世界観を持つ日本人にはなかなか理解できません。
そして、中国の台頭。
地政学をナマで知ることはとても重要だと思います。
「フランスへ行きたしと思えど、フランスは余りにも遠し」は、萩原朔太郎。
今はパリまでジャンボで13時間。
フランスの歴史も英国の歴史も、今のマーケットに十分影を落としていることに気がつくべきでしょう。
パリバもリヨネもソジェンもフランスが本国。
マーケットにネガマインドが漂うとすると、はこのあたりに遠因があるかも知れません。