詩と真実・・・

マーケット三国志

「自民党からフランスまで」(いちば)(2005年11月07日)

先週、自民党本部での「メルマガ・ブログ作者との懇談会」に出席しました。
仕切っていたのは、参院総務委員長になった世耕正隆氏(自民党広報本部長代理)。
NTT出身だけに自民党のメディア戦略の要。
広報本部長の根本匠氏、政調会長の中川秀直氏も出席し、自民党の政策などについて懇談。
前回は、武部幹事長だっただけに「私の政治理念」的な質問が多かったと言います。。
今回は、二輪車の駐車問題、ペット課税問題、ジェネリック薬品問題など具体的政策の質問が相次ぎました。
内容の違いは、「登場人物のキャラの違い」だったようです(主催者側の分析)。
自民党は、明らかに政治屋から政治家に変身しようとしているように見えました。
興味深かったのは、一般人の意見を聞く電話。(いわゆるクレイマーコール)。
民主党は電話音声の録音。自民党はアナログな人的対応。
ここでは人的対応に分が上がるに違いありません。

その日得たものは2つありました。
一つは、薬品業界に関する危機感が政界には間違いなくあるということ。
外資に持っていかれている薬品の売り上げを日本の製薬業界に取り戻したいと言うのが理由。
本音は「外資は税金を払ってくれない」でしょう。
もう一つは通信問題。
ITを拡大していくと、やはりNTTの帰趨が重要となります。
まさにITとBTなのです。
脳裏に浮かんだのは「国策に売りなし」の格言でした。

ところで指数は14000円台に復活。
2001年5月以来4年半ぶりの水準。
ということは・・・小泉内閣発足時に戻ったことになります。
TOPIXも1500ポイント。
まさしく「実りの秋」です。

この4年半にあったこと。
企業業績の好転。
そして、多くの金融機関の合従連衡。
M&Aのお茶の間化。
道路公団と郵政の民営化。
年金・介護保険の変更。
・・・と、小さな政府と民間委託が顕著になってきたこと。
確かに構造改革でした。

東証の売買停止で明らかになったこと。
面白かったのは先物の動き。
本来はデリバティブ(派生商品)であり、オリジナルが休めば動きは鈍い筈。
ところが逆に、大幅高。
間違って生まれた野獣が成長したかのようなイメージです。
「豚は太らせてから食べる」にならなければ良いのですが・・・。

みずほのレポートが印象的です。
題して「1984年1月、銀行株が『株』になった日」。
1984年1月は銀行株が株としてまとまな値動きをするようになった時点。
それまでは、一律500円がお約束で、売り伝票を書くときは事前に、発行銀行の了解が必要でした。
値を崩さず、値を上げず、まさに護送船団方式は株価にまで及んでいたのです。
ところが、これが消滅しました。
1984年1月の銀行セクターの月間株価上昇率は住友銀行がプラス50%になるなど平均で20~30%の上昇。
その後1989年1月までの5年間でTOPIXは3.7倍、銀行株指数は6.6倍になりました。
背景は、東京金融センター構想と債権大国日本の台頭。
因みに当時の都長銀23行の中で社名がそのままで、株式コードが今も同じなのは住友信託銀行だけ。
これだけの構造改革があれば、当然銀行は復活しうるに違いありません。

世界ではフランスが揺れ始めています。
高貴な国と思われがちなフランスの光と影。
暴動の背景にある「移民の貧困」は日本人からはうかがい知れません。

南太平洋にバヌアツという国があります。
珍しいことに、以前は英仏共同統治。
大体は英国領かフランス領というように一国の統治が普通ですが、ここは共同統治なんです。
それだけ、勢力の最前線であったのかも知れません。
第二次世界大戦の時に日本の大本営は、「ニューへブリデス(現在のバヌアツ)まで進出したら戦争をやめる」と決めていたといいます。
面白いことに、英国人がレストランへやって来るのは5時から9時くらいまで。
その後にフランス人がやって来て深夜までというのがお約束。
職業も、金融がらみは英国系、インフラがらみはフランス系と見事なまでの住み分けとなっています。
これが、ヨーロッパの知恵なのでしょうか。

もっと面白いのはアメリカ人。
英国人よりも、フランス人よりも弱いのです。
彼らがヨーロッパを脱出した民族ということが良く理解できます。
アメリカ中心主義の世界観を持つ日本人にはなかなか理解できません。
そして、中国の台頭。
地政学をナマで知ることはとても重要だと思います。

「フランスへ行きたしと思えど、フランスは余りにも遠し」は、萩原朔太郎。
今はパリまでジャンボで13時間。
フランスの歴史も英国の歴史も、今のマーケットに十分影を落としていることに気がつくべきでしょう。
パリバもリヨネもソジェンもフランスが本国。
マーケットにネガマインドが漂うとすると、はこのあたりに遠因があるかも知れません。