詩と真実・・・

マーケット三国志

「賢者の贈り物」(2005年12月19日)

師走ではなく「金走る」。
慌しくなってきました。
凛とした寒さは本当に久しぶりです。
温暖化はどこへ行ってしまったのでしょう。
調整ムードのマーケットは、寒さを一層感じさせるようです。

与党の税制大綱は、結論として景気対策型から転換し、実質増税2兆円。
定率減税が廃止され、大地震に備えた耐震工事に減免措置。
マクロな観点からは、公共事業費が4%あまり削減されていて、これは評価。
国家の観点からはとにかく出るを制すことが重要。
その意味では、多少の仕掛けとはいえ為替の115円台も理解できます。

意外と大きいのは、韓国のES細胞論文捏造問題。
ES細胞はバイオの柱であり、これは韓国に先行されると痛いところ。
京大を初めとして国内の各研究機関がしのぎを削っており、再びスタートラインとなったようです。
バイオはビジネス。
例えば、数年前、ある医大の女性研究者は心筋の再生技術を開発しました。
喉から手が出るほど研究費が欲しかった彼女は、この技術を食品メーカーA社に売却しました。
その金額わずか1000万円。
ところが、A社は数年後、バイオ部門を一括してB製薬に売却。
その売却価格には含まれたこの技術は数億の評価にもなっていました。
要するに、真摯な研究もヒューザーなどが跳梁跋扈するビジネスの世界では、カネの評価になってしまうということ。
でなければ捏造など起こりません。

マーケットも同様に心理戦。
ここ数日は粉雪相場。
「株屋殺すに刃物はいらぬ。株の3日も下げればよい」。
確かに・・・。
責任回避の「調整論」が目立ち始めました。

ブッシュ大統領が謝りました。
「イラクに大量兵器はありませんでした。
でもフセイン君が、言うことを聞かないので世界のみんなのためにいじめました」。
これでは世界の安全保障は子供の喧嘩レベル以下。
もっとも、ようやく真実が証明されたことになります。
かたやスノー財務長官は吼えました。
こちらは「僕は悪くない」。
アメリカの貿易赤字拡大について、ヨーロッパや日本の成長加速を求めました。
アメリカ人はこの発言で、「アメリカの責任はない」と思うのでしょう。
やんちゃなヤンキーの年末風景。
しかし、明らかに権力構造は変化してきたようです。
ネオコンの衰退。
そして、民主党の勢力拡大。
共和党は比較的トラッディショナルなので、あまり金融に興味を示しませんが、民主党は金融大好き。
クリントン政権の8年間に行われたことは、他国の市場潰しであったことは記憶に新しいところ。
これは困ったことになります。

日銀は家計の金融資産は過去最高の1453兆円になったと発表。
国債等が前年同月比40%増の24兆円あまり。
投資信託が同28%増の44兆円あまり。
どちらも過去最高を更新。
日銀の調査統計局は「米国や豪州などの公社債投資が目立つ」とコメント。
投資信託も対外証券投資が41%の伸びを示しました。
これだけ出してもまだ欲しいんですか?と聞いてみたいものです。

それにしても国務長官は米。
財務長官は雪。
雪と米ではそれこそ風情は餅つき。
だからボラの高い餅つき相場と指摘する専門家。
まもなく「戌笑う」だというのに・・・。

もうすぐクリスマスですが、実は筆者の誕生日。
プレゼントはソフトバンクかみずほなんて考えると楽しくなってきます。
ある役員氏は、奥様に500万円相当の株をプレゼントしたとの話。
それこそ「賢者の贈り物」。
「忙しい株式仲買人のロマンス」のような話です。