「偽装」(いちば)(2006年01月23日)
東京市場は「綱渡り」。
取引停止は戦後初のこと。
それこそ毎日が「ハラハラドキドキ」となってきました。
東証の本音は「出来るならばライブドアを即上場廃止にしたい」。
理由は、件数問題。
比例配分ではなく寄り付けば、2億5000万株の売買注文の約定件数は、すくなくとも100万件を超える。
この負荷に耐えられるかどうかの瀬戸際となります。
また、価格が下落すれば、マネーゲーム投資家の参加は明らか。
例えば2ケタや1ケタの値段になると、件数はケタ違いに跳ね上がる。
悩みは尽きないようです。
日経「アイルケ」は今月末で終了。
一昨年11月から続いた第1ステージの終了ということです。
フィナーレには「冬香」の登場を望む声が四方から聞こえてきます。
2月からは堺谷太一氏の「世界を創った男」。
彼の場合は、「油断」でショックがあったものの、その後の過剰流動性相場の幕開けとなったことが思い起こされます。
「温故知新」は、平成バブルではなく、昭和30~40年代に求められるということになるのでしょうか。
象徴的なのは1時の後場寄り付き。
本来12時30分開始が特例であったことを知る人も少数派となってきています。
立会いが1時からとなると、意外と30分は長いもの。
長年の習性は、「早く場が立たないか」と要求してきます。
時折、休日にも寂しさを感じることがありますが、株式市場は一種の麻薬みたいなもの。
11時に前場が引けると、顧客先に外出。
注文を決めて1時までに戻るという古風な株屋スタイルが復活するかも知れません。
その昔、2時50分になると、その日の注文を一気に出すつわものがいました。
彼の言。
「引け値はすべてを反映している。だから引けなんだ」。
当時はもっともらしく聞こえましたが、今考えると、単に注文が取れないだけに過ぎなかったのではないでしょうか。
加えて、殆ど「ダマテン」という事後承諾売買で・・・。
騒がしいニュースがあると、裏側では大抵大事なことが起こっています。
今回は何なのでしょう。
地球的には、中国と北朝鮮の首脳会談における改革路線とイランの核問題。
国内的には、増税路線と国債増発問題。
もっとも、本当にかき消されてしまったのは、単に「偽装」だけなのかも知れません。
彗星の如く現れたホリエモンが、瞬時にして容疑者候補へ。
そこでハイエナ的資金は何を考えるのでしょう?
意外ですが、それこそ、ライブドア買収でしょう。
ただし、条件は正業のみの価格で。
ライブドア証券、ライブドアオート、あるいは弥生会計、そしてマネーライフなどきちんとした子会社群の評価は変わっていません。
これらの企業の人たちにしてみれば、「一刻も早く傘下から離れたい」というのが本音。
そして「喉から手が出るほど欲しい」人たちの争奪戦が予想されます。
どうもマスコミは、一方的にしか報道しないから良く見えなくなります。
「企業は人」。
これが大原則。
ヒューザー問題と異なり、ライブドア問題には被害者がいないかの如く、面白可笑しく報じられています。
でも正業の社員の立場は完全に忘れられているようです。
あるライブドアグループ企業の人から「このたびは報道でお騒がせしております」とのメール。
「弊社は瞬間風速的に有名な企業になりましたが、一部報道に弊社があたかも実体のない会社であるとの印象を与えかねないものもございます。
弊社は実業に携わり、地道に事業に取り組んでおります」。
その通りだと思います。
「溺れた犬は叩け」というのはマーケットの格言。
なんとも凄まじいものです。
しかし、溺れた犬に構うと、こちらも手をかまれる可能性があります。
だから、叩くというのです
マーケットは、そういう場所であることを忘れてはいけません。
人は近づき、人は離れていく。
「裸の王様」は決して寓話ではありません。
ところで・・・。
東芝が約5700億円でウェスティングハウスを落札しました。
WHといえば、アメリカの原子力発電プラント大手。
「虎の尾」を踏んだことにならなければ良いのですが・・・。
アメリカが「市場」を人質として、「牛肉輸入再開」を迫ってくると読めないことはありません。
複雑に絡み合っているように見える事件も、究極は「誰が得した?」の世界なのです。
そういえば、「偽装」という言葉は、牛肉問題から始まりました。
「牛肉偽装」→「マンション強度偽装」そして「投資組合偽装」の流れ。
一喜一憂シーソー相場ですが、「月の廿日にモノ売るな」と考えたいところです。
「戎天井、節分底」となりそうな気配。
むしろ当面は「時を買う」イメージでしょうか。