詩と真実・・・

マーケット三国志

「すそ野」(いちば)(2006年01月30日)

ある番組制作プロダクションの社長A氏とミーティングでの話。
株式投資などもってのほかというタイプの奥様がこう仰ったといいます。
「ライブドアの株を買ってみてもいいかしら・・・」。
投資暦の長いA氏ですが、奥様の話は晴天の霹靂。
そして株式市場のすそ野の広がりを感じたといいます。
彼女は、ライブドア事件は当然知っているにもかかわらず、ライブドアなのだそうです。
新聞では粉飾があるとはいえ、純資産が185円と報じているし、もし上がればラッキー。
下がって紙くずになっても、宝くじを数万円買ったと思えば、それでいい。
国民資産の形成や長期的産業資本の安定的供給などという高邁な理念は存在していません。
長らく株式市場が表面上否定してきた「投機性」が露出しただけのことです。

しかし・・・。
株式市場はある意味でギャンブル市場でもあるという事実認識は重要。
それもまた株式市場の一部。
心のどこかでは「ライブドア?」と感じるものの、「すそ野」は歓迎。
時代背景は、NTT株放出前夜に似通ってきたようです。
もっともここ数日は、質への流れが強まってますが・・・。

その意味ではソニーがやってくれました。
これまで良いニュースはほとんどありません。
でも下がりませんでした
ライブドアショックの影響も殆ど受けませんでした。
クレディスイスが1月17日に強気の投資評価。
目標株価は6000円。あっという間のクリア。
年末から、セミナーなどで同社株に対して強気のコメンをトしてきましたので「ホッ」!でした。

大手投資家のミニセミナーでの話。
ある会長さんは「去年損しました」。
怪訝に思ってよくよく聞いてみました。
「実は投資顧問会社にお金を預けての一任勘定。
いつの間にか数千万円持逃げされてしまった」。
これは株式の損失ではなく、詐欺。
ようやく理解できました。

先々週の下げの中で個人投資家は5296億円と500億円超の買い越し。
バブル時以来18年ぶりのこと。
外国人も同様。
6兆2758億円の買い、売りが6兆2519億円。
こちらも昨年来の最高。
マネーは蠢いています。

面白いのは日銀。
今回のライブドアショックの調整を歓迎しているとの話。
春先の量的緩和解除で、万が一株価の調整があると、日銀バッシングとなることが予測され、その前のガス抜きとしては、最大効果であったと見る向きは多いようです。

今週は、銀座や大阪で株式セミナーの予定。
銘柄コードと銘柄名だけを聞く投資家の集まりではないことに期待したいところ。
でも・・・。
いくら声高く「他力本願ではなく自分シナリオが大切」と叫んでも、なかなか受け入れられないのが悲しい現実でもあります。