「山より大きなイノシシ」(いちば)(2006年02月21日)
サクラ吹雪のサライの世界を待ちつつも「凍ったマーケット」。
ライブドアが邪魔しているといっても、それも「マーケット」。
欧米の高値を横目で睨めながらの「辛抱」というのが現実です。
コメントは「ライブドア事件に端を発した東京市場の不透明感を嫌気したマネーが欧米回帰を始めた」。
確かに、そうでしょう。
でも問題は「日柄」。
「山より大きなイノシシは出ない」とは、ある市場関係者の言葉。
東京市場は一時的にそのキャパを越えたという見方があります。
勿論、日本企業のファンダメンタルズは良好。
でも調整モード。
ということは、一時的に日本株は山よりも大きくなってしまったということ。
投資に完璧な法則はあり得ませんが価格の連続性は、不連続線にはなり得ないという見方は、案外正しそうです。
月曜の1面は「堀江被告一両日中に再逮捕・・・上場廃止は不可避」。
日曜のテレビなどを見ていても「落としどころ」がはっきりしません。
むしろ「鋼材16年ぶりに5000万トン台」の方が経済紙としては、トップにあって欲しいところ。
そういえば、新日鉄は、個人株主向けの工場見学を始めたといいます。
「遅すぎる」の声も聞かれますが、まずは一歩。
政界は泥試合となってしまいました。。
メールの信憑性を問う前に、銀行口座の履歴を調査すればいいのに・・・。
と、誰もが思います。
民主党も要求しました。だが、自民党は首肯しません。
不思議なことです。
意地の張り合いなのか、何か不都合があるのか・・・理由は定かではありません。
この程度の戦や喧嘩すらマトモに出来ないのならば、国際社会では発言権もありません。
だから株安という見方もあります。
週末、NHK大河ドラマにもなっているので「功名が辻」(司馬遼太郎)を読み返してみました。
よくよく出世する山内一豊の都合良さには感心。
それよりも、夫が馬を買うために黄金十枚を使った妻の心情はなかなか鋭いもの。
「馬などはどうでも良い。誰もが瞠目する馬を買って評判になることが大事」。
確かに評判は、夫を出世させ、後年は小学校の教科書にも取り上げられました。
モノの本質を見る目は大切です。
月刊文春では「ライブドアは挫折者たちの集まりであった」とのコメント。
しかも、04年以降組織は歯止めが効かなくなったと。
この手の話は、ライブドアに限らずどこにでもあります。
例えば、ある中小証券。
派手な宣伝で、新高輪プリンスに1日で1万人の投資家を集めました。
これが絶頂。
その後、金融庁の検査などで失策を指摘され、今ではその名もなくなってしまいました。
現在の名称は「ライブドア証券」というのも不思議なめぐり合わせです。
秀吉の醍醐の花見。
信長の京都御所での馬揃え。
ライブドアの忘年会の映像。
不思議と「月満つれば欠ける」ものです。
相場師是銀氏を描いた「相場師一代」。
その中の言葉。
「過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する」。
そして「株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物」と。
乖離への戒めに他なりません。
企業も株価も同様なのでしょう。
やはり「山より大きなイノシシ」はいないのです。