詩と真実・・・

マーケット三国志

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2006年04月24日

「仕手」(いちば)

マーケットはなぜか「仕手」という言葉が大好きです。
仕手筋、仕手戦など胡散臭さもつきまといますが、どことなくカネの匂いがするからでしょうか。
この「仕手」。
実は、能や狂言の「主役」という意味が転じたもの。
殺伐としがちなマーケットの用語としては、趣のあるものです。
で・・・。
その仕手。
以前は、吉野ダラーなど旦那衆などが仕手となりました。
そのうち投資顧問などの投資グループも仕手となりました。
投資ジャーナルや誠備グループなどが有名でした。
最近では・・・。
金融機関などの機関投資家がいわゆる「仕手」なのでしょうか。
どろどろとした世界とは無縁に見える機関投資家ですが、先週末のソニーやホンダなどの動きからは、どうも主役であるように思えます。
以前は「機関化現象」と評されたこともあります
あるいは「財テク」といわれたこともあります
最近は、債券ダラーとでも呼ぶのでしょうか。
この主役の動向には注目するべきと思います。

千葉の衆院補選では小沢民主党の勝利。
小泉劇場にはそろそろ厭きたというところ。
負けた齋藤健氏は旧知であり、政策立案力や国家観など実力はありました。
一方の買った太田和美氏は未知数。
しかし、民意は太田氏。
加えて、首長選も与党系の負け。
「潮目」の訪れなのでしょうか。

起きていることは、主客の逆転とも思えます。
劇場型は野党の特許でしたが、今は自民党のもの。
企業回り型選挙は自民党の特許でしたが、小沢氏が採用。
政界がたすきがけになった感があります

原油高、円高、自民党負けなどなど材料は重なりネガ展開。
もっとも114円台の円高傾向では、一端利食いという意識も当然となる。
問題は新興市場。
流れに棹差してみても、売り圧力は下がらない。
むしろ、新興からブルーチップへのマネーの移行も指摘され始めました。

東京証券会館での株式セミナー。
参加者の1人に質問してみました。
「ど真ん中が続いていますが、そいいう銘柄に付いていますか」。
その答えは・・・。
「松下、トヨタ、ソニーでは買えない。新興市場でのやられは大きい」。
これが現実でしょう。
それにしても、どうして狭いところや際どいところを狙いに行くのでしょうか。
「私だけが知っている」のは「私しか知らない」と同義であると思えるのですが・・・。

ここにきての問題は投資ファンドの動向。
アメリカの投資法事業内容の50%を超えて投資活動を行っている企業は上場廃止になると聞きます。
すると・・・。
投資が主体の企業については法制が変わる可能性も否定は出来ません。
加えてヘッジファンド。
春先から新興市場買いスタンスで来て、直近も買いスタンスを続けていたところは散見されました。
レバレッジを効かせているだけに、損害も大きくなります。
その意味では撤退するファンドも少なくないという指摘も見られます。
もっとも玉石混交の自然淘汰という声も聞こえてきますが・・・。

基本は「いいものはいい」。
これだと考えます。

2006年04月17日

「人間」(いちば)

ある企業トップA社長のところでの話。
受付で待っていたら、リクルートスーツの女子大生が二人。
同行者はは思わず「まだ、就職決まらないの?」の質問。
卒業式が終わっても就職が決まっていないとの思い込みでした。
答えは「いえ、4年になったばかりです」。
確かに街中リクルートスーツで溢れています。
もっとも・・・。
A社長いわく「今年の就職戦線は、売り手が圧倒的に強い」。
不採用にした人材でも2~3社の内定を貰っているといいます。
人材採用面から見ると、それこそ日本経済復活に他なりません。

週末、ある企業トップB社長の話。
印象に残ったのは、「商売をするとは・・・」の言葉。
「700円の価値のモノを400円で仕入れ、500円で売る」。
あるいは「120円の価値のモノを100円で売って、80円で仕入れる」。
これは皆が喜ぶこと。
そしてそのためにこそ「創意工夫」と「努力」が必要と・・・。
確かに原点です。
加えて・・・・。
こういう企業が少しづつ日本を変えていくとの半紙。
どうも、この国は、政治ではなく、企業から変化をし始めたように思えてなりません。

日経のアンケートでは「投資家は銘柄選別の尺度として、値動きよりも経営者の資質を重視」との結果。
ライブドアショックの影響とはいうものの、企業の判断基準がまともになってきたようです。
この流れは継続して欲しいところ。

マーケットの先達の話。
「考える投資家が増えなければならない」
「無機質な兜町の将来は期待できない。人の匂いが必要」
確かに・・・。
そして、報道からシナリオを考えることを広めたいと。
例えば、在日米軍のグアムへの移転費用を日本が持つ話。
良く考えれば、グアムに道を作る会社に発注が来ると読めます。
その先回りではNIPPO(1881)が思い浮かぶといいます。
面白い見方。

マーケットは復活祭。
出来高、売買代金ともに低調。
個別材料系が元気な展開。
機関投資家筋は、買わない理由探し。
やはり「稟議書投資家は弱いようです。

中国は対外証券投資解禁の報。
機関投資家対象に外貨の流出制限を転換するとのこと。
世界一の外貨保有国家としてそのマネーはどこへ行くのでしょう。
米中首脳会談前だけに、米国債が脳裏に浮かびます。
だが、これも自暴自縛のように思えてなりません。
モノつくり→カネつくり→罪つくりの道は、いつか来た道です。

2006年04月10日

「キモン」

先週はJR東が新値。
それも上場来高値更新でした。
エキナカ、Suicaなど収益源は豊富。
確かに食指は動きます。
昨秋、50万円台で注目した際には、「面白くない」との叱責も受けました。
・・・結果的には半年で2倍に近いパフォーマンスとなりましたが。

今月の「私の履歴書」は宮沢元総理。
敗戦後まもなく蔵相秘書官であった元総理大平正芳氏の言葉が紹介されています。
「これから日本をどうするかな。
日本の鉄道は戦争の時も最後まで動いたから、米国に鉄道を貸してお金を借りたらどうかな」。
宮沢氏にとって鮮明な印象だったといいます。
確かに・・・。
日本の鉄道は世界に誇れる存在。
そのDNAがJRには残っているからこその上場来高値なのでしょう。

ところで・・・。
大和総研は「鬼門の4~6月期到来。GW明けがポイント」のレポート。
2008年に24000円、2013年に5万円の指数を見込んでいるものの、足元は4~6月高値警戒感が台頭しています。
先週来日した奇問遁甲の師も東証を巡りながら7~8月には相当な損害が出るとの見方。
どちらも「キモン」であるところが不思議でした。

業界紙では「高級車(国際優良株)ばかりでは、ちょっと面白くない」の声が聞かれ始めた、との囲み記事。
二極化相場元年の96年を振り返ると、売買代金ではトヨタ、ソニー、ホンダがトップ3。
でも・・・。
年間上昇率では日貿信の230%を筆頭に宮越商事、日本レースと続きます。
コメントは「惑溺するような個別材料株の沸騰人気」。
相場は懐疑の中で生まれ、楽観の中で育っているようです。

週末は小沢氏色。
強面のニコニコ顔は気味のよいものではありませんが、論理に筋は通っていました。
一番感心したのは「社会保障は、高齢者の雇用確保で減少する」との発言。
高齢者の医療費高騰、介護保険増加だから増税、という路線に一石を投じた格好となりました。
高齢者の仕事がないから、余暇を過ごすのが大変。
時間があるから、病院へ行く。
病院へ行くから医療費が増える。
当たり前といえば当たり前。
しかし・・・。
説得力があります。

アジア市場の株式が元気です。
韓国は3ヶ月ぶりの高値。
台湾は2年ぶり。
香港は5年7ヶ月ぶり。
シンガポールは6年3ヶ月ぶり。
タイは2年3ヶ月ぶり。
インドネシアは過去最高値。
背景は人民元の先高感。
マネーはアジアへ流れ込んでいる。
もっとも・・・。
一番期待感の高いのは、東京市場となっている。
以前「懐疑」であるだけに「そこのけそこのけ」となるのでしょうか。

2006年04月03日

「サライ」

住友化学の米倉社長が勇ましいコメント。
3月31日日経朝刊での「2006年度業績を聞く」での登場でした。
「経常利益は軽く見積もっても今期の予想から2割程度は増えるだろう。
年金運用の成果に当たる運用超過額が100億円近くあり、これが利益に上乗せされることもある」。
背景は、値上げの浸透と中国効果。
そして、サウジアラビアの石化・石油精製の合弁事業「ラービグ計画」についても命運をかけた事業と位置付けています。
明解。
実は住友化学はサウジアラビアに対する最大の出資企業でもあります。

ある専門家は指摘します。
「アメリカは中間選挙。
どうしてもドル安円高傾向は避けたい年。
今までは、金利差だけで操縦してきたがそれも限界。
となると・・・。
円高傾向を読むと、原油関連は再び脚光。
時あたかもサウジアラビアの皇太子が4月5日(水)来日予定。
サウジと親しい住化や三菱ガス化学にも食指が湧く」と。

世銀は06年の日本の成長率を2.8%と予測。
コメントは「長期停滞局面から抜け出した」。
そして「景気回復のすそ野は広い」。
これも強い数字です。
2月の有効求人倍率、CPIは上昇。
失業率は低下。
ますます元気な指標が出てきました。

証券会館の株式セミナー。
500人余りの来場者の「顔つきは一様に明るくなっていました」とは参加者のコメント。
機関投資家主導型とはいえ、個人投資家も復活の兆し。

市場関係者からは「大きな流れは初夏に向けて上昇。175~178と意識すれば、目先のブレは無関係」のコメント。
CSFBはTOPIXの目標値を1800ポイントから2000ポイントへ引き上げました。
サクラ満開の季節の株爛漫。
思い浮かぶのは「サライ」の曲。
こんなフレーズで歌われていました。

「まぶた閉じれば 浮かぶバブルが
迷いながら いつか帰る 株の故郷
サクラ吹雪の サライの空へ
いつか帰る その時まで 夢は捨てない
まぶた閉じれば 浮かぶ景色が
迷いながら いつか帰る 株の故郷
サクラ吹雪の サライの空へ
いつか帰る いつか帰る きっと帰るから」

ややネガティブな日銀短観も先行き改善感からブル展開。
TOPIXも92年水準。
1989年はもうすぐそこに来ているような気がしてきます。