「祇園精舎」(いちば)(2006年05月22日)
日経「私の履歴書」では信越化学の金川社長が「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」という平家物語の一節を引用しています。
本来の意味での引用でした。
平家物語の書き出しは「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」。
この祇園精舎は京都祇園の歓楽街かと筆者は長らく思っていました。
実はインドの庭園(祇樹園)のことだそうです。
そして「精舎」は仏教の修行をする「道場」とのこと。
巷の紅灯とはまったく違うものでした。
結構誤解されている向きはありそうです。
マーケットでもこういう誤解や錯覚は多いに違いありません。
最近の書店を覘いてみると、結構面白い本が出ています。
たとえば・・・。
「えんぴつで奥の細道」。
芭蕉の有名な旅行記を題材にしたペン習字の本。
奥の細道を読みたいのならば、廉価な文庫もありますが、立派な装丁の1400円の本が売れています。
同様なもので「書き込み式『般若心経』」というのもあります。
もう一つ。
「大人のためのぬり絵」。
京都やパリ風景や名画などのいわば「ぬり絵」。
バンドーム広場などは、旅行したことのある向きには懐かしい風景。
ホテル・リッツの微妙な色合いが結構難しいもの。
これも売れています。
このところ続いた「脳力」ブームや「数独」「ナンクロ」などもこの類。
忙しいそうに見えますが、人は結構ヒマなのかと思わざるを得ません。
意外なブーム。
そういえば、化学や物理の教科書も結構売れているようです。
「文化と教養」志向なのでしょうか。
確かに、試験さえなければ、古文も理科も面白い筈です。
週末に東証ホール。
評論家氏のトーンは「歴史を勉強しなければ・・・」。
個人投資家は「今が買い時」「もう底」と元気な姿。
追証の対極でした。
明けて月曜日。
彗星の衝突説やらイランがらみでの取引停止などベア観測は数知れず。
底打ち感で買った向きの投げが加わり大幅安の展開。
それこそ「祇園精舎」での修行はまだまだ必要なようです。