詩と真実・・・

マーケット三国志

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2006年08月28日

「健康」

私募投信の残高がほぼ30兆円に及ぶとの報。
公募投信の46兆円を抜く勢いで伸びているそうです
背景は地銀など機関投資家の運用拡大と個人富裕層の変額年金など。
コメントはされていませんが、特に225連動型の運用が多いと思われます。
数年前は仕組み債、今は私募投信。
昔のように投信は再び「池の中の鯨」となってくるような予感がしてきます。

因みに、国の債務超過は265兆円との報告。
まだまだ対策は必要ということです。
これだけを見ると道のりは遠いもの。
でも・・・。
トレンドが右肩上がりである限りは、ある程度、時間が解決してくれる部分もありそうに思えます。
昨日のTVでの麻生氏。
「日本には実力がある。公共投資もするべきところはする」。
いずれにしても・・・。
政治が高邁でなくなった変わりに、わかりやすくなってきました。

ところで・・・。
マーケットでは「健康」が話題になりそうな気配。
背景は、国民医療費が32兆円にもなったこと。
高齢化と高度化が影響しているとのコメントでした。
JTBとNTTデータは、企業向けの健康管理支援事業で提携。
キャノンや石川島などは高度医療機器に進出。
「医療と健康」は、M&Aやキャッシュリッチ企業を含め目を離せなくなってきました。
確かに、国策はバイオとITであることに変わりはありません。
目先の一喜一憂からもっと大きな視点を持ちたいところです。

2006年08月21日

「兜町」(いちば)

証券取引のメッカは兜町。
今は、機械的な雰囲気に支配された取引所。
閑散とした人の流れ。
場の活況など感じられることもなく、ただ普通の東京の街となってしまっています。
大手証券の株式取引の6割がネット取引となってしまったというのも現実。
しかし…。
株の町であることに変わりはありません。
半世紀前の兜町の繁栄の姿を描いた逸品に清水一行氏の「小説兜町」があります。
証券史に名高い神武相場と岩戸相場が中心。
神武相場のスタートとなった平和不動産(ボロ)の動きなどは迫真に迫るもの。
そして仕手株であったホンダ、中小型であったリコーが「光と影」の銘柄として登場。
兜町の歴史の一端でもあります。
合間合間に語られる相場の言葉が印象に残ります。
「相場ほど、“同じ過ち”を繰り返させるものはなかった。
下がるだろうとか、上がるだろうという予測は、理論的にはある程度まで分析することが出来る。
その時期についても、先行指標はさまざまな変化を示す始めるもの。
ただ、そういう大局観も、相場の実戦場裡では『もう一文』という、相場が言わせる煩悩によって惑わされる」。
あるいは…。
「相場はナゾナゾです。
提灯の明かり一つをたよりに闇夜を行くようなものだ。
せいぜい自分の足元しか照らせない。
が、冷静な第三者が見ると、提灯の明かりで歩いている人の位置がわかる」。
興味深いのは登場する銘柄。
値嵩品薄株としてのソニー(当時1450円)、ホンダ(同1350円)、資生堂(同1190円)、花王(同700円)、NEC(同700円)など。
国際株としての三井物産(同525円)。
そして水産株としての日水、ホウスイなど。
アツギも登場します。
現在の新日鉄や石川島も主役。
最後は日立で終焉。
「歴史は繰り消す」はけだし名言ですが、株の世界には色濃く現れるような気がしてなりません。

2006年08月14日

「停電」

楽天はヒルズから品川へ移動の報。
ヤフーも六本木の他のビルへ移動するといいます。
ヒルズ効果が喧伝されたのは、2年前。
今では昔日の面影。
先日あった水道橋のIT関連企業の社長の言が甦ってきます。
「うちは所在地が六本木ではありませんし・・・」。
強烈なアンチテーゼでした。

ある会計の専門家の指摘。
「不動産が値上がり傾向にある現在、日本企業の収益は特別利益によって急拡大するのではなかろうか」。
厳密な確認はしていないが、確かに、減損会計は簿価を低くしており、含み益拡大しているに違いありません。
ある不動産コンサルティングの宗匠からのレター。
「『可愛い』という情愛の源は日々育児につぎ込む『手間』の量に比例する。
・・・惜しげもなくかける『手間』。
そこにふつふつと愛情の泉が湧き出てくる」。
これは、子供だけではなく、不動産にも、そして株式にも言えるようです。

先週末の罫線コメント。
「チャートは『不発花火(迷い星)タスキ線」」。
「戻りの高値圏にさしかかり、強弱感が対立。
下値には執拗な押し目買いが入るものの、上値にも強力な抵抗帯があり、膠着感を示す。
前日は短小陽線、当日は短小陰線がタスキとなって連なる高値揉みの形。
上でも、下でも市場人気の反対に急激に移行する、『陰陽逆向かいの変化線』。
予断は禁物ながら、切り返せば大きい」。
この「切り返せば大きい」が現実化してきたようです。

それにしても停電騒動。
東証は電気もつかず、エレベーターは動かず、日経平均は13時25分から算出できず。
それでも9時から商いが始まり3時に終了。
ここに東京市場のたくましさを感じた投資家は多いのではないでしょうか。

2006年08月07日

「元気」(いちば)

あまり評価されていませんが「厚生年金2年ぶりに黒字」の見出し。
サブタイトルは「株高で8兆9500億円。国民年金も赤字抜け出す」。
「今後も好調な資産運用が続けば、保険料引き上げ幅の圧縮など制度改革に影響を与える可能性」とのコメントでした。
この「運用」の部分が年金論議に欠落しているということが意外と議論されません。
少子化や高齢化ばかりがクローズアップされますが。年金の資金運用は軽視され過ぎの感。
受託者責任が問われなければ、それこそ埼玉・ふじみ野市の市民プールのように「無責任」となってしまいます。

非鉄の専門家の指摘。
「生産者のヘッジ売りが劇的に減っていること。
逆にヘッジ売りポジションの買い戻しが増加していること。
これがブルマーケットつの要因の一つと見られる」。
株式市場に生産者はいませんが、「先高心理は売りを消す」というのは古今東西の歴史的事実。
エクイティに欲しいのはこの心理。
そして、こう付け加えられています。
「相場が上がるうちは生産者も売らない。安くなると売る。奇妙な行動である」と。

日本がまだバブルの余韻に浸っていた頃のNY。
ソーホーのアパートでボンドディーラーとエンパイアステートビルを眺めながら飲んだことが甦ります。
頃は秋口。
ボントレ氏は「年末にはレイオフだ」と真剣に悩んでいました。
そして・・・。
年末に確かに彼は職を失いました。
でも・・・。
その後まもなくのクリントン政権誕生以来、NY市場は殆ど明るい展開。
そして、へこみ続けた東京市場。
シニカルに考えれば、米国経済の繁栄が日本経済の疲弊の延長線上にあるともいえます。
ならば・・・。
米経済の適度な失速は逆に東京にプラスであるとも言えます。

週末からの日経1面の見出し。
土曜「上場企業15%経常増益」。
日曜「日経国際版バンコクで印刷」。
今朝「景気拡大1年以上続く」
そして社長100人アンケートの結果は「人出不足4割」。
企業は儲かっている。
アジアへの日本企業進出効果は顕著。
国内景気も良い。
ならば・・・。
見えない影には覚える必要はないとも言えます。