株式ドラマの裏舞台

最近になって…ようやく「名目経済」の話が増えてきました。基本的な概念を上手く捉えてないから、間違った認識の中で政策が実行され、誰もその事を批判しないのです。その真実を分かっている人間が居ないのか? それとも故意に言わないのか? 

世界の賃金推移の動向

アベノミクス政策の本質は、基本的に「名目成長時代」への回帰なのです。それを拒んできたのが…頭が良い官僚です。大蔵省のノンキャリアに友人が居たので、新橋の彼の行きつけの「焼き鳥屋」に行って…一杯やりました。最後は課長かな? 関東財務局の課長までは覚えているのですが、本省の課長に成れたのかどうか…。通常のノンキャリアの最高地位は、此処までです。兎に角、本省の課長と言うのは、凄い権力です。

この話は、話したことがあったかどうか…。会員レポートでは書いた記憶があるのですが…上京した当初、カタルが勤めていた前の会社の…前社長から可愛がってもらっていたので、よく飲みに連れて行ってもらったのです。その時に…「長岡 實」の行きつけの銀座のバーに連れていかれました。彼は大蔵事務次官から「渡り鳥」で…JTや東証の理事長職をやっていた超エリートです。その彼が、よく飲みに行く小さなバーは、マダムとバーテンダーが一人いる小さなスナックのようなところでした。

この二つの真実、カタルの友達は新橋の焼き鳥や、長岡實は小さなバー、そんなときに証券マンは銀座の一流クラブで…飲み歩いています。

カタルが通っていた時分は、バブル期ではなく2005年前後ですが、クラブで座るだけで一人4万円が最低料金でした。大概は二人で行くので10万円程度です。なにも…他に取らずに、その頃は尿酸値が高かったので、焼酎のロックでしょう。そんな高級クラブでお金をばら撒き、バカ騒ぎをする連中を観て…大蔵のキャリア組は、何を考えるでしょうね。新橋と銀座は…隣り街です。

基本的に実質経済は、職業が安定している公務員が優位です。逆に名目経済は、資産価格が上昇しますから…その泡で、生きる人間の世界です。この「さじ加減」が経済政策です。あまりにバブル、資産価格に頼ると行き過ぎます。コントロールが効かなくなります。このさじ加減を決めるのが、最近、よく語っている「M2」などの貨幣供給量です。

M2/平残前年比/マネーストック の推移

本来は、黒田さんの政策で正しいのです。それを審議委員の野村の木内さんが批判したマネタリーベースを2倍にする狙いは、マネーストック(M2)の供給を狙った訳です。でも既に日本国民は、完全にあきらめムードですから…誰も「政策変更」を信じていません。

失われた時代、34年間の悲哀とは…人為的に発生させた政策のミスリードが原因なのです。ここまで…「動かないお金」にしてしまったのです。アップルのPERは30倍ですよ。これが「正常な概念」です。でもアップルが日本に上場されていたなら…PERは10倍程度でしょう。この3倍の差が、「国力の違い」になります。

最近になって日経新聞の滝田さんが、「名目経済」の話をし始めました。ようやく…ですね。彼はWBSのキャスターも務めていますが、税収が伸び続けているのは消費税の存在です。そうして…名目経済の話です。明確な目標を掲げ…それに邁進するのです。基本スタンスが間違っていれば、こんな世界になります。このグラフは全てを物語っています。失われた時代です。

日本の賃金動向の推移

この長期のグラフを探すのが大変でした。厚生労働省のサイトに行ったり…どこにデータがあるのか、なかなか…分かりません。東証もそうですね。何故、あんなにデータが使い辛いのでしょう。尻切れトンボのデータばかりで、短期の近視眼的な分かりにくさです。

これが、東大法科卒が創るデータですか? 誰もこのデータに疑問を挟まないのでしょうか? これが日本の実態です。これじゃ…世界競争に負けます。当たり前です。誰もが考える…「本当の仕事」をしたことがないのです。自分で末端の仕事をしてみれば…問題点が多く浮上します。

カタルが何故、パイオニアの指名解雇1992年ですが、その事件を問題にしているか? このデータを観ると分かります。硬直化した労働政策の失敗です。終身雇用や年功序列を重視する…行政の「縦割り」、「既得権益」、「前例踏襲主義」です。アベノミクスを、今でも批判する馬鹿学者が多くいます。

 安倍首相の素晴らしいのは「GPIF改革」です。この年金の運用を変えたのは2014年でした。それまで年金の運用ポートフォリオは、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%だった。これを、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%と大きく変更しました。 今(2020年4月1日からの5年間)では、さらに国内債券の比率を下げて、国内債券25%、国内株式25%、外国債券25%、外国株式25%というポートフォリオになっています。

このような積み重ねが「名目時代」への進化に繋がっています。話は逸れましたが…その為に、日本は生産基地の移転を加速させます。鄧小平の「富める者から先に豊かになれ」…と言う南巡講話が、(=鄧小平が1992年1月から2月にかけて武漢、深圳、珠海、上海などを視察し、重要な声明を発表した一連の行動の事を言います。)その時代と重なったのです。共産国家、中国の市場経済化です。

日本企業の海外生産比率の推移

少し古い資料ですが…このグラフは「パイオニアの指名解雇」から「 南巡 講話」への時代の流れを示しているのです。

データと言うのは、必ず、その背景に流れる事象が存在します。株価の推移も同じです。その背景に「流れるドラマ」を知れば…株価の本当の意味が理解できます。皆さんは、株価の推移だけしか…関心がありませんが、その背景に流れている世界的な事象が、「大切」なのです。

東芝が何故、凋落の道を歩んだか? 名門企業なのです。歴代の経団連会長を多く輩出しています。しかし最近は「格落ち」企業の住友化学も経団連の会長職に就いていますが、自社の業績の転落は「悲しい顛末」です。経団連と言う組織も、「形骸化」している現象の一つです。「村社会」の崩壊です。もういい加減に「奉加帳」などに頼らない本物が活躍できる社会にすべきです。

BASE(4477)の日足推移

カタルは時間軸を外していますが、昨年の年初からBASEの株価価値は500円程度…と述べています。そうして株価が下げ続けるなら…辛抱強く、「薄利多売買」を採用しています。でも、なかなか…カタルとBASEとの相性は、良いようなのです。

「Roku, Inc.」(ROKU) の日足推移

この話と重なりますが、最近、米国企業の「Roku, Inc.」(ROKU)の話をし始めています。この会社の株価を、何故、追ってみていたかと言うと、そもそも…日経新聞にARKと言うファンドを率いる「キッシー・ウッド」の記事が日経新聞に載ったのは、彼女がピークを打つ…時分です。彼女に興味をもって、彼女が狙った株の背景を探る為なのです。

「Roku, Inc.」(ROKU) の業績推移

いつもそうです。日経新聞の報道は…最後の最後に、登場します。そこで…彼女が掲げる銘柄を観ると…彼女の基準が直ぐに分かります。「成長力が全て」なのです。彼女は、時代の狭間に誕生した「申し子」です。時代が「新しい人物」を産むのです。誕生させるのです。

大谷翔平君の活躍は、意味がある現象の一つです。韓国のBTSの躍進も、時代が生んだ現象の一つなのです。その背景を観察するのです。

「時代を考える」とは…様々な事象から株式市場の未来図を、自分の頭の中に描くのです。そうすると「ある構想」が生まれますから…その裏付けを、株価に求めます。株価は正直です。企業業績の上下は、時代が応援するのです。努力だけでは、なかなか…ものになりません。時代と言う「運」を味方にするかどうか…が問われるのです。

世界の潮流は、決まった流れで、その現象は流れて行くのです。だからアップルが活躍して米国ではPER30倍の評価なのです。しかし日本では10倍程度でしょう。この3倍の格差が実質経済と名目経済の違いです。先ほどの賃金の伸び率のグラフを観てください。

九州地区の設備投資の推移

日本もかつては、「名目時代」を歩んでいたのです。この時代背景は、米ソの冷戦下での現象です。今の習近平政権は米国と対峙して…米中の対立が激化しています。だから米国でインフラ法案から…CHIPS法が制定されます。日本でも、こんな現象になります。これを追ったのが…先ほどの滝田さんの「名目経済の原稿」に繋がるのです。上のグラフは九州地区ですが…首都圏は此方です。

順番が分かるかな? カタルが時代投資を謳っている言葉の背景に流れている相場観の組み立てを解説しています。「ロク」(ROKU)の株価動意を観て…日本市場への連想を働かせます。BASEは、流石に…嘗ての「人気株」だけあります。たった一日で「値上がり率」は19.75%ですよ。カタルが利食いになるわけです。

先日、カタルの後任者と飲む機会があり、昔のカタルの顧客は「相場が面白かった」と語っていたそうです。3億円を40億円にしたのですが、全て「パー」で…失敗なのですが、それでも「面白かったなぁ~」との印象だそうです。

カタルはこの年になって…思うのです。やはり人生は「面白おかしく」生きていることを、楽しむ事だと思うのですよ。

実質経済下では、先着一名様限りなのですが、名目経済では、先着人数はどんどん増えて…100名が1000名に…やがて1億になるなら…国民全員がハッピーです。名目時代は楽しい時代なのです。一つの原稿でも、流れが色々混じっており、交差していますが…毎日、読んでいれば…カタルと共に、株式投資を楽しみながら…そのドラマを堪能してください。

でも大切な事は自分の頭で考えて…無理をしない投資をすることです。己の力量は、自分だけにしか分かりません。まぁノンビリです。また明日。



amazon.co.jp 全品に拡大 無料配送キャンペーン実施中!詳細はこちらをクリック。

IRNET

本サイトは、「今日の市況」(月~金)、「株式教室」(土)、「コラム」(日、祝)をほぼ毎日発信しています。

2024年11月
« 10月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

過去のIRNET

広告

株式投資関連の本



連絡先

kataru at irnet.co.jp
(at をアットマークに変えて送ってください。)