カテゴリー:コラム

金融相場の色彩

カタルが上京して入社したのは、相場巧者と言われた和光証券です。でも最初は丸三証券で内定をもらっていたのですが、それが取り消しになったのです。カタルはこの世界で一流と呼ばれる領域の…有名な歩合外務員のKさんを通じて、東京で働く先を紹介してもらいました。

そのKさんが紹介した前任者が、丸三証券で証券事故を起こしたらしく…その為に内定が取り消しになったようです。当時、専務だった水野さんから「詫び状」をもらいました。その為にKさんは、自分が次は確実に決めるからと言い、何処の証券会社が良いか?と聞くものだから…当時、有名だった三洋証券と和光を挙げました。

でも三洋はカタル自身が東京に地盤がない為に断られたのでしょう。そんなに簡単に顧客開拓は出来ないと思われたようです。でもこれが幸いします。後に三洋証券は倒産しますから、負け組のカタルにもツキがあったのでしょう。

その為に、次に掲げた和光証券になったのです。Kさんは流石、一流の歩合セールスです。興銀の杉下常務を通じて、和光証券を紹介してもらい…和光では当時、既に歩合は取らなかったのですが…無理やり親会社の力で、歩合外務員として入社させてもらいました。

その八重洲支店は、東京駅前の鉄鋼ビル前に支店があり、そこに和光証券の歩合セールスが集められていました。僅か8名ほどしか居なかったのですが、そこに新人として、カタルは席を置くことになります。日興証券から来たOさんもその一人です。そのOさんは以前、丸善支店に勤めており、大卒初ではなく…2番目の女性社員として、日興証券に採用されたのです。そのOさんと仲が良かったのが、浦上さんで…むかし支店長と部下と言う関係だったと言います。

その為に、カタルは初めて浦上さんの名前を聞きました。そうして彼が1990年に書いた「相場サイクルの見分け方」と言う本に出合います。浦上邦雄は小柄な人で…優しそうなおじいちゃんのイメージが残っています。時々、Oさんと映画を見たり、食事をしたりの親交があったのです。職場に良く遊びに来られたので、カタルは何度かお目にかかりました。

ながなが経過を書きましたが、カタルにとって、この「相場サイクルの見分け方」という本は、今でもバイブル的な存在です。

株式相場の景気循環との景色図を、見事に描写しています。カタルが持っている本は3刷りになっていますから、この手の本にしては、結構、売れたのでしょう。通常は7000冊だったかな? このラインが採算ラインと聞きました。つまり初版は、その程度を刷るわけですが…この手の本は売れません。カタルも一度、本を出版しましたが、結構売れ、3刷りか4刷りだったような記憶が残っています。

この本は景気循環と相場の様子を語っています。ただバブルの絶頂期に書かれた本で、当時は東西冷戦の最中です。日本は終身雇用、年功序列の村論理がガチガチに守られていた時代です。兎に角、日本独自の村論理を守るために…色んな仕組みが考案されました。

株式持ち合いの制度も野村証券が考えた村論理の仕組みの話です。当然の浦上さんは「ベルリンの壁崩壊」も知りませんから、景気の在庫循環を元に、この本は作成されています。当然のことですが…今ではベルリンの壁も崩壊し、グリーバル化が進み、そうして一国主義と言うか…トランプの誕生です。世界の経済の枠組みは大きく変わっていますから、この本が、いくら優れていると言っても時代に合いませんが…基本的な概念は変わりません。

株価と金利業績の関係

相場には「強気相場」と「弱気相場」の二種類があり、その中でも強気相場は金融相場→中間反落→業績相場と景色図が変わり、弱気相場は逆金融相場→中半反騰→逆業績相場の色彩で解説されています。今では経済はグローバル化しており、しかも世界の基軸通貨はドルですから、米国経済の金融政策などに、日本株も強い影響を受けます。

経済は金融政策や財政政策に影響を受けます。今回の消費税の引上げは基本的に経済にとって打撃を与えます。何故なら、日本ではGDPの6割ほどを占める消費動向に影響を与えるからです。逆に減税は可処分所得を増やしますから、消費が盛り上がります。失業率と賃上げの話も、消費に影響を与えます。

金利動向は、全ての産業のコストを変化させますから非常に重要です。半導体の工場建設では総額1兆円規模の投資が必要になります。 その金利負担を考えただけで1%の違いは非常に大きなものです。1%で100億円ですからね。

JDIが負け組構造なのも頷ける話です。半導体は先行投資が必要で、多額の投資額になるので、投資機会の失敗は致命傷になります。シャープの亀井工場の成功が、間違った堺工場の建設判断を生みました。その結果、シャープは経営権を奪われました。まぁ、シャープの場合はディスプレイの話ですが、半導体と同じです。

このように金利負担は非常に大きく全産業に影響を与えます。工作機械も2000万から3000万円ほどするものも多いのです。設備投資関連は、この金利動向の影響をうけます。家もそうです。住宅ローンの金利の上下は建設界に、影響が強く反映されます。自動車なども同じですよ。

代表的な金利の話が、どうして株価に影響を与えるか…。財政政策である税金の話がどう相場に影響を及ぼすか…この財政政策の中には、今回の消費税の引上げに伴い、ポイント還元の話も財政政策に含まれます。台風被害が多く発生していますが、これから行われる公共事業投資である治水事業などもそうですし…東京都は盛んに電線の地中化を実施しており、そんな活動も財政政策です。

こんな事は経済のイロハで…常識的な理屈です。何故、こんな話をし始めたかと言えば…今は逆業績相場から金融相場への移行期になりますから、その解説を始めようと思ったからです。

カタルが最も好きな市場の格言に「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えて行く」と言うものがあります。古くからウォール街に伝わる格言だそうです。この格言は浦上さんの基本論理を支えています。強気相場のスタートは、悲観の中で生まれる金融相場なのです。

2017年の暮れから2018年の初頭に相場はピークを打ち、昨年は一貫して弱気相場である逆金融相場の時期でした。だからカタルは警戒しており、年初からディフェンシブ・ストックである医薬品の小野薬品を選択していました。でも昨年の春以降は、何をやっても基本的には駄目でした。米国は9回目の利上げは敢行しました。その為に昨年は完敗でした。

今年は逆業績相場です。好調な筈の中国も自動車販売がマイナスに転じ…ドイツ経済のGDPにも影響を与えています。この金融政策に加え、不安材料は米中貿易協議です。関税の引き上げは、全ての経済コスト高に繋がります。一番大きな問題は、人間心理に与えるマイナス要因です。

過大に評価された「逆イールド」現象など…この春から夏は、この話一色でした。でも考えてみれば…分かりますが、債券のフラット化の話が、景気動向に影響を与えるのではありません。相関関係はありますが、景気動向の読みが、債券のフラット化を促すのです。主客転倒の話です。逆イールドが景気後退、つまりリセッションを生むのではないのです。でもこの夏は、まるで景気後退が決まったような解説でした。

背景に米中貿易協議があったからでしょう。日本人は負け組精神が染み込んでいます。30年にも及ぶ…失われた時代の構造転換の為に、電通の高橋さん事件が起こります。就職最難関の勝ち組企業と思われていた電通ですよ。その電通でさえ、新入社員まで追い込むほど、ギスギスしているのです。最上位の企業までユトリが消えている現象です。つまり清貧思想である「失われたた時代」はピークを打ったのでしょう。これは2015年12月ですが…実際に大きく動き出すのは、彼女の一周忌の時です。カタルは報道でその事実を知ります。

そうしてこの報道が、社会現象になり…ヤマト運輸の労働改革に繋がります。このウェーブが日本の新しい時代の扉を開けることになりました。実質時代から名目時代への転換です。そうして…付き合い残業と言うか…サービス残業が、どの世界にもあることが表面化し、働き方改革に繋がっています。

一つの社会現象が、時代を変えるのです。金融相場の話から、話が転換していますが…今の相場の景色図を理解してもらうために、書き始めたのですが…序盤のサワリでお時間になりました。

カタルはこれから出かけますから、続きは又の機会になります。景気循環にも在庫循環に設備投資循環、建設循環、そうして最も大きな時代革命のスマートコミュニティーと表現される「時代変化」の波が訪れています。

下剋上の最中です。だから、たった1億円の融資から始まった孫正義のドラマが誕生するのです。まるで秀吉の誕生を、見ているようなものです。あるいは坂本竜馬などが活躍する幕末から明治の転換です。

今の時代は…努力すれば、自分も世に出られるチャンスが溢れています。逆に努力をしない人は、どんどん貧乏して…年収が200万、300万円になります。200万と20億円の違いは大きな違いはないのでしょう。所詮、人間一人が出来ることは限られています。ですが…希望を胸に頑張るか、どうか。自分がどんな世界を望むか?

いつの時代も、この自分自身の「心持ち」が最も大切なのでしょう。相場で賢く儲けられるかどうかは…自分自身なのです。同じ社会現象を見ても、世の中の変化に気付かない人は大勢います。常に社会を考えて未来を見ていれば…些細な463兆円の内部留保、コーポレートガバナンス、そうして2兆円を超える裁定売り残高など…事前に感じることが出来ます。

何故、野村証券株が、こんなに強い動きなのでしょう。様々な疑問が、未来を暗示しているのでしょう。それでは本日は中途半端ですが…金融相場の解説のサワリだけを伝えただけですが…カタルは出かけるので、此処までです。あとは自分自身の努力で補って下さい。

また明日。



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