カテゴリー:コラム

逆イールド=株安は、本当か?

市場の焦点になっている債券のフラット化、つまりイールドカーブの平坦化の話ですが…通常は長期金利、この場合は10年物と2年物の国債の利回りを比べますが…、通常は残存期間の長い方が金利は高く、期間の短いものは金利が低いのが通常です。

何故なら、残存期間が長いほど、現金として返ってくるのに時間が掛かるというプレミアムがついたり、金利変動リスクが高まることなどから、利回りは残存期間が長くなるほど高くなり、イールドカーブは右上がりの曲線となります。イールドカーブは期間を横軸に、金利を縦軸に取ります。インターネットで「イールドカーブ」(利回り曲線)と検索すれば、たくさんの解説が出てきます。

今、市場で話題にされているのが、このイールドカーブの平坦化で…順イールドの状態から、逆イールドに、なるんじゃないか…と言う懸念です。故に10年物と2年もの利回り差(スプレッド)が話題になっている訳です。

何故なら、過去の歴史の中では、逆イールドの状態になると…株価が下がるケースが多かったから…だと解説されています。

何故、逆イールドになると企業業績が悪化して株安になるか?…と言えば、調達金利と物価の関係でしょう。物価のピークが、何処にあるかにより…短期金利が上がったり下がったりします。基本的に2年ものの国債金利が上昇すると言う事は、物価が上がりその動向に反応していると考えればいいのです。でもこの時期の株安は…やはり、明らかにおかしいですね。経済活動が活発になり、業績が向上しているから、物価が上がるので、金利が上昇するのです。

金利も物価も上がると…企業のコスト負担が増えます。その経費を価格に転嫁できて…尚且つ競争に勝てるか、どうか…が問題なのです。多くの場合、金利が上がり物価が上がると、経済活動が鈍っていきます。だから浦上さんは、金利高の逆金融相場(秋)から、業績が悪化する逆業績相場(冬)へのパターンを描いていました。今の株式相場は、夏から秋に移行している訳です。今の業績推移は絶好調ですが、やがて業績も悪化して行きます。

この落ち込みを少なくして、次の成長に繋げることができるかどうか…。政策手段が問われます。持続可能な経済成長です。カタルはスマートコミュニティーへの移行がスムーズに進むなら、成長は落ち込まないと思っているのです。だから、次のステップに上手く移行出来るかどうか…を考えるのが、次の株式相場の焦点になっています。

そのアイテムがAIの発達や5G投資などの進化のスピードです。落ち込みを防いでスムーズに社会の構造転換が、出来るかどうか…です。この背景には教育も必要になります。プログラミングは、一つの事例でしょう。

でもカタルは、市場が述べている逆イールドが…(つまり10年債の利回りと2年債の利回りの逆転現象で、金利差がマイナスになる事ですね。)株安になるのかどうか…非常に微妙だと思っております。その様子を1985年から調べましたから、ご覧ください。

10年物金利と2年物金利とスプレッドとNY株価の推移

自分で調べると分かりますが…確かにITバブルやリーマンショック時など、逆転現象からしばらくすると…大幅な株安に見舞われましたが、現状の0.5%前後からは、むしろ株価の上昇が加速しているのが過去の実績です。そうして2年物金利が下がってから、暫くすると、株安に見舞われる可能性は高いようですが…今、敢えて考える事ではないように感じます。

 

如何に…市場の一般論が、「間違った解釈」に基づいて、組み立てられているか…。この事例からも、自分で調べると分かります。モルガンの「景気後退レポート」は、おそらく外れるんじゃないかな?

むしろカタルは、これから始まるスマートコミュニティーへの投資が成功して、株高が続く可能性の方が高いように感じています。だから「ファナック」の落ち込み場面は…絶好の買い場の筈でしょう。注目されます。もう一段安したら…買ってみようと思っています。でもカタルは、機関投資家ではありませんからね。東邦チタンの方が魅力的です。

この事例からも分かるように…市場で溢れる様々なレポートを、独自に分析するのが正しいのでしょう。何故、カタルが新聞や雑誌のデータを鵜呑みにしないで、自分で独自に調べるか? 自分で調べる過程で…人間である以上、いろいろ考えます。だから考える「賢い投資家」を目指そうと…ネットを通じて、啓蒙活動をしています。

当たり前の事ですが、ネットの情報など、あてになりません。カタルのこのサイトもそうです。カタルは、なるべく正確を期して原稿を書いていますが、カタルの解釈が間違っているかもしれません。多くの読者が居ますから、皆さんが、カタルの原稿を添削してくれます。間違っていれば…教えて下さい。意見メールも同時に歓迎します。共に…賢い投資家を目指しましょうね。それでは…また明日。



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