逆イールドは解消に向かうか?

昨年の失敗を経て…カタルは「米国経済の観察時間」を増やしました。その結果、かなり良く相場が、理解できるようになってきました。経済政策は、様々な形のものがありますが、基本的なものは世界共通です。そうして、やはり基軸通貨であるドルを持っている「米国経済の方向性」が、世界経済に与える影響は思った以上に、大きい…と思われる事例がいくつも出てきます。

よって本年の目玉の一つは、多くの人が語っているように…基本政策を決める「選挙」ですが…同時に、今年はコロナ禍で溢れた「マネーのコントロールの話」が、相場を考える上で重要ですから、その行方を考えてみたいと思っています。

米国ではコロナ禍で「量的緩和」に乗り出した金融政策と、同時に2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)と言う「財政政策」が効いて…混乱を沈めてきました。カンフル剤ですが…その「量」と「効果」の検証をして、常に「正常化へのコントロール」が欠かせません。

基本的に、この経済政策が間違っていると、トルコやアルゼンチンのように経済が混乱を来します。嘗てドイツも「猛烈なインフレ」で大混乱した時期もあります。逆に、近年ではインフレは当たり前ですが…過剰な「デフレ」が問題になっている日本のケースもあります。この研究は、インフレのような検証事例は、あまりされていません。事例が多くないのです。

過去の事例を想い出すのは…1930年代の「世界大恐慌」です。

あの時も、これほど長くデフレに陥っていないと思います。関心のある方は、こちらのサイトが良いのかもしれません。基本的に需要が足りなかったので「ニューデール政策」などの財政政策を用いて…景気を刺激しました。日本の「空洞化」は特殊要因です。

ロシアのウクライナ侵攻からの…「経済制裁」により資源価格の高騰や、コロナにより中国の生産体制に支障を期待した…二つの事例が「同時進行」しました。非常に特殊なケースが重なったわけですね。同時に中国は、習近平政権になり米国に対抗する「覇権大国」への野望が見えます。まぁ世の中は、いつもそうですが…色んなことが起こります。その度に相場は世相に揺れて動いていますが、目指す…目標は「人類の繁栄」です。

「ESG」の意味は、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉ですが…環境問題、人権問題や差別などの社会問題など、人類はさまざまな課題を乗り越えて…更に発展しようとしています。

一方、間違いやすいのは…「SDGs」と言う言葉ですが、2015年9月の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。2030年までに持続可能で「よりよい世界を目指す」国際目標の事です。インターネットは便利です。カタルのような馬鹿でも…「覚える必要」はなく、検索をすれば…いくつかの回答が簡単に得られます。資料もそうです。昔は新聞が頼りでした。自分で調べるのは大変なのです。

浦上さんが、日興証券から興銀に招かれた時に…その条件の一つに、今まで一緒に働いていた秘書も採用するように述べたのです。浦上さんの時代は、自分で調べる手段がなく…官庁が発行する白書などを参考にして、原稿を作っていたのです。だからレポートの作成も、人的な労働力が必要になったのです。

でも今の時代は、自分に「その気」があれば…簡単に記者レベルの情報元に行ってデータを直接、手にできます。ただし…民間のデータなどは有料のケースが多いのです。でも正しいデータを知ることは大切な事です。このデータを探す作業にも、慣れてないと手間取るのです。一つのデータが、何処にあるか? そのデータをどうやって集めるか? 自分で実際に…グラフなどを作ってみないと、その苦労は分かりません。

さて前置きは兎も角…カタルは米国のFRBのサイトに飛んで…実際に米国債の金利推移をダウンロードしてグラフを作成しました。この理由の一つは「イエレン氏の談話」です。昨日紹介したブルームバーグの「インタビュー記事」が、その「切っ掛け」です。この見出しを付けたのは記者ですが…この記者が彼女とインタビューした結果での作文でしょうが、彼女は近い表現を用いていたのでしょう。

本文では「今見られる状況はソフトランディングと表現できると考える。これが続くことを期待している」と述べた。…なっており、記者が付けた見出し「イエレン財務長官、米経済はソフトランディングを達成した」とは、かなり隔たりがあります。

見出しは過去形です。既に…目標を「成し遂げた印象」を、読者に与えます。しかし本文の実際の会話は、まだ分からないが…可能性が高いことを匂わせた…と言う表現です。

確かに今回の雇用統計も強いもので…仮にこのままインフレが、より一層「沈静していく」なら…素晴らしい「金融政策の実行」になります。なんと…副作用は、SVB(シリコンバレー銀行)の破綻程度で終わっています。

今までのところは…です。まだ、始まったばかりの「商業不動産」の処理は、此処から…山場を迎えます。でも「WeWork」の破綻の広がりは、その後も多くは伝わっていません。

しかし日本とは違い、「リモート活動が定着している」欧米では、(故にオフィスの空室率は高いのです。)未だに、多くの問題を抱えているのは事実です。まだ気を抜けないのです。その障害に一つになっていた金利も、今では低下傾向になっており、この問題は、徐々に…「沈静化の道」を歩み始めているのは事実です。幸い、日本の森不動産などは、円安にも拘わらず…積極的に海外投資をし始めています。

さてスペースがなくなってきますから、本題に入ります。

周りの外部環境の理解が進まないと本題の意義が理解できないから、事前に…「布石」を打ったのです。カタルが疑問にしているのは、イエレン氏が「過去形になりつつある印象」を、インタビューを通じて…何故、記者に与えたのでしょう。彼女がそう考えている想定の…実際の相場は「そのような形」(ソフトランディング)を、実際に「先取りして」動いています。

更に一歩発展させて…次に訪れる現象は、本当に…生まれるのでしょうか。故に…この後、起こる筈の現象を事前に読者の皆さんに「告知して」置かないと…カタルの相場観が理解できないのです。その為に、休みを割いて…米国金利の問題を取り上げています。

そもそも…正常な経済なら、何故、「逆イールド」と言う「景気後退」を示す現象が、長く続いているのか? 

この逆イールド現象も、様々な債券の種類が採用の仕方で、若干…ニュアンスが変わりますが、カタルは、最も一般的な米国の2年債と10年債のグラフを作成しました。他には5年と30年や…3か月のものを利用するやり方もありますが…カタルは「既成概念」化している2年と10年債を用いました。先ずは、長い期間のもので…解説した方が分かりやすいのでしょう。先ずは月単位の期間の長いものをお見せします。

米国の2年債と10年債の利回り変化とイールドスプレッドの様子

如何でしょう。

「逆イールド」(イールドスプレッドがマイナス圏)と言う2年もの金利が、10年債より高い…時期は「ITバブル」の時期の一時期と「リーマンショック」の一時期だけで…あとは、みんな正常なプラス圏のイールドスプレッドの形です。

今は1970年代後半のインフレ時代を「彷彿される」時代だと言う「特殊な環境」だと言うのが、このグラフから、お分かりいただけるでしょう。仮に…イエレン女史の認識が正しいなら…まもなく2年物国債の金利は、大きく下がる時期を迎えます。その時に、どんな現象が「市場で観られるか?」 その前提を、今から考えて…未来の相場観を構築している訳です。

そこで長期の経済状態を観て、今度は、短期間の日々の金利状態が、どんな展開になっているか…その現状認識を理解するために、「月単位」ではなく…「日々の金利」とイールドスプレッドのフラフを示します。

米国の2年債と10年債の利回り変化とイールドスプレッドの様子

実際に…既に相場は利下げを前提にした展開を「先走って」…相場は動いてきました。9月の「謎の金利上昇」から…11月に発表された雇用統計を受けて、この2か月間、相場は利下げ見通しを歓迎して…9週間も「S&P500」の指数は「連続陽線」を達成したのです。

株式相場は、過去を解説するものではなく…未来を予測するものです。その為に下準備として…本日は米国経済の金融政策の金利の話しから「イールドスプレッドの謎」に挑んでいます。

イエレン氏が、記者に「過去形の印象」を与えたなら、彼女が考える…「次の現象」が市場で生まれるはずです。

その現象とは、「逆イールド」が解消されて…プラス圏の正常なイールドスプレッドが、まもなく観られる筈です。その時期は、いつ訪れるか? この時間軸の把握が、日々の相場の成果に繋がります。 その日々のスプレッドは「先走る相場」を「けん制」しています。

このグラフでは、「緑のライン」の目盛りは「右軸」ですが…未だにマイナス0.39%なのです。昨年10月末に一時はマイナス0.15%まで回復していましたが、相場が明らかに先走っており、この2か月間は10年債への購入が多かったのでしょう。

債券投資の基本ですが…カタルは、あまり大きな「期待」をしない方が良いのではないかと思っています。この理由は「R*」の話です。米国の「潜在的な成長力」は、多くの人が考えているより…しばらくは「高い状態」を示すと思っているからです。この後の相場戦略にも影響をしますが、徐々に語ります。今は「障り」だけ…触れておきます。

FOMCの市場予測

だからサマーズが、述べた「インフレを馬鹿にするな!」と言う…忠告も、よく理解できるのです。しかし…こちらのサイトを観ると、米国の利下げ予想の確率が載っています。現在の3月の利下げ確率は62.3%だそうです。現状は0.25%ずつ3月から利下げが実施されると市場は認識して動いているのでしょう。

この後…実際のイールドスプレッドはプラス圏に向かうはずです。故に、カタルレポートでは米国の2年債の利回り推移を、事前に、何度も、何度も…しつこいほどに取り上げています。カタルが、何故「ジェイドG」の相場に強気に傾いて…いるか? 

本当に…今年は4180円の新高値を更新する可能性があるのです。あとは田中君の頑張りです。市場の期待に沿うような実績を残せるかどうか…株価は、いつも正直に経営者を採点しています。

こんなところで…本日の米国金利のレポートは良いでしょうかね。それでは、また…明日。

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