今日は何故、「日本製鉄」(5401)の株価が上がり…同時期に「三菱UFJ」(8306)の株価が上がっているか? その理由を論理的に述べます。
先ずは両社の株価の動きを観てください。実は日本製鉄への対応は「早過ぎた」のです。株を買ったのは2020年の10月でした。論理的に正しくても…株を買う時期としては間違っていました。でもそれ以来、ずっとカタルは「金利裁定機能」が働かない市場は、何かが…狂っていると述べてきました。
そうしてカタルは、何かが、おかしい…と想い「過剰流動性相場」の話をして、「みずほHD」(8411)を、連日、一週間続けて…毎日に500株ずつ株を買ったことがあります。それは昨年10月の話です。この行動の理由が…「後になって」分かります。
実際の統計値は、後にならないと分からないからですね。しかし株価はそのラインから動いています。このみずほHDの「買い」は素晴らしいタイミングですよ。カタルレポートとしては褒められる内容です。そうして…昨年の12月に、黒田さんは突然、方針転換をします。
たぶん…彼は後任の植田さんの為に「滑走路」を引いたのです。ロシア侵攻以降…世界は資源価格を中心に物価高が進行しますが、日本の場合は、長い「失われた時代」の為に…企業は常に生産価格の上昇を商品に転嫁してきませんでした。しかし世界的なムードの為に行動が変化しています。
その理由は「日本製鉄」の橋本社長の行動が、大きな「革新」を日本の経営者に広げました。
鉄鉱石や原料炭の値上がり分を取引相手の「トヨタ」(7203)に求めました。丁度、コロナが流行っており…半導体の製品供給が滞る偶然があったのです。まさか汎用品の車の半導体工場が…あれは「旭化成」(3407)の子会社からの出火でしたかね…2020年10月の話です。「旭化成エレクトロニクス株式会社」の話しでした。そうしてその後2021年3月にも今度は「ルネサスエレク」(6723)の那珂工場でも火災が発生します。偶然の産物と言うか…。
このような偶然が重なり…この2021年の下期の鋼材価格交渉において日本製鉄の橋本社長はトヨタに対して強引とも思える値上げ通知をしています。これをトヨタは受け入れました。この年の2021年10月にトヨタを特許侵害で日本製鉄は訴えています。この衝撃はすさまじいものでした。通常、取引相手の会社を訴えません。
この背景には長年、トヨタは「下請けいじめ」を実施している背景があります。毎年、毎年、部品単価の引き下げを求めてきたのです。故に、業界の慣習で…世界一だった「ルネサスエレク」も、適正利益を得られずに…設備投資も「かつかつ」だった…のです。そのような背景があり…「車の半導体」と言うのは、儲からない商売でした。だから火災に遭った旭化成エレクトロニクス株式会社は、工場の再建を諦めました。儲からないから…無理をして設備投資をする必要がありません。
日本の神風は一つの偶然ではなく、一斉に前から溜まっていた不満と言うか鬱憤と言うか…が表面化したのが、日本製鉄の橋本社長の実行力です。村社会論理の転換とも時間推移がマッチしています。
何故、「デンソー」(6902)の改革を、何度も…皆さんに紹介したか?
全ての事象が繋がっています。さて…「謎解き」です。何故、日本製鉄の株価が上がり…三菱UFJの株価も同時期に上がっているか? 基本はコロナからロシアによるウクライナ侵攻からの制裁で、世界の資源価格が上昇している所に、日本の失われた時代からの構造変化は起こっているのです。
カタルは、この度の総務省が発表した名目GDPと実質GDPの話を、何度か…事前にしています。この差が、基本的に20%程度「上昇する世界」が一般的な市場経済の世界です。これを経済学では「GDPデフレーター」と言います。
カタルが野村証券株の上昇が始まったと述べたのは、何も偶然ではなく「資産投資」に目覚め始めた日本人が動き始めました。日銀の黒田さんが退任を控えて…未来の路線を引いたように…これを「切っ掛け」にして、相場がようやく大きく動いてきたのです。その各国のGDPデフレーターの推移を観て、今の「日本株投資」復活の狼煙を感じましょう。
なにも…少子化対策が偶然に起きているのではなく…基本は年金生活者から若者への所得移管であり…物価高からの賃上げが偶然に起きているのではなく、大きな構造変化が始まったのでしょう。
この原稿を記念にして…月曜日に、野村証券株をもう3000株だけ買ってみます。そうして手持ち株を17000株から2万株に引き上げます。ネット社会は便利です。記憶力の乏しいカタルでも、自身の「レポートの精度」を高めることが出来ます。このGDPデフレーターの求め方は、「名目GDP」/「実質GDP」です。
つまりようやく日本も長かった空洞化の時代が終わり、新しい世界に突入します。昔は、日本も、もっと…このデフレーターは高かったのです。日本的な慣習を守るために、今でも…「江戸長崎」で日産自動車の経営権の話しや東芝問題が燻っています。成田闘争のような無駄な事にエネルギーを使わずに…日本の経営者はアジア進出をすれば、良いです。アセアンの成長はタイが低いですが、概ね5%を超えています。
何故、カタルが「ナ・デックス」(7435)の株を売っても…株価は新高値を更新し続けるか? 割安なPBRや配当利回りの為です。大きく株価が上がったのは、何も日本製鉄だけでなく共通する理由があります。その意味は、この「GDPデフレーター」が物価高の影響を受け大きく上昇したのは、この四半期決算の数字から論理的に観ても分かります。
目先、日本製鉄の株価上昇スピードは、「スピード違反」にも見えますが…株価と言うのは分からないものです。論理的には、「お船の相場」は、今ではなく…カタル達が買っていた一昨年が、正しい選択時期でしょう。しかし全体相場の環境がマッチせずに、市場参加者の感度が低いから、こんな形で水準訂正が進行しているのでしょう。面白いものです。
失敗したカタルも反省をしていますが、やはり完璧な株価観測は難しいものです。
偶然に当たるのではなく…ちゃんとした背景を、自分の頭で理解をしてないと大きなお金は動かせないし…勝負も出来ません。1年後、2年後と言う時間は、とっても長いですね。でも1800円の日本製鉄が3000円です。それも…僅か1年半程度の時間です。この1年半を時間軸のズレと言うか…。みずほの選択が正しい時間でしたが、背景をちゃんと理解していませんでした。今回の総務省からの発表を受け、このデータを観て、初めて…全てが繋がりました。
もし…もっと早くに市場に流れている背景を、確り理解できているなら…ナ・デックスのような株も品薄の小型株ですが、毎日、株を買い続ければ良いのです。たった1000株ずつ、毎日買ったら…20万株程度は揃うでしょう。大型株の日本製鉄なら1億株(10.5%)ほどなら…楽に買えます。投資の意味は、両社ともに同じことです。ここから…毎日1000株ずつ、野村証券を買う続けることは出来ませんが、順調なら、順番がようやく…やって来ます。
株価が高い日は買うのを止めて、安い日に…それも2日より3日間、連続安の日に株を買えば良いのでしょう。株式投資は簡単です。論理的な背景を理解して…「資産高」相場の始まりなのでしょう。GDPデフレーターの意味は、そういう事でしょう。また…明日。