相場の流れとジェイドG

昨日の原稿で、今の市場には「二つの流れ」が見えると述べました。

近年は「お金の流れ」がグローバル感覚で投資をする流れになっています。お金は国境を越えて動くのです。国の政策でお金の流れが決まります。ある意味で…その点、岸田さんは今回の訪米を見ても分かりますが、トップセールスをしているとは言えませんが「好意的な行動」を取っているように見えます。日本に米国のトップのCEOなどを招き…積極的に面会をしています。企業家、投資家を招いています。

ようやく…その成果が「表れ始めている」のでしょう。この意味は株高による可処分所得の増加で…消費を押し上げますから「名目GDP」は、どんどん拡大します。物価高も同じことです。基本的に…市場関係者は、僅かなお金で騒ぎ過ぎます。1兆円、2兆円は大きなお金ですが…市場関係者から見れば「ドル」ではなく、あくまでも「円」なのです。ですから…そんなに大騒ぎをすることはありません。

カタルは10兆円単位の「資金流入の時期」が来ていると思っています。

だから…ジェイドGと比較して…トヨタの態度を、批判しています。確かに…これから出遅れたEV市場で残るために「開発費」と「設備投資額」に莫大な金額がかかります。それでも…世界トップ水準のM7などの会社でさえ…株価が安くなれば…自社株買いを効率的に実施します。

本来、ジェイドGの田中君は「自社株買い」のおかわりを、本当はするべきではなく…本業にお金を投じるべきでしょう。

だって…マガシークの買収も借金で補うのでしょう。この金額は32~33億円だったかな? 多くのお金が必要です。さらにマガシークの移転費用も、かなり掛かるでしょう。ゆえに…自社株買いに充てるのは分からないでもありませんが、カタルはこの姿勢いには反対の立場です。

しかし、成長もしないし「業容」が横這いのままで…「要らないお金」を貯め込む企業はたくさんあります。本来は、ジェイドGのような…小さな成長企業は、そのお金を本業に使うべきでしょう。

でも「おかわり」をする男だから…カタルは惚れるのです。話を戻します。なぜ、海外投資家が「本格的な投資」に向うのか?

それは「最近の事例」は、明らかに大きな変化を迎えています。でも今までは…

「ものを言う株主」が、買収を仕掛けても…最高裁がその行動を認めない「判例」を繰り返してきました。だから「ブルドックソース」や「東京機械」で判決を下した最高裁の判事をカタルは批判しています。

東京地検のゴーン逮捕も…確かに、会社のお金の「私的な使い方」かもれませんが…彼は日本のルールに合わせようとして、正当な報酬の代わりに「見返り」を求めたのでしょう。ところが…格下のルノーの傘下に入ることを、嫌った西川は人脈を利用して…たぶんゴーンを陥れたのでしょう。

このような村社会論の中では、誰も日本に投資をしなくなります。

事実、この「失われた時代」の期間は、海外投資家の本格的な買いは見られていません。でも多分…今回の株価波動は本物でしょう。「ものを言う株主」は理路整然と…「経営アドバイス」をしており、その方向性に沿った…相場の流れになってきました。

さすがに不動産の「含み利益」を…時価会計にして、「株主に還元せよ」という論理が通るかどうか分かりませんが、彼らの言い分はある意味では正当な要求です。何度も、取り上げで恐縮ですが、セブン&アイホールディングスの西武百貨店の売却などは、当然の主張で…イトーヨーカドーの売却も、上場など狙わずに…「早くしろ」というのが、グローバルな基準なのでしょう。

日立の週足推移

日立が総資産経営から…ROE経営に傾き、時間を掛けながら「変身」を遂げてきました。この日立の株価が参考になります。このような「ものを言う株主」の意見が経営に活かされ日本企業は、だんだん…改革のスピードを上げてきます。

ここに中国政府の締め付けです。改革開放路線の市場経済論から、今の共産党政権主導による管理運営の経済では、いくら中国株が安くても「贅沢は敵」といわれ…処罰の対象になりますから、資本はどんどん…逃げ出します。

まずはアセアンのベトナムなどへ中国から流れました。でも最近は「キャノン」のように国内回帰を進めています。まぁその象徴的な事例は、台湾積体電路製造(TSMC)の九州進出などが代表事例です。安全保障が絡み…中国と分離する動きです。これなんか見ると分かりますが、米中の「覇権争い」も、日本の再開発に貢献しています。しかも円安です。

おそらく…こんなに「外部環境」の条件が、揃うのは初めてでしょう。

だから…昨年までの部分的な資金流入の段階から、目に見える形で…今年は、日経平均株価が新高値になりました。なかなか…抜けなかった38915円の壁を破って…4万円台の実現です。

4月に入ってから…国内の機関投資家の売りが重なりました。ここに…さらに海外勢も「腰折れ」をするような「難しい場面」です。問題は「米国経済」です。

「アメックス」 の株価推移

昨晩の相場を見ていると…「アメックス」がNYダウを引っ張っていました。「好決算を発表した「アメリカン・エキスプレス」が6%超上昇したことで、ダウ平均は211.02ドル高(+0.56%)と2日続伸した」となっています。

たぶん…個人消費はまだ大丈夫なのでしょう。延滞率も増えていますが…引き当てを多く積むほどのことではないようです。基本的に高い金利なので…どんどん「延滞率」は上がっています。でも株価はそんなことを織り込んでも好業績の方に反応したのです。

だから…昨日、話した「スタグフレーション」懸念は、まだ大丈夫なのでしょう。イスラエルの反撃が市場に響いたようですが、昨日はアジア株中心に下げましたが…欧米は、そんなに下がっていません。原油価格の上昇も83ドル台で…大きく上がった様子もありません。まぁ事前に「イスラエルの反撃」は、想定されていたのでしょう。

「Super Micro Computer, Inc.」 (SMCI) の4時間足

しかしもう一つの米国の潜在成長率が、非常に高いというAI革命の方のシナリオの「Super Micro Computer, Inc.」 (SMCI)は、株高の背景が「貧弱」だったのでしょう。簡単に株価は崩れていました。

「「エヌビディア」(NVDA)の 4時間足

しかし「エヌビディア」(NVDA)は、辛うじて…10%程度の下げで耐えていました。でもチャート論では、既に終わっています。まぁ成長過程に見られる揺り戻しでしょうが、頑張れるかどうか…問われます。

つまり「AI革命」による成長が「米国経済」も支え…大きな時代変革が訪れるという「進化論」は、後退する現象です。だから残された「スタグフレーション」の傾向に、市場は動くのでしょう。事実、この傾向が市場でも見られます。

この解説は本日の「臨時の会員ページ」を優先させます。

まぁ基本的に事前の見通しは決まっており…論理的な解説もできますが、その流れが始まったかどうか…。この時間軸の把握は、実際の市場の動向を観察して…株価の動きを見るしかありません。

「ジェイドG」の相場は、昨日が「天王山」でした。

しかし…残念ながら株価は高くならず…安く引けていますから、たぶん田中君の見方が正しくとも…市場はその時間推移を「疑っている」のでしょう。カタル銘柄の多くの銘柄は、この「時間軸の把握」がうまくありません。

お船のケースが、そうでした。カタルの選択は正しかった。…と今でも思っていますが、実際は相場の時間軸が「ズレた」のです。実は、昨日はある会員の方からメールをいただきました。

「未来かたる様

ご無沙汰いたしております、会員の○○です。今回初めて会員になって、半年の間にいろいろ勉強させていただきありがとうございます。会員継続させていただきますので、引き続き面白いレポート楽しみにしております。僕はかたるさんのサイトをたぶん20世紀から拝見してるただの株好きですので主力の個別銘柄は自分自身で選んで中長期で大化けの狙いの大穴党ですそんなわけでかたるさん銘柄は短めのスイングで現金増やすのに利用させていただいております。

前置きが長くなってすみませんがここからが今回メールした本題です。

ジェイドグループのマガシーク買収に関する僕の個人的見解なんですが、マガシークが上場してた時にいつも業績や株価を気にしてみていたんですが、ぶっちゃけ業績もよくないし株価も冴えないので早く社長変われよっということを思ってました。

ドコモが買収した当時よりも現在の売り上げは下がってますし利益もないのでドコモは上手く売り抜けたなぁーというのが第一印象でした。たしか20数億で買って今回は30数億で売ったのかな。こんな考えの投資家が多くマガシークを再構築するのにけっこう痛みを伴いそうなので今回の株価急落の一因ではないかと弱小個人の僕は思いました。

なぜマガシークが上場していた時に注目していたかというと、知人の娘さんが新卒でマガシークに入社していて知人とよく業績冴えないねって話題にしてました。知人の娘さんが社長はいい人だよって言ってましたがやっぱり社長の器ではないのかなと思います。マガシークの社長も買収したジェイドの田中さんに変わったようなので数年かかるかもしれませんが業績が好転するんじゃないですかね。かたるさんの京都旅行中に長文駄文失礼しました。今後もよろしくお願いいたします。」とのメールです。

そうなのか…と思い、カタルは「マガシーク」を自分なりに、少し見てみようと思いました。ヤフーの掲示板の話題にも、このマガシークの話が多くみられました。しかし…本当に、みなさんは背景を調べたのでしょうか?

簡単ですが…こちらのサイトが参考になります。

マガシークのGMVの推移かな?

そうしてもう一つは、マガシークの概要です。この絵を探すために苦労をしました。今現在のジェイドGの社員数は、四季報によると…昨年の2月段階で155名です。しかしマガシークは206名となっています。多分…この売り上げグラフのようなものは、一般的に用いるジェイドGも用いている「商品取扱高」(相殺前) なのでしょう。一般的にはGMV(Gross Merchandise Volume)で、「流通取引総額」をさすのでしょう。つまりジェイドG のGMVは286 億円 ですが、マガシークはこのグラフからみると…300億円を超えています。

株主への手紙から…

株主への手紙をみると…この部分ですが、別に眉唾とは思えず、この数字を基にして…現実の株価は2828円かな? その高値まで…一度は、市場が評価したのでしょう。

しかし…現状は当初の127円から111円になって、最終的には91円の着地です。

だから株価を維持できなかったのでしょう。カタルは111円を基本としており、2828円の株価水準は、PERが25倍以上ですから…割安感は消えたので「利食いをしても良い」と述べたのです。

しかしカタル自身は、短期運用の他の口座で2000株を保持しているだけで、主力の短期口座は、現物に変えた5000株の他に…信用分は14500株だったのです。だから7000+14500=21500株です。でも4月13日、つまり暴落する前ですが…此の信用分は11000株に減っていました。

そうして株価が下がってから、また買い続けています。今は、かなり持ち株は多く…4万株を超えているのでしょう。まぁカタルの話は、ともかく…元の説明に戻します。

仮に91円でも…年間のこれまでの成長率は27%前後でしょう。今回は高いので30%程度になるのかもしれません。この30%近い数字は「成長株」扱いになります。よって妥当なPER評価を、控えめに…PER40倍としたのです。最高の時代は100倍以上まで、株価を買います。「さくらインターネット」のようなものです。

127円当時は、その40倍で5080円が目標株価になりますが、111円当時は4440円の目標です。だから年内にも4180円を奪回する可能性を指摘しました。

あとは外部環境です。しかし…現実の米国金利は、なかなかインフレ圧力が強く…金利が下がりません。それどころか…年初から基本的に金利は上昇を続けています。

この逆風のなかで…株価を正当に評価する「幅が広がる」相場展開を考えていましたが、この考え方の基本的な条件が変わっています。

だから…「時間軸が遅れる」可能性を指摘していたのです。なかなか…「ジェイドG」から「BASE」への展開も、うまく行きません。

逆に一流株だけの物色が続き、尚「半導体」銘柄中心の市場環境でした。無理な力が半導体株にかかります。だから半導体中心に調整過程に入ったのでしょう。

「レーザーテック」は、やり過ぎです。「大阪チタン」の時に感じた乖離です。おそらく…ここからレーザーテックは、最低でも半年はダメでしょう。

横の幅が広がらないと…全体相場も、尽きるところは調整過程を歩むことになります。丁度、中東情勢が緊迫化しており…調整には「いい時間」でしょう。

ジェイドGは「やり過ぎ」ですが…株を大きく買う前に、株を叩くことがあります。果たして…この後、大口の「新規の介入筋」があるのかどうか…。しかし…現状は、最悪のケースも視野に入れています。

何度も言いますが…まずは株価がいったん高くなって、それから2週間の時間をおいてから、相場に参加するのが妥当な見方でしょう。

田中君は「先走りする」傾向があります。今までの彼の実績、僅かな期間で、期待値以上の成果を達成したので…伊藤忠は田中君を評価したのでしょう。だから低迷している「マガシーク」も、「リーボック」に続き、彼に託すことを決めたのでしょう。

ドコモも、NTTの子会社なので…総資産経営を止めて、本業の開拓に専念するのでしょう。基本的に、伊藤忠は大会社で…良識のある会社です。

伊藤忠の前の経営は「瀬島龍三」さんです。かれはシベリア「抑留生活」を耐えた人物です。だから…社風も優れています。確か…本社は大阪ですが、東京本社は北青山かな? 東京駅から表参道に向うホンダの本社前を通った大きな道路の前です。NHKで見ましたが、社員の「早朝出社」を勧めていた会社です。朝飯も会社で食べます。

リーボックを見ても分かりますが、決して「マガシーク」という「お荷物」企業を押し付けたわけではありません。だって常識で考えなさい…ジェイドGの社員は155名で286億円です。その時価総額は、今の株価が下がった水準でも144億円の評価です。

マガシークは、その上を行くのです。それを33億円程度で手に入れたのです。詳しい数字まで調べていませんが、あのグラフを見れば分かります。300億円をはるかに…超えています。田中君の「言う通り」でしょう。負の「のれん益」が発生する可能性もあります。

ジェイドGと類似企業比較(四季報より)

彼は眉唾の数字を掲げていません。実際に、業界一位のZOZOを見ると分かります。このZOZOのROEは55.7%もあるのです。だから田中君は、ネット販売において規模の拡大と集約化を目指しているのでしょう。

場合によれば…1800円から2000円で田中君自身がMBOを考えても良い株価です。あるいは伊藤忠が資本提携して、伊藤忠に株主になってもらうのです。今の株価なら伊藤忠は100万株でも200万株でもいくらでも引き受けるとでしょう。場合によれば…全ての株を2000円で買い取っても良いのです。伊藤忠にとって、わずかな金額です。

まぁ目先の株価の値動きに「動揺する」気持ちは分かりますが、自分自身が、しっかり…他人に説明を出来ないから、アタフタするのでしょう。

カタルが現役の証券マンなら、間違いなく100万株ほど…株を買うでしょう。しかし…できることなら5%は超えたくないので…やはり50万株程度かな? この金額は僅かな金額です。100万株といっても、たかが…13億円程度です。東京の金持ちが一人で買える金額です。

まぁ動揺をするのは、仕方ないかもしれませんが、「ノンビリ」…彼を見守りましょう。そんなことで…本日はこの辺で…

少し長くなりました。会員の方はこのレポートを捕捉する形で、簡単ですが…「臨時号」を出しますから、明日にでもお読みください。これから東京に帰って…夜に書きます。

今は会員の「更新時期」ですが…バタバタするのは嫌なので、ごめんなさい、新規の募集は来週末ごろ…また告知します。



amazon.co.jp 全品に拡大 無料配送キャンペーン実施中!詳細はこちらをクリック。

関連記事

  1. 2024.06.22

    村上隆の世界
  2. 2019.11.30

    ラッセル
2024年11月
« 10月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
株式投資関連の本