カテゴリー:コラム

時代考察

NY市場の株価は、大幅な戻り相場を達成して正念場のチャートになって来ました。こんな感じです。200日以上平均線の上に顔を出し、25日線が75日線を下から上に破るゴールデンクロスを形成している場面です。通常は此処まで戻らず…その手前で失速するケースが殆どです。高値26951から安値21712の半値水準は24331ドルです。現在の株価は25106ドルでその半値水準を上回っています。昔から「半値戻しは全値戻し」と言われています。

NY株価の推移

今の所、一般的な市場の見方は「ゴールドマンサック」に代表されるように、戻り相場が一杯で…ここから下落すると言うものです。その多くが景気拡大期の期間が長く、そろそろ後退期に移行すると言う一般論が背景にあります。でも…景気後退説の一般的な根拠は景気循環の話です。「好況」の後は「後退」が続き、やがて「不況」になり「回復」すると言う景気の四局面が有名です。

この多くの景気循環はキチンサイクルの話です。これは生産と在庫管理の話です。通常、企業は好調が続くと生産を増やします。そうして在庫投資を積極化させます。製品が売れている内は良いのですが、やがて製品の売れ行きが鈍り、商品在庫が貯まる為に生産調整をして在庫を減らします。この調整過程に生じる景気循環がキチンサイクルと呼ばれる景気循環ですが、近年は、販売動向が寸時に生産側に伝わり余分な在庫を持たなくなっています。その為に…この考え方は過去のものでしょう。

次の景気循環は設備投資のジュグラーサイクルです。安川電機やエレクトロンなどの工作機械や半導体製造装置の会社の動向になります。 此方は「製造2025」の勢いが削がれ…貿易摩擦問題が生じた点で、中国の製造2025の考え方には無理が生じていました。製造2025は世界の供給基地との野望ですから…基本的に先進国の日本化現象が進んだので、貿易摩擦に発展しました。だから中国はこの野望を捨てることになります。だからやはりマイナス面は現時点では仕方ないのでしょう。

この辺りの影響が…実際の消費にどう波及するのかが、世界経済の焦点でしょう。12月の中国の消費は大きく落ち込みました。自動車販売動向を見ると分かります。それでも中国はすごいのです。米国の1700万台を大きく超える2800万台水準です。因みに日本は520万台ほどでしょうか?

国の成り立ちを見ると…道路や鉄道網などの基礎インフラ整備する段階は、高い経済成長率が見込めますが、自動車販売が急速に伸び始めると…停滞が始まります。成長の伸び率が落ち始めます。インフラ投資は波及効果が非常に大きいのです。

故にカタルはアジア回廊の話を、何度かこのレポートにも盛り込みました。そうして…アセアンの成長が日本の市場に影響を与えると述べました。事実、資生堂の株価は上がり、成長は続いており新たに設備投資をするそうです。理屈通りです。

カタルは日本株が大きく上がる理由の一つに、このように…アジア圏の商業圏を取り込める利点を述べています。中国は口を出しますが、日本はあまり干渉をしません。でも中国程タイムリーではなく…遅々として事が進まず投資規模も小さいのが欠点でしょう。このスピード感と大胆さがあれば…成功できるのでしょうが、現状はなかなか難しい。

そうだ…話が逸れました。景気循環の話しでした。この設備投資がジュグラーサイクルと呼ばれる景気循環です。一度、投資をすると…次に需要が増すのは10年程でしょうか? でも半導体などは、もっと早いのでしょう。

次のサイクルはクズネッツサイクルと呼ばれる建設循環です。日本は東京オリンピック需要もあり…鋼材価格が上昇しています。本当はこんな時にマンションを建てるのは得策ではありません。この循環に戦後構築された基礎インフラの老朽化の問題があります。何故、水道法が改正されたのか? カタルは前から「リート」と「コンセッション」の共通項を述べています。故に、ケネディクスに未来性を感じています。でも現状は…経営者が全く興味を示していません。横浜では既に実用化されているとか…。

この景気サイクルは今後も需要が落ちません。横河ブリッヂなどの株価推移を参考にすると良いでしょう。500円台の株価だったのですが今は2000円台かな?…現状は少し割れており1896円ですね。橋は落ちたら事故に繋がり…社会問題化します。だから待ったなしの建て替え需要があるのです。

でも…今、起こっているのは、文化革命とも言えるスマートコミュニティーの流れです。この流れがすごいのです。産業革命に匹敵する、それ以上の景気循環の流れが…一気に押し寄せています。スマートフォンが生まれて10年程で…この変化です。今度はAIスピーカーの進化など…あらゆるものがインターネットに繋がり新たな文化を創設しています。このグループの株価がFAANGとかGAFAとか呼ばれている高成長株です。

時代を創る会社の株価は…成長株なのです。新しい分野を開拓する、未踏峰をラッセルする企業は成長株になるのです。

このような様々な景気循環がある事を、事前に知ってないと駄目です。基本的に…昨年、起ったクリスマスショックの根本的な原因は「期待値の剥落」だと思っています。あまりに馬鹿げた期待値が剥落したのです。その為にFAANG株は急落しました。しかし現状はどうでしょう? 相変わらず…非常に高い伸び率を維持しています。ネットフリックス、アマゾンやグーグルなど…。アップルは、もう一面が製造業ですからね。評価がすこし落ちます。アマゾンもホールフーズを買収する辺り…上手く相乗効果を活かしているようですが…やはり成長速度は落ちるのでしょう。

多くの景気後退論は、貿易摩擦からくる世界経済の縮小懸念です。しかし…同時にスマートコミュニティー化は…これから始まりです。VRなどの技術進化はすごいのです。この一般化に5G投資は欠かせません。ドイツはファーウェイを排除しないそうです。

カタルは、先ほど…こう述べました。社会資本整備は、経済的な波及効果は非常に大きなものがあると…述べました。昔は道路や鉄道でしたが…今はネット環境と言うか…情報網の整備が、新しいインフラと捉えた方が良いでしょう。だから準天頂型衛星のみちびきなど…が重要なのです。

そうして、その情報インフラが整備されると様々な新規の産業が芽を出します。VRなどは素晴らしい成長産業になるのでしょう。テーマパークも…その仕組みが大きく変わると思っています。何か…この辺りから新しい成長株になる産業が興ると思っています。なんか…ワクワクするでしょう。

冒頭のNY市場の半値戻り達成は、格言にあるように、「全値戻り」になるのでしょう。今年か来年か分かりませんが…株価は高値を更新すると思っています。日本人は失敗に次ぐ失敗で…消極的な人間ばかりが生き残っています。カタルのような馬鹿は、長い清貧思想の「失われた時代」で、みんな討死しました。でも時代の変遷は、ようやく…名目時代が確立されるのでしょう。

先ほどの景気循環の流れですが、当然のことながら…チキンサイクル<ジュグラーサイクル<クズネッツサイクル<コンドラチェフサイクルの力関係なのです。

日本は30年ぶりに実質時代から名目時代に転換する波も同時に訪れています。この意味がどれ程、価値があるか…。時間を耐えたものしか分からないと思っています。自分で確りとした時代観を持っているかどうか…株価の変動で心が揺れるのは誰もが同じです。でも基本的な構造は変わりませんね。一番はこの時代的な考察が、しっかり自分のモノになっているかどうかで…投資の成果が変わるのでしょう。それでは…また明日。



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