カテゴリー:コラム

名目時代は循環物色相場

この二日間の「謎シリーズ」は、あまり面白くなかったかもしれません。カタル自身、証券マンに成りたての…最初は、チャート論の本をかなり読みました。株式投資を開始した当初は、このチャート(罫線)の形を観て株価を判断する機会が多かったように思います。経済の基礎知識もなく…金利がどんな影響を株価に与えるのか? サッパリ…その理屈も分かりませんでした。しかし…最近はマクロ経済と言うのでしょうが、特に米国の経済の動向に力を入れて観察しているように感じています。

「風が吹けば…桶屋が儲かる」と言う落語のネタがありますが、ネット上には「確率の非常に低い因果関係を無理やりつなぎ合わせ、こじつけつけるような理屈」との解説もあるようですが…カタル逆の見方で「一見,関係のないところに因果関係があることを示す言葉である」との意味で株式市場を解説しています。

故に世の中で起こる社会現象と経済データを観て、その関連性を探り…未来の株価予想に繋げています。しかし…不可解な事も多いから、「謎」が生まれます。

「ファナック」(6954) の決算短信

最近の謎は「ファナック」(6954)と「DMG森精機」(6141)の二つの企業は、「相反する」業績を発表したことです。決算期の違いはあるのですが、同じ4‐6月期の営業活動においてファナックは減収減益になっており、DMG森精機は増収増益です。

DMG森精機」(6141) の決算短信

ファナックの稲葉さんは、今は社長ではないのですね。先代が富士通から離脱して独立した会社で、ロボットの草分け的な会社で成長を続け、ここのコンピュタ制御をする基幹部品は有名で…各社が競ってファナック製を求めていたとの知識は、古いのでしょうか? 

カタルにとって同じ設備投資に絡む…会社なので、別々の数字が出る理由を探らねばなりません。両社とも…カタルにとって、此処に「オークマ」(6103)も加えて、「観察銘柄」になっています。この理由は、日本でも中国からの「国内回帰」で、設備投資が活発化すると思っているからです。

日本は「失われた時代」の間、基本的に国内投資をあまりしていません。空洞化現象です。しかし近年は米中対立が激化して、しかも中国は「共同冨裕」から「スパイ法」の強化で…経済より政治面に重きを置いています。人件費の優位性も消えていますから、労働集約型の産業は、より所得の低いベトナムやバングラディッシュなどへ流れています。

国内回帰が盛んになるなら、豊富な資金を持つ日本企業は一斉に設備投資を活発化させるから、この関連株の3つを観察しています。しかしファナックの数字が「理解不能」なのです。中国依存が高いのか…スマフォに、過剰に肩入れをしているのか? その背景を探る必要性に迫られています。通常なら株価は1万円台の筈です。やはり世代交代が上手く行かずに…劣化しているのかもしれません。

逆にDMG森精機は、欧州の会社も買収して、その生産過程を導入して…合理化(効率化)を達成して、人件費を上げています。2割も一気に給料を上げて、更に…毎年、昇給させると報道されていますから、完全な勝ち組のようです。

基本的に設備投資は、EV関連の投資がこれから本格化します。更に米国も生産回帰の動きです。バイデン大統領が成立させた3本の(インフラ投資の強化、グリーン経済への投資拡大、半導体製造の増強)法律は、基本的に米国の生産活動を支援するもので…米国中心に設備投資が加速します。だから「安川電機」(6506)は、米国での活動に力を注ぐわけです。

このような考え方の成り立ちが…一連の「市場の整合性」を理解する道筋です。

これをカタルは簡単に「風が吹けば…桶屋が儲かる」とレポートで表現をしていますが、実際は、このような考え方の組み立てが頭の中に流れています。一見,関係のないところに「因果関係」があることを示しています。ところが決算数字を、ただ観ている奴は、疑問が生まれません。同業種のエリートなのに…何故、違う結果が出るのか…「疑問」を感じません。このような「謎」を、カタルは多く抱えているから、謎シリーズの特集を組んだわけです。

少し、昨日の金融政策の話は、「退屈なテーマ」に見えるかもしれませんが大切なのです。

今日は皆さんが好むチャート論から、最近、述べている「循環物色」の話を展開しましょう。基本的に、日本株は34年もの「空白時代」があるので…どの株をとっても割安水準なのです。だから低PBRの改革レポートが東証から出たのです。

でも日本国民は、長く続く「清貧思想」の為に、完全に「意欲」を失っています。その結果、個人の預貯金が1107兆円も積み上がっています。この資金移動が、徐々に…これから起こるのです。

名目賃金と実質賃金の違いとが生まれているために、インフレに負けていますから…賢い人間を中心に、この「克服」に動きます。この流れ…つまり「資産投資」が、徐々に強まりますから、市場では、この動きは実際に現れます。その現象が「循環物色」と呼ぶ市場の現象です。

「三菱UFJ」(8306)の 日足推移

よく引き合いに出しているのが「三菱UFJ」(8306)の株価です。この株価は、ようやく株価上昇もあり…PERは10倍台になって来ました。しかし…まだ「純資産価値」(BPS)にもなっていません。三菱UFJの一株あたりの純資産は1433円です。そうして今の配当利回りは3.65%です。定期預金の金利は1%にも満たないのです。しかも…毎年増収増益を続けているのです。もう馬鹿だけです。株を買わない人は…。

株価チャートを観ると分かりますが…200日線からの乖離が大きくなると、株価は休み…乖離調整を続けて、しばらく休むと…また高値を更新しているこのような…株価チャートが「循環物色」の傾向を示しています。

高値を取って、乖離調整の「利食い」する時間を経てから、再び高値を取る。故に、高値を買っても…下値の株を更に買って待っていると…また「利食い」のチャンスがやって来ます。これが…拡大志向の「名目経済」の株価の「値動き」です。

名目経済下では、基本的に常に「増収増益」の流れが続き…だんだん社会全般が積極的で活動的な社会へ…変化を遂げます。

米国は、日本が低迷していた時も一貫して「資産投資」の重要性を理解し、投資を続けています。だから…こんなレポートの違いが生まれます。

まるで1ドルが360円時代の「移民を募集」した時代に「逆戻り」です。嘗て、日本は食えなくて…ブラジルなどに出稼ぎ労働者を、国を挙げて…送ったのです。これは本当の話ですよ。現在では、移民の「出稼ぎ労働者」などと…呼ばすに、「洒落た名前」の「ワーキングホリデー」です。留学的なイメージをタブらせて…誤魔化していますが、この基本は、日本が貧乏した34年の失われた時代の「結果」です。

何故、カタルが必要以上に「日本製鉄」(5401)の株価を追い続けていたか?

「日本製鉄」(5401) の日足推移

カタルは「三菱UFJ」と同じように、「日本製鉄」の株価が、再び「循環物色」で…高値を更新すると思っていたのです。この株価が上がることは…全ての「割安株」が、まだまだ…上がることを示しています。

市場をラッセルする株価を観て、周りの鳥たちが、これに「追随する」のです。経済活動の渡り鳥をイメージした「雁行型」です。リーダーに先導されて…その他大勢も、同様の行動を取ります。株価は先駆する「一番手」が休むと…「二番手」の選手に、移動して…3番、4番の活躍になります。今の市場は、まだ…名目成長時代が始まったばかりの「黎明期」ですから…先ずは「1番手」の物色なのです。

これが市場の「自然の流れ」です。日本製鉄が新高値を更新したので…最近は海外投資家が参入をしており、指数銘柄が大きく上がっています。

ルネサスエレク」(6723) の日足推移

ここでは「アドバンテスト」(6857)や「ルネサスエレク」(6723)ですが…カタルはアドバンより、ルネサスエレクに注目しています。この理由は、CEOの柴田さんが…次世代カーのCASEに向け、「繋がる車」への投資を加速させているために、割高でも成長を続ける可能性があるからです。しかし…現在は「乖離調整」に入ったばかりですが…3か月程度経過したら…再び新高値を更新する可能性があると思っています。

名目時代の循環株物色です。

「ジェイドG」(3558) の日足推移

同じことですが…「ジェイドG」(3558)も、このボックス圏を離れる可能性が、木曜日…金曜日とみられています。ルネサスエレクのチャートを観ると分かりますが…75日線にタッチするかしないかで…再び、株価は「上昇波動」に移行しています。循環物色相場です。どの株も…「同じこと」なのです。

休めば…再び上昇を開始する「循環株」物色です。これが名目成長時代の楽しい世界です。先着一名様限りの実質成長期と違い、成功者が100名、1000名と桁を変えながら進化する世界が「名目時代」なのです。

この認識、基礎的な前向きなポジティブ思考を持つ人間と…何をやっても、所詮は駄目さ…と、何もせずに諦めると人間との違いが34年間の空白なのです。

ようやく植田新総裁のYCCの軌道修正という事は、その言う時代がやって来たという事です。苦節、34年間の悲哀の人生を、「ひっくり返す」逆転の時代の到来です。このチャンスを利用しない手はないですね。その為に、昨日は面倒くさい「リバースレポ」を題材に、カタルなりの解釈に挑みました。このような積み重ねが、株価を観ても「心が揺らがない」確りした「投資方針」に繋がります。もう未来図は決まっています。

あとは読者一人、一人が、どう考えて…どう行動するかの問題です。机上論は評論家様にお任せして…僕らは実践家です。くだらない…言い訳をクドクド…言わず、ただ行動あるのみなのです。それでは…また明日。

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